ハンセン病の真実を解明!歴史と現代医療の光と影

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ハンセン病って何?
ハンセン病は「らい菌」による慢性の感染症で、皮膚と神経に影響を及ぼし、感覚喪失などの症状を引き起こしますが、現代医療で完治可能です。
ハンセン病の治療法とは何?
ハンセン病の治療には多剤併用療法(MDT)が用いられ、リファンピシン、クロファジミン、ダプソンを組み合わせた治療が効果的で再発率も低いです。

ハンセン病とは

ハンセン病は、「らい菌(Mycobacterium leprae)」によって引き起こされる慢性の感染症です。この病気は、主に皮膚と神経を侵し、斑点や感覚喪失などの症状を引き起こします。しかし、現代の医療技術により、ハンセン病は完治可能な病気となっています。

ハンセン病の潜伏期間は約5年と長く、感染経路は完全には解明されていませんが、治療を受けていない患者との頻繁な接触によって感染する可能性があるとされています。しかし、感染力は非常に弱く、多くの人は自然免疫を持っているため、「最も感染力の弱い感染病」とも言われています。

ハンセン病に関する詳細な情報は、日本財団のウェブサイト長島愛生園のウェブサイトで確認することができます。

ハンセン病の症状と治療

ハンセン病の初期症状は、皮膚に白または赤・赤褐色の斑紋が現れることです。これらの斑紋は痛みやかゆみを伴わず、触っても感覚がないことが特徴です。症状が進行すると、身体の変形や障害が残る恐れがありますが、初期に治療を開始すれば障害は残りません。

治療には多剤併用療法(MDT)が用いられ、主にリファンピシン、クロファジミン、ダプソンを含む組み合わせが推奨されます。MDTは効果的で再発率が低く、安全で服用方法も簡単です。

ハンセン病の診断と治療は、病型に応じて異なります。現在広く用いられている分類方法には、皮膚菌検査の結果に基づくMB(多菌型)、PB(少菌型)の2型分類と、より総合的なリドレィ・ジョプリング分類があります。

ハンセン病の歴史と社会的影響

ハンセン病は、古代から存在しており、患者は差別と偏見に苦しんできました。日本では、「日本書紀」に記録が残されており、明治時代には隔離政策がとられ、ハンセン病患者の人権が侵害されました。しかし、1996年に「らい予防法」が廃止され、2001年には国家賠償請求が認められました。

海外では、1943年にプロミンがハンセン病治療に有効であることが確認され、1981年にはWHOがMDTを推奨するに至りました。日本財団は、ハンセン病の制圧を推し進めるため、MDTを無料で供給し、WHOハンセン病制圧大使として活動しています。

ハンセン病にかかった人々は、しばしば隔離され、差別的な呼び名で呼ばれるなど、人権侵害の歴史があります。しかし、現在、ハンセン病は治療可能であり、感染する可能性はほとんどありません。

ハンセン病と人権に関する国際社会への働きかけは、2010年に国連総会で「ハンセン病の患者・回復者とその家族への差別撤廃決議」と「原則とガイドライン」が採択されるなど、進展しています。

ハンセン病に対するスティグマと差別をなくすための取り組みは、世界各地で続けられており、日本財団は「グローバル・アピール」を通じて、その意識改革に貢献しています。