賞与にかかる所得税の計算方法を詳しく解説!

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賞与って何?
賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等で、ボーナスや年末手当などが含まれます。
賞与の所得税はどう計算するの?
賞与に対する所得税は、前月の給与から社会保険料等を差し引き、所定の税率を掛けて計算します。

賞与 所得税 計算方法

賞与に対する所得税の計算方法は、給与所得者にとって重要な知識です。この記事では、賞与にかかる所得税の計算方法について、詳細に解説します。計算方法や特殊なケース、関連データや統計、専門家の意見を交えて、総合的に説明します。

賞与とは何か

賞与とは、定期の給与とは別に支払われる給与等であり、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものを指します。賞与の性質を有するかどうか不明な場合、以下のようなものは賞与に該当します。

  • 純益を基準として支給されるもの
  • あらかじめ支給額または支給基準が定められていないもの
  • あらかじめ支給期が定められていないもの(雇用契約が臨時である場合を除く)
  • 法人税法に規定する事前確定届出給与
  • 法人税法に規定する業績連動給与

賞与に対する所得税の計算方法

賞与に対する所得税は、以下の手順で計算されます。

  1. 前月の給与から社会保険料等を差し引きます。
  2. 「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の甲欄または乙欄を使用して税率を求めます。
  3. 賞与から社会保険料等を差し引いた金額に税率を掛けます。

具体例を見てみましょう。

条件
前月の給与(社会保険料控除後) 285,454円
賞与の金額(社会保険料控除後) 389,558円
扶養親族等の数 3人

この場合、算出率の表の「甲」欄で、扶養親族等の数が3人の欄を見ます。285,454円が含まれている行の税率が2.042%であることがわかります。したがって、389,558円に対して2.042%を掛けた7,954円が賞与に対する税額となります。

特殊なケースの計算方法

前月の給与がない場合や、前月の給与の10倍を超える賞与を支払う場合には、通常の計算方法とは異なる手順が必要です。

前月に給与の支払がない場合

  1. 賞与から社会保険料等を差し引いた金額を6または12で割ります。
  2. その金額を「月額表」に当てはめて税額を求めます。
  3. 求めた税額に6または12を掛けます。

具体例を見てみましょう。

条件
賞与の金額(社会保険料控除後、計算期間6か月) 769,300円
扶養親族等の数 1人

この場合、769,300円を6で割ると128,216円になります。月額表の甲欄で、128,216円に対する税額は530円です。これに6を掛けた3,180円が賞与に対する税額となります。

前月の給与の金額の10倍を超える賞与を支払う場合

  1. 賞与から社会保険料等を差し引いた金額を6または12で割ります。
  2. その金額に前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額を加えます。
  3. その合計金額を「月額表」に当てはめて税額を求めます。
  4. 求めた税額から前月の給与に対する源泉徴収税額を引きます。
  5. その差額に6または12を掛けます。

具体例を見てみましょう。

条件
前月中の給与(社会保険料控除後) 166,531円
賞与の金額(社会保険料控除後、計算期間6か月) 1,668,062円
扶養親族等の数 1人

この場合、1,668,062円を6で割ると278,010円になります。これに前月の給与166,531円を加えると444,541円です。月額表の甲欄で、444,541円に対する税額は16,950円です。前月の給与に対する税額1,930円を引くと15,020円になります。これに6を掛けた90,120円が賞与に対する税額となります。

賞与に対する所得税計算の背景と影響

賞与に対する所得税の計算は、企業の給与計算担当者にとって複雑な作業です。しかし、正確な計算を行うことで従業員に対する信頼性を高めることができます。また、賞与が従業員のモチベーション向上に寄与するため、適切な税額計算は企業の経営にも重要な影響を与えます。

さらに、賞与に対する所得税は、政府の税収にも大きな影響を与えます。適切な税額を徴収することで、社会保障制度の維持や公共サービスの提供に貢献します。

専門家の意見と実践的な応用

税理士の中川美佐子氏によれば、賞与に対する所得税の計算は、従業員の状況に応じて異なるため、企業の担当者は正確な情報を把握することが重要です。弥生株式会社の公式サイトでは、計算ツールやソフトウェアを活用することで、効率的に計算を行う方法が紹介されています。

また、給与計算ソフトを導入することで、手作業による計算ミスを減らし、業務の効率化を図ることができます。特に大企業では、賞与の金額が大きくなるため、計算の正確性が求められます。

最後に、賞与に対する所得税の計算方法を理解し、適切に対応することで、従業員の満足度を高め、企業の経営を安定させることができます。ぜひ、この記事を参考にして、賞与の所得税計算に役立ててください。