3/17開幕|ユージン・スミス展「ロフトの時代」
ベストカレンダー編集部
2026年1月14日 13:46
ユージン・スミス展
開催期間:3月17日〜6月7日
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ロフトで育まれた写真表現の転換点──ユージン・スミスの「窓」と都市
20世紀のドキュメンタリー写真を代表する写真家、W. ユージン・スミス(1918–1978)。本展は彼の作品群の中でも特に〈ロフトの時代〉に焦点を当てる日本初の個展であり、報道写真家としての活動のみならず、ニューヨーク・マンハッタンでの生活と創作により顕在化した写真表現の実験性を体系的に提示するものです。
スミスはカンザス州ウィチタ出身で、幼少期より写真に親しみ、地元紙『ウィチタ・イーグル』を経て1940年代から報道写真に専心しました。第二次世界大戦では『ライフ』誌の特派員として激戦地を取材し、戦後は〈カントリー・ドクター〉、〈慈悲の人 シュヴァイツァー〉、〈水俣〉などのフォト・エッセイで広く知られます。1954年に『ライフ』を退いた後、1957年頃からニューヨークの通称「ロフト」に移り住み、そこを拠点にジャズ・ミュージシャンや画家、写真家と交流しながら、従来のジャーナリズムの枠を超えた表現へと向かいました。
ロフトでの生活が写し取ったもの
窓から見下ろすマンハッタンの街並み、屋内でのセッション、アーティストたちとの論議。スミスはそれらを単なる記録としてではなく、時間を超えて本質を浮かび上がらせるための表現手段として写真に落とし込みました。例えば〈私の窓から時々見ると…(As from My Window)〉や〈ロフトから(From the Loft)〉では、定点的に捉えた都市景観や生活の断片が、フォーカスやコントラストの操作によって独自の詩情を帯びています。
ロフトではジャズの演奏やフォークの集いが頻繁に行われ、セロニアス・モンクやマイルス・デイヴィスらとともに、スミスはブレやボケ、強いコントラストを活かす実験的手法で音の躍動や場の緊張を視覚化しました。これらは従来の報道写真に見られる即物的な記録性とは一線を画すアプローチです。
展示構成と注目出品作の詳細
本展はイントロダクションと4つの章から構成され、ロフト期の作品を中心に、前後の重要シリーズを合わせて展示します。収蔵・提供資料にはセンター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー(アリゾナ大学)やアイリーン・アーカイブ(Aileen Mioko Smith Archive)、東京都写真美術館所蔵作品などが含まれます。
展示は以下の章立てで構成されます。各章では写真と短いテキストを組み合わせたフォト・エッセイ的な提示も行われ、スミス自身が展覧会の構成や思想形成に果たした役割が強調されます。
- イントロダクション:スミスの略歴とロフトへ至る背景、戦争取材や『ライフ』誌での活動を整理します。
- 第1章「偉大な都市」:〈ピッツバーグ〉シリーズ(1955–56年)を中心に、都市と労働をめぐる視線を示します。
- 第2章「ロフトの時代」:〈私の窓から時々見ると…〉、〈ロフトから〉、〈ジャズとフォークのミュージシャンたち〉など、ロフトでの制作を48点で構成します。センター・フォー・クリエイティブ・フォトグラフィー所蔵のアーカイブ資料(スケッチ、メモ、切り抜き)もデジタル借用により展示します。
- 第3章「Let Truth Be The Prejudice」:スミス自身が企画・構成した1971年の回顧展の再現を行い、当時展示された約600点のうち当館が所蔵する約500点の中から一部を提示します。ジャーナリズムの真実性と写真家の責任を巡る考察を展覧会として再現します。
- 第4章「水俣─報道と芸術の融合」:〈水俣〉シリーズ(1972年)を中心に、ロフト期で培った表現と報道性が結実した作例を展示します。アイリーン・アーカイブの所蔵資料も紹介します。
主な出品作品と画像クレジット
会場には東京都写真美術館所蔵の以下の主要作品が並びます。図像は展示の重要な位置を占め、撮影年やコレクション情報も明示されます。
- 〈私の窓から時々見ると…〉より(1958年)
- 東京都写真美術館蔵 ©1958, 2026 The Heirs of W. Eugene Smith
- 《セルフ・ポートレイト》(1957年頃)
- ©1957, 2026 The Heirs of W. Eugene Smith
- 《ゴーグルをはめた鉄鋼労働者》〈ピッツバーグ〉より(1955年)
- 東京都写真美術館蔵 ©1955, 2026 The Heirs of W. Eugene Smith
- 〈屋根裏部屋から〉より(1957–58年頃)
- 東京都写真美術館蔵 ©2026 The Heirs of W. Eugene Smith
- 〈ジャズとフォークのミュージシャンたち〉より(1962年頃)
- 東京都写真美術館蔵 ©1962, 2026 The Heirs of W. Eugene Smith
- 《無題(水俣湾での漁猟)》〈水俣〉より(1972年)
- 東京都写真美術館蔵 ©Aileen Mioko Smith
- 《無題(認定患者の遺影を持つ親族たち)》〈水俣〉より(1972年)
- 東京都写真美術館蔵 ©Aileen Mioko Smith
画像提供にはCenter for Creative Photography, The University of Arizona: W. Eugene Smith Archiveの所蔵素材も含まれます。展示の一部では、ロフトの壁面を再現し、スミスが残した言葉やスケッチ、当時の音楽を背景に配置して、思考の軌跡を視覚と聴覚で体感できる構成をとります(再現監修:アイリーン・美緒子・スミス、サム・スティーブンソン)。
会期・会場・関連イベントの具体情報
