赤血球が多い原因を知って健康リスクを減らそう

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赤血球が多いってどういうこと?
赤血球が多いとは、血液中の赤血球数が正常値を超えている状態で、多血症と呼ばれ、健康にさまざまな影響を及ぼします。
赤血球が多くなる原因は何?
赤血球が多くなる原因には、脱水やストレスによる相対的多血症、骨髄の異常による真性多血症、低酸素状態からの二次性多血症などがあります。

血液の状態とその影響

赤血球は血液中に存在する重要な細胞で、酸素を運搬する役割を担っています。健康な成人では、赤血球の数は男性で約435万〜555万個/μL、女性で386万〜492万個/μLとされています。これらの数値を超える場合、赤血球が異常に増加している「多血症」が疑われます。多血症は、血液の粘度を高め、血流を悪化させるため、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

多血症の種類とその原因

多血症は大きく分けて以下の3種類に分類されます。

  • 相対的多血症: 血漿量が減少することによって赤血球濃度が相対的に高くなる状態です。脱水、下痢、嘔吐、ストレスなどが原因となります。
  • 真性多血症: 骨髄の異常によって赤血球が過剰に作られる状態で、遺伝子変異(特にJAK2遺伝子)が関与しています。
  • 二次性多血症: 低酸素状態や腫瘍などが原因で赤血球が増加する状態です。慢性的な肺疾患や睡眠時無呼吸症候群が原因となることが多いです。

相対的多血症の詳細

相対的多血症は、体内の水分が不足することで血漿が減少し、赤血球の濃度が相対的に高くなる現象です。以下のような原因があります。

  • 脱水症状(下痢、嘔吐)
  • ストレス(ストレス性多血症)
  • 利尿剤の使用

真性多血症の詳細

真性多血症は、骨髄の造血幹細胞に遺伝子変異が生じ、赤血球が過剰に作られる病気です。これにより、血液がドロドロになり、血栓症のリスクが高まります。特に、JAK2遺伝子の変異が多くの場合に見られます。

二次性多血症の詳細

二次性多血症は、酸素供給が不足する状態が続くことで赤血球が増加します。以下のような状況が影響します。

  • 慢性的な肺疾患(COPDなど)
  • 高地での生活やトレーニング
  • 腎臓や肝臓の腫瘍によるエリスロポエチンの増加

多血症の症状と影響

多血症の初期段階では自覚症状が少ないことが多いですが、進行すると以下のような症状が現れます。

  • 顔が赤くなる
  • 目の充血
  • かゆみ
  • 頭痛やめまい
  • 手足のしびれや痛み
  • 思考力の低下

さらに、血液がドロドロになることで血栓ができやすくなり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。特に、喫煙習慣がある方は注意が必要です。

多血症の診断と治療

多血症の診断は、血液検査によって行われ、赤血球、白血球、血小板の数値を確認します。特に、JAK2遺伝子の変異があるかどうかも調べられます。治療方法は多血症の種類によって異なります。

相対的多血症の治療

相対的多血症の場合、水分補給や点滴によって血漿の量を戻す治療が行われます。また、ストレスが原因であればストレス管理が重要です。

真性多血症の治療

真性多血症では、血栓防止のための治療が行われます。瀉血や低用量アスピリンの使用が一般的です。高リスク患者には、分子標的薬や抗がん薬が用いられることもあります。

二次性多血症の治療

二次性多血症の場合、原因疾患の治療が最優先です。睡眠時無呼吸症候群の場合はCPAP療法が用いられることがあります。腫瘍が原因の場合は外科手術が必要になることもあります。

生活習慣の改善と予防

多血症は生活習慣の改善によってリスクを低減することが可能です。以下のポイントを意識しましょう。

  • 適度な運動を心がける
  • バランスの取れた食生活を維持する
  • 禁煙を徹底する

これらの対策を行うことで、心筋梗塞や脳卒中といった合併症のリスクを低減することができます。

まとめ

多血症は、赤血球が異常に増加することで血液がドロドロになり、さまざまな健康リスクを引き起こす病気です。早期の診断と適切な治療が重要ですので、健康診断の結果を軽視せず、疑いがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。正しい知識を持ち、生活習慣を見直すことで、多血症のリスクを軽減することができます。