違法・無報告・無規制に行われる漁業との闘いのための国際デー (記念日 6月5日)

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国連が定める意義深い一日

国際デーとしての位置づけ

海は地球上の生命を育む源であり、漁業はその恵みを私たちに提供してくれます。しかし、その裏で違法・無報告・無規制に行われる漁業活動が、海洋資源の枯渇を招いていることをご存知でしょうか。2017年(平成29年)12月、国連総会はこの深刻な問題に立ち向かうため、「違法・無報告・無規制に行われる漁業との闘いのための国際デー」を制定しました。

この国際デーは、持続可能な漁業の確保と海洋生態系の保護を目的に、世界中の人々にIUU漁業の問題への意識を高めるためのものです。英語で「International Day for the Fight against Illegal, Unreported and Unregulated Fishing」と表記されるこの日は、私たちが日々享受する魚介類の供給源を守るためにも、非常に重要な意味を持っています。

国連食糧農業機関(FAO)によって宣言されたこの日は、世界中の国々に漁業の適正化を促し、不正な漁業を根絶するための行動を促すものです。国際社会が一体となって取り組むべき課題であり、私たち一人ひとりの意識の変化も求められているのではないでしょうか。

「IUU」とは、Illegal(違法)、Unreported(無報告)、Unregulated(無規制)の頭文字を取ったもので、これらの漁業は世界中の海洋生態系に深刻な影響を与えています。私たちが美味しい魚を食べることができるのも、適正な漁業活動が行われているからこそ。この国際デーを通じて、もっと多くの人々がこの問題に目を向けてくれることを願っています。

「寄港国措置協定」とは

「違法・無報告・無規制に行われる漁業との闘いのための国際デー」は、IUU漁業の防止・阻止・排除を目指す「寄港国措置協定」(Port State Measures Agreement:PSMA)が国際条約として正式に発効した日、2016年(平成28年)6月5日に由来しています。

この協定は、違法に獲得された魚介類が市場に流通することを防ぐための重要な手段の一つです。寄港国が外国の漁船に対して、漁獲物の合法性を証明する書類の提示を義務付けることにより、IUU漁業を効果的に阻止することを目的としています。

この協定に参加することによって、各国は自国の港を利用する外国船舶に対して、より厳格な検査を行うことが可能となります。これにより、IUU漁業によって獲得された魚介類が市場に出回るリスクを減らすことができるのです。

しかし、この協定があるからといって、すべての問題が解決するわけではありません。国際社会全体での取り組みが不可欠であり、私たち消費者も、購入する魚介類が適正に獲得されたものであるかどうか、意識する必要があります。この国際デーをきっかけに、もっと多くの人々がこのような問題について考え、行動を起こすきっかけになればと思います。

持続可能な漁業への影響

漁業は世界中の人々にとって、食料・雇用・貿易・経済的な幸福をもたらす重要な供給源です。IUU漁業によって、これらの供給源が脅かされている現実を直視する必要があります。

違法に行われる漁業活動は、海洋生態系のバランスを崩し、多くの海洋生物に影響を与えています。また、漁獲量の減少や漁場の荒廃を招き、漁業従事者の生活にも影響を及ぼしています。

この国際デーを通じて、私たちはIUU漁業の問題に目を向けると同時に、持続可能な漁業の重要性についても考える機会を得ることができます。適正な漁業活動によって、海洋資源の持続可能な利用を実現し、将来の世代にも豊かな海の恵みを残すことができるのです。

私たちは、美しい海を守るために、どのような行動を取るべきでしょうか。この国際デーに参加することで、漁業に関わるすべての人々が一丸となって、持続可能な海洋資源の利用を目指すことができると信じています。

私たちにできること

消費者としての意識改革

私たち一人ひとりが、日々の食生活の中で選ぶ魚介類が、どのような過程を経て私たちの食卓に上るのか、意識することが大切です。適正な漁業によって獲得された魚介類を選ぶことは、IUU漁業の撲滅に向けた一歩となります。

私たちは、魚介類を購入する際に、その出所や漁獲方法について問い合わせることで、漁業活動の透明性を高めることができます。また、持続可能な漁業を支援するための認証マークが付いた商品を選ぶことも、一つの手段です。

私たちの小さな行動が、世界中の漁業活動に大きな影響を与えることを忘れてはいけません。消費者としての選択が、持続可能な漁業への大きな一歩となるのです。

この国際デーには、私たちの食生活が持続可能なものであるために、どのような選択をすべきかを改めて考える機会が与えられます。適正な漁業によって得られる魚介類を選ぶことで、海洋生態系の保全に貢献することができるのです。

教育と啓発の重要性

持続可能な漁業の実現には、教育と啓発が欠かせません。子どもたちに海洋生態系や漁業の重要性を教えることで、将来的に持続可能な漁業を支持する意識を育てることができるでしょう。

学校教育の中で、海洋資源の重要性や漁業の適正化について学ぶ機会を設けることは、子どもたちが持続可能な消費者として成長するための基盤を築くことにつながります。

また、社会全体での啓発活動も重要です。この国際デーを通じて、各種メディアやイベントを活用し、IUU漁業の問題についての情報を広く提供することが求められます。

私たち一人ひとりが、海洋資源の持続可能な利用について考え、行動することで、より豊かな海を未来に残すことができるでしょう。教育と啓発を通じて、持続可能な漁業を実現するための意識改革を進めていきたいですね。

世界が直面する課題

グローバルな視点での取り組み

持続可能な漁業を実現するためには、国際社会が一丸となって取り組む必要があります。IUU漁業は国境を越えた問題であり、各国が協力し合うことが不可欠です。

国際デーを通じて、世界中の国々がIUU漁業の問題について話し合い、具体的な解決策を模索することが重要です。この日は、国際社会が持続可能な漁業に向けて前進するための契機となるでしょう。

また、国際的な協力によって、IUU漁業に関連する法律や規制を強化し、実効性のある取り組みを進めることも求められます。国際社会が一致団結して取り組むことで、IUU漁業の撲滅に向けた大きな一歩を踏み出すことができるのです。

私たち一人ひとりも、この問題に対する理解を深め、適切な消費行動を取ることで、グローバルな視点での取り組みに貢献することができます。この国際デーをきっかけに、世界中の人々がIUU漁業の問題について考え、行動を起こすことを心から願っています。

最後に、漁業は私たちの生活に欠かせない要素であり、その持続可能性を確保するためには、私たち一人ひとりが意識を変え、行動を起こす必要があります。この国際デーを通じて、持続可能な漁業の実現に向けて、私たちができることを考え、行動に移すことが大切です。