展覧会は東京都写真美術館(TOPMUSEUM)にて開催されます。会場のアクセス情報や開館時間、観覧料、イベントスケジュールなど、来場を検討するうえで必要な実務情報を以下に整理します。
なお、本展はやむを得ない事情により内容が変更される場合があります。公式の最新情報は東京都写真美術館の展覧会ページでご確認ください(公式サイト:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5095.html)。
開催概要
- 展覧会名(和)
- W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代
- 展覧会名(英)
- W. Eugene Smith and New York: The Loft Era
- 会期
- 2026年3月17日(火)– 6月7日(日)
- 主催
- 東京都、東京都写真美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団)
- 企画
- 室井萌々(東京都写真美術館 学芸員)
- 会場
- 東京都写真美術館 2階展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
- 電話
- 03-3280-0099
- URL
- http://topmuseum.jp (展覧会ページ:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5095.html)
開館時間・休館日・観覧料
開館時間は10:00–18:00、木曜・金曜は20:00まで開館します。原則として毎週月曜日が休館日です。ただし、5月4日(月)は開館、5月7日(木)は休館となります。
観覧料は以下のとおりです。括弧内は団体(有料入場者20名以上)、当館映画鑑賞券提示者、各種カード会員割引料金です。
- 一般:700円(560円)
- 学生:560円(440円)
- 高校生・65歳以上:350円(280円)
次の方は無料です。中学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者(2名まで)は入場無料となります。第3水曜日は65歳以上無料です。また、3月17日(火)~4月5日(日)はウェルカムユース2026キャンペーンにより18歳以下は無料になります。
関連イベント
会期中にはシンポジウム(全3回)やギャラリートークなどの関連イベントが開催されます。シンポジウムでは、アイリーン・美緒子・スミス(アイリーン・アーカイブ)をはじめ、当時の制作背景や展示構成について多角的に論じます。
また、W. ユージン・スミスに深い敬意を寄せる俳優ジョニー・デップが製作・主演した映画『MINAMATA-ミナマター』を、本展会期中の4月下旬~5月初旬(予定)に1階ホールで上映します。上映スケジュールの詳細は展覧会公式ページを参照してください。
展覧会の核心を整理する
本展は、スミスの報道写真的な足跡と、ロフトにおける芸術的実験の両面を併せて提示することにより、彼の写真表現がどのように変転し、やがて〈水俣〉へと結実したのかを可視化します。展示は写真とテキスト、アーカイブ資料、映像、音響を組み合わせ、鑑賞者がスミスの思考過程を追体験できる構成になっています。
以下に、本記事で触れた主要情報を表で整理します。展覧会の基本情報、会期、会場、主な出品作、関連イベント、料金体系などを一覧で確認できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 展覧会名 | W. ユージン・スミスとニューヨーク ロフトの時代(W. Eugene Smith and New York: The Loft Era) |
| 会期 | 2026年3月17日(火)– 6月7日(日) |
| 会場 | 東京都写真美術館 2階展示室(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内) |
| 主催 / 企画 | 東京都、東京都写真美術館(公益財団法人東京都歴史文化財団) / 室井萌々(学芸員) |
| 開館時間 / 休館日 | 10:00–18:00(木・金は20:00まで) / 毎週月曜日(ただし5月4日は開館、5月7日は休館) |
| 観覧料 | 一般700円(560円)、学生560円(440円)、高校生・65歳以上350円(280円)。中学生以下・障害者手帳所持者と介護者(2名まで)は無料。第3水曜日は65歳以上無料。3/17–4/5は18歳以下無料(ウェルカムユース2026)。 |
| 主な展示構成 | イントロダクション、第1章〈ピッツバーグ〉、第2章〈ロフトの時代〉(48点)、第3章 Let Truth Be The Prejudice、第4章〈水俣〉 |
| 関連イベント | シンポジウム(全3回)、ギャラリートーク、映画『MINAMATA―ミナマター』上映(4月下旬~5月初旬予定) |
| 収蔵・協力 | Center for Creative Photography(The University of Arizona)、Aileen Mioko Smith Archive、東京都写真美術館 ほか |
| 公式情報 | 展覧会ページ:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-5095.html / 東京都写真美術館 http://topmuseum.jp / Tel: 03-3280-0099 |
本展は、ユージン・スミスの「記録」から「表現」への転換、ジャーナリズムと芸術表現の交差点を学術的かつ体験的に示す機会となります。展示構成や関連プログラムの詳細、上映スケジュール、イベントの申込方法などは、展覧会公式サイトで確認してください。なお、やむを得ぬ事情により展示内容やスケジュールが変更される場合があります。