透析とは何か?腎機能低下時の治療法を解説

11467
透析って何?
透析は腎臓の機能が低下した際に、老廃物や余分な水分を取り除く治療法で、主に血液透析と腹膜透析の2種類があります。
透析が必要になる理由は?
透析が必要になる主な原因は糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎などで、これらが腎機能を低下させ、尿毒症の症状を引き起こします。

腎臓とその機能

腎臓は私たちの体において非常に重要な役割を果たしています。左右に一つずつ存在し、握りこぶしほどの大きさのこの臓器は、以下のような主な機能を持っています:

  • 老廃物の排出:腎臓は血液をろ過し、老廃物や毒素、余分な水分を尿として体外に排出します。
  • 水分と電解質のバランス調整:尿の量や濃度を調整し、体内の水分と電解質(ナトリウムやカリウムなど)のバランスを保ちます。
  • ホルモンの分泌:赤血球を増やすホルモンや血圧を調整するホルモンを分泌し、健康を維持します。

これらの機能が正常に働かない場合、体にさまざまな異常が現れ、最終的には腎不全に至ることがあります。

透析療法の概要

透析療法は、腎臓の機能が低下した際に、その機能を補うための治療法です。具体的には、以下のような特徴があります:

  • 腎臓の機能が正常の15%以下に低下した場合、透析が必要になります。
  • 透析には主に「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があります。

透析の目的は、体内に蓄積された老廃物や余分な水分を取り除き、血液を浄化することです。透析療法を受けることで、患者は通常の生活を維持することが可能です。

透析の種類とその仕組み

透析には2つの主要な方法があります:

透析の種類 特徴 治療の流れ
血液透析 医療機関で行う。週3回、各4時間程度。 血液を体外に取り出し、ダイアライザーで浄化して再び体内に戻す。
腹膜透析 自宅で行える。生活スタイルに合わせて調整可能。 腹腔に透析液を注入し、老廃物を透析液に移行させて排出する。

血液透析は、医療機関で行う必要があり、時間的拘束が大きいですが、医療者による管理が受けられます。一方、腹膜透析は自宅で行えるため、生活の自由度が高いですが、自分で手技を習得する必要があります。

透析治療が必要な理由

透析が必要となる主な原因には、以下の疾患が挙げられます:

  • 糖尿病性腎症:糖尿病による腎機能の低下が最も多く、透析患者の約39.1%を占めます。
  • 慢性糸球体腎炎:腎臓のろ過機能が慢性的に低下する疾患です。
  • 腎硬化症:高血圧による動脈硬化が原因で腎機能が衰える疾患です。

これらの疾患により腎機能が低下すると、体内に老廃物や余分な水分が蓄積し、尿毒症の症状が現れます。尿毒症は、倦怠感、食欲不振、むくみ、高血圧などの症状を引き起こし、放置すると生命の危険に繋がります。

透析治療の実用的応用と影響

透析治療は、患者の生活に多大な影響を与えます。透析を受けることで、患者は以下のような生活の質を維持することが可能です:

  • 仕事や学業との両立が可能になる。
  • 社会活動に参加しやすくなる。
  • 自己管理が求められるため、健康意識が高まる。

また、透析治療には経済的な負担も伴います。治療費用や通院費用、生活の調整が必要となるため、患者やその家族にとっては大きな課題となります。

まとめ

透析は腎機能が低下した際に、生命を維持するための重要な治療法です。血液透析と腹膜透析の2種類があり、患者のライフスタイルに応じて選択されます。透析療法は一生続ける必要があり、腎機能を回復させるものではないため、自己管理や生活習慣の見直しが重要です。透析を受けることによって、患者は生活の質を維持し、より良い人生を送ることが可能になります。透析治療についての正しい理解と適切な選択が、患者の健康に繋がります。