訪日外国人向け多言語医療PoC、都内4エリアで開始
ベストカレンダー編集部
2025年12月25日 19:00
訪日者向け医療PoC開始
開催期間:12月25日〜3月31日
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訪日旅行者の体調不良が抱える実務上の課題と背景
訪日外国人旅行者の増加に伴い、日本滞在中の体調不良に関する課題が顕著になっています。観光庁の令和5年度「訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査」によれば、訪日旅行者の約4%が日本滞在中に病気や怪我など何らかの体調不良を経験しており、体調不良者のうち70%以上は風邪や発熱、腹痛、下痢などの比較的軽症であると報告されています。
しかし実務面では、訪日旅行者が日本の医療サービスを受ける際に複数のハードルが存在します。具体的には「症状に合った病院がどこにあるかわからない」「病院や薬局で症状を十分に伝えられない」といった言語・情報面の障壁や、日本の医療システムに対する理解不足があります。これらは宿泊施設や医療機関側にも影響を及ぼし、フロント対応の負荷増大や医療費の未払い問題の原因となることが報告されています。
なぜセルフケア支援が必要か
こうした課題に対して、旅行者自身が自らの症状に応じて迅速かつ適切に行動できる環境を整備することが重要です。軽症であればOTC医薬品でのセルフケアを促進し、重症あるいは緊急性が高い場合は適切な医療機関に速やかに誘導する仕組みが求められます。
旅行者の自律的な対応は、宿泊施設や医療機関の業務負荷軽減、未払いリスクの低減、地域全体の受入対応力向上につながります。本稿で紹介する実証事業(PoC)は、こうした現場の課題を技術と情報で解決することを目的としています。
PoCの仕組みと東京都内4エリアでの実施概要
本実証事業は株式会社メディ・エンジンと株式会社昭文社ホールディングスが共同で企画・開発した「Japan Medical Advisor(ジャパン・メディカル・アドバイザー)」の実用性と事業性を検証することを目的としています。サービスは訪日旅行者に対して、地域内の医療機関情報や市販医薬品に関するセルフケア情報を多言語で提供するプラットフォームです。
実施期間は2025年12月25日~2026年3月31日で、必要に応じて延長の可能性があります。実証エリアは東京都内の新宿、渋谷、浅草、六本木の4エリアに限定して運用されます。対応言語は英語と中国語(簡体字)です。利用ツールは「医療機関マップ」と「セルフケア診断WEBアプリ」で、WEBアプリのURLは次の通りです:
https://japan-medical-advisor.com/。
利用フローと機能の詳細
実証エリア内の宿泊施設等に「医療機関マップ」を設置し、そこに掲載されたQRコードからユーザーは症状セルフチェックページに誘導されます。ユーザーが現在の症状を入力すると、症状に応じた有効成分や医薬品情報、受診が望ましい診療科目別の医療機関情報が表示されます。
表示された症状情報は医師や薬剤師に提示できる仕様になっており、症状の共有がスムーズに行えます。これにより、必ずしも診察が必要でないケースではセルフケアで対処可能と判断されることが期待され、医療機関の受診負担を緩和します。
- 導線:宿泊施設の医療機関マップ→QRコード→セルフケア診断WEBアプリ
- 出力内容:推奨有効成分、該当するOTC医薬品情報、受診推奨の診療科目と医療機関一覧
- 設計意図:言語の壁を越え、医療行為には踏み込まずに情報提供で適切な選択を支援
参加企業の役割分担と運用体制
今回のPoCでは、両社が得意分野を持ち寄って実証を進めます。株式会社メディ・エンジンは医療・医薬品に関する専門的知見に基づいてPoCの監修・設計・推進を行い、医療機関や宿泊施設へのチラシ設置交渉、ユーザー問い合わせ対応、掲載医療機関および医薬品の選定を担当します。
一方、株式会社昭文社ホールディングスはメディア運営やデジタル地図配信事業に関するノウハウを活かし、サービス設計、DMO等の観光事業者やメディア広告事業者との連携、PoC向け各種データや紙媒体の制作を担います。両社の協力により現場導入と運用の両面をカバーします。
- メディ・エンジンの主な役割
- PoC監修・設計・推進、医療機関・宿泊施設対応、掲載医薬品の選定、ユーザー問い合わせ対応
- 昭文社ホールディングスの主な役割
- サービス設計、地図データ・紙媒体制作、観光事業者との連携、メディア配信
両社は本実証を通じて事業性と有用性を評価し、2026年4月以降の本格運用につなげる計画です。サービスは医療行為や診断を行うものではなく、情報提供に特化している点が明示されています。
PoCで提供される具体的なメリットと運用上の注意点
本サービスは訪日旅行者と関連事業者の双方に対して複数の利点を想定しています。旅行者側では、自国にいる時と同様に医薬品でのセルフケアを行えること、症状に応じた適切な医療機関へのアクセスが可能になることが挙げられます。事業者側では宿泊施設フロントの業務負荷軽減や医療機関での対応効率化、未払いリスクの低減への寄与が期待されます。
一方で、運用面ではいくつかの注意点があります。提供する情報はあくまで参考であり、診断や治療行為には当たらない旨を明確に伝える必要があります。また、掲載する医療機関や医薬品情報の正確性を継続的に保つ運用体制、言語対応の品質管理、ユーザーからの問い合わせ対応の整備が重要です。
- 情報の正確性確保:医療機関・医薬品データの定期更新と監修
- ユーザー対応:多言語での問い合わせ対応フローの整備
- 利用者への注意喚起:医療行為ではない旨の明示と緊急時の受診促進
要点整理(実証事業の主要情報まとめ)
以下の表は本稿で示した実証事業の主要点を整理したものです。期間、実施エリア、対応言語、参加企業の役割など、利用者や関係事業者が速やかに参照できる形でまとめています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| プレス発表日 | 2025年12月25日 15時00分 |
| 実証期間 | 2025年12月25日~2026年3月31日(状況により延長の可能性あり) |
| 実施エリア | 東京都内(新宿、渋谷、浅草、六本木) |
| 利用ツール | 医療機関マップ、セルフケア診断WEBアプリ |
| 対応言語 | 英語・中国語(簡体字) |
| 提供内容 | 外国人受入医療機関情報、薬局情報、症状セルフチェックに基づく有効成分・医薬品情報、受診先の診療科目別案内 |
| 主催・開発 | 株式会社メディ・エンジン、株式会社昭文社ホールディングス |
| 注意事項 | 本サービスは医療機関・医薬品の情報提供を行うものであり、医療行為・診断を行うものではない |
| 関連URL | https://japan-medical-advisor.com/ |
| 参照データ | 観光庁:令和5年度「訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査」 |
本実証事業は、言語や医療制度の違いによる受診ハードルの解消と、旅行者のセルフケア支援を両立させることを目指しています。実証の結果は両社が事業性および有用性を評価した上で、2026年4月以降の本運用に繋げられるかを判断する材料となります。記事では実証の目的、導入手順、企業間の役割分担、運用上の注意点を整理して提示しました。