くず餅の日 (記念日 9月2日)

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皆さんは「くず餅の日」をご存知でしょうか?この記念日は、和菓子の魅力を再発見する絶好の機会です。そもそもくず餅とはどのようなものなのでしょうか。今日はこの古くから愛される和菓子について、その歴史や文化的背景を深掘りしていきたいと思います。

くず餅の日とは

記念日の由来

「くず餅の日」は、東京都江東区亀戸に本店を構える株式会社船橋屋が制定しました。日付は「く(9)ず(2)もち」という語呂合わせから選ばれており、2021年(令和3年)には一般社団法人日本記念日協会によって正式に認定されました。

この記念日を通じて、くず餅の美味しさやその魅力を多くの人に伝えることが目的です。そして、それはただの宣伝ではなく、日本の伝統文化を守り、後世に伝えるための大切な試みなのです。

くず餅は、その独特の食感と風味で多くの人々に愛されてきました。発酵食品としての歴史を持つこの和菓子は、日本の食文化においても非常にユニークな存在です。

私たちが日々の暮らしの中で楽しむくず餅ですが、この記念日をきっかけに、その背景や歴史にも思いを馳せてみるのはいかがでしょうか。

くず餅の特徴

くず餅は、小麦澱粉を発酵させて作られる和菓子で、適度なやわらかさとしなやかな歯ざわりが特徴です。江戸時代から愛され続けており、その製法は何世紀にもわたって受け継がれてきました。

身体に優しいとされるくず餅は、450日もの長い期間をかけてじっくりと乳酸発酵させることで熟成されます。しかし、自然のままの無添加の発酵製法のため、消費期限はわずか2日間と短いのです。

このように、くず餅はその製造過程からしても、日本の和菓子の中でも特異な位置を占めています。そこには、食文化だけでなく、日本人の精緻な技術と自然への敬意が見て取れるのではないでしょうか。

くず餅を通して、日本の伝統や文化、そして技術の粋を感じることができるのです。

船橋屋の歴史

船橋屋は1805年(文化2年)、江戸・亀戸天神参道に創業しました。創業者である初代勘助は、下総国船橋の出身で、当時の亀戸天神の賑わいを見て上京し、くず餅を作り始めたのです。

そのくず餅は、参拝客の間で瞬く間に評判となり、「江戸の名物」として名を馳せるに至りました。そして今日に至るまで、210年以上にわたり作り続けられているのです。

ちなみに、船橋屋のくず餅は「くず餅」と表記されますが、関西圏で食される「葛餅(くずもち)」とは異なります。こちらは葛粉から作られるもので、同じ名前を持ちながらも全く異なる食品なのです。

このように、くず餅には船橋屋の長い歴史と、それを支える地域や文化が深く関わっています。一口に「くず餅」と言っても、その背景には多くの物語があるのですね。

和菓子の魅力と文化

日本の和菓子の歴史

和菓子は、日本の歴史とともに発展してきました。古くは奈良時代から存在し、平安時代には貴族の間で愛されるようになります。その後、江戸時代には庶民の間にも広がり、多種多様な和菓子が生まれました。

和菓子は、その季節や行事に合わせて楽しまれることが多く、日本人の四季を感じるセンスや、自然との調和を大切にする心が反映されています。

また、和菓子は見た目の美しさも重視され、手間ひまかけて作られることが多いです。その繊細な美しさは、日本の伝統文化として世界にも高く評価されています。

くず餅を含む和菓子を通じて、日本の歴史や美意識に触れることができるのです。

和菓子と日本の四季

日本は四季がはっきりしており、それぞれの季節に応じた和菓子が存在します。春には桜餅、夏には水羊羹、秋には栗きんとん、冬には鏡餅など、季節の移り変わりとともに和菓子の種類も変わります。

これらの和菓子は、季節の風物詩としても楽しまれ、日本人の季節感を豊かにしています。また、それぞれの和菓子に込められた意味や、食べる際の作法もあるなど、和菓子はただのお菓子ではなく、文化的な要素も含んでいます。

例えば、春の桜餅は花見の際に食べられることが多く、桜の花びらを模した形や色が楽しまれます。これは、日本人の自然を愛でる心と、季節を大切にする文化が表れていると言えるでしょう。

くず餅もまた、その季節感や文化的背景を持った一つの和菓子です。このように、和菓子一つを取っても、日本の豊かな文化や伝統が垣間見えるのです。

和菓子の未来

和菓子の未来は、若い世代によって新しい息吹が吹き込まれています。伝統的な製法を守りつつ、新しい材料やアイデアを取り入れた和菓子が登場し、新たなファンを獲得しています。

例えば、抹茶や和栗を使った洋菓子との融合や、見た目にもインパクトのあるアート作品のような和菓子など、伝統と革新が融合した和菓子の可能性は無限大です。

また、SNSの普及によって、和菓子の美しいビジュアルが世界中に共有され、国際的な注目を集めるようになっています。これは、和菓子の魅力をより多くの人に伝える絶好の機会と言えるでしょう。

くず餅の日を通じて、伝統的な和菓子の魅力を再発見し、その未来を一緒に創造していくことができるのではないでしょうか。和菓子の世界は、今もなお進化し続けているのです。

まとめ

くず餅の日の意義

「くず餅の日」は、くず餅という和菓子の美味しさを広めるだけでなく、日本の伝統文化を再認識し、大切にする機会を提供しています。この記念日を通じて、私たちは日本の豊かな食文化や歴史を学び、その価値を見直すことができるのです。

また、和菓子を通じて四季の移り変わりを感じ、自然との調和を大切にする日本人の心を育むこともできます。和菓子は、見た目の美しさや味わいだけでなく、その裏にある文化や歴史にも注目することが大切です。

私たちが日常的に楽しむ和菓子の一つ一つには、長い歴史と多くの人々の手によって磨かれた文化が込められています。くず餅の日をきっかけに、その深い魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

最後に、くず餅の日は新しい和菓子の魅力を発見し、さらに多くの人々にその楽しみ方を広めるための素晴らしい機会です。和菓子を愛するすべての人々が、この記念日を通じて和菓子の新たな価値を見出し、共にその未来を拓いていくことを願っています。