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生成AIで揺れる絵を描く人の心理危機を調査

絵を描く人の実態調査

開催日:1月20日

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絵を描く人の実態調査
生成AIって本当に絵を描く人の仕事を奪うの?
調査では88.6%が生計への重大な脅威を感じ、93.3%が仕事に不安ありと回答。収入減は12%に留まる一方、作風模倣や無断利用への恐怖が創作意欲や心理的安全性を深刻に損なっている。
ギルドっていつからどう参加できるの?
FLJは透明性義務化やオプトイン導入などを提言し、ギルド設立は段階的に進行。第1フェーズは2026年4月開始、フェーズ2は2026年9月、フェーズ3は2026年12月以降の予定で参加窓口を設ける計画。

生成AIの台頭が明らかにした「絵を描く人」の心理的安全性の危機

一般社団法人日本フリーランスリーグ(FLJ)は、2026年1月20日12時45分に発表した調査結果で、生成AIの急速な普及が日本のコンテンツ産業、とくに「絵を描く人」たちの心理的安全性に深刻な影響を与えていることを示した。発表は同日、外国特派員協会での記者会見で行われた。

調査は2025年9月30日から10月31日までの1か月間に実施され、回答数は24,991件に上る。回答者構成ではイラストレーターが54.2%、漫画家が15.0%、アニメーターが2.2%で、これら「絵を描く人」が全体の71.3%を占めた。

心理的不安と創作萎縮の実態

調査結果は、生成AIにより「自分の生計が重大な脅威にさらされる」と回答した割合が88.6%(うち「強くそう思う」65.3%、「ややそう思う」23.3%)に達していることを明らかにした。加えて、将来または現在の仕事に不安があるとする回答は合計で93.3%に及ぶ。

加えて、誹謗中傷や無断利用など「他者がトラブルに巻き込まれているのを見聞きした」経験がある人は77.8%で、現場の心理的萎縮を示す指標が高い水準である。

  • 回答数:24,991人
  • 絵を描く職種の比率:71.3%(イラストレーター54.2%、漫画家15.0%、アニメーター2.2%)
  • 生計への脅威を感じる割合:88.6%
  • 仕事に不安がある割合:93.3%

生成AIの影響は従来の技術革新と質的に異なる

調査では、生成AIによる影響が単なる技術革新による市場再編とは異なる様相を示している点が指摘されている。具体的には、収入の変化や職業選択への影響、同意や透明性に関する意識の強さなどが明確に表れている。

収入面では「減った」とする回答は合計で12.0%(「やや減った」9.3%+「大幅に減った」2.7%)と経済的損失の顕在化は限定的だが、すでに約10.8%が今後のキャリアとして「創作活動以外の収入源の確保」を検討しており、市場再編前にクリエイターの態度変容が始まっている兆候が見られる。

透明性と同意に対する強い要求

AI学習データの出所や範囲の開示を法律で義務付けることを重要とする回答は92.8%に達した(「非常に重要」85.8%+「ある程度重要」7.0%)。また、データ学習利用の同意方式については61.6%がオプトイン(事前許諾制)を支持し、原則禁止を含めると合計で88.2%が強力な同意管理を求めている。

補償モデルに関しては、提示されたサブスク型やライセンス型などの案に対し33.3%が「いずれも共感できない」と答え、まずは権利のコントロール権を確保したいという姿勢が強い。

収入減少(合計)
12.0%(やや減った9.3%+大幅に減った2.7%)
創作以外の収入源を検討
10.8%
学習データの透明性義務化を支持
92.8%
オプトイン支持
61.6%

行政・クリエイター双方への提言とギルド設立の構想

FLJは調査結果に基づいて、行政向けとクリエイター向けの提言を明示した。提言は法整備と制度設計、現場の組織化による当事者の発信力強化に重点を置いている。

行政向け提言では、学習データの透明性義務化、ラベリング義務化とアウトプット違法性のガイドライン化、公正な収益還元スキームの構築、クリエイター労働政策の整備、そしてクリエイター統括機関の創設を掲げる。

主な行政向け提言

  • AI開発企業に対するデータセット出所・範囲の開示義務化とオプトイン環境の整備
  • AI生成物のラベリング義務化と悪質な権利侵害に対するガイドラインの策定
  • データ使用料ライセンスや収益シェア等を含む、公正な収益還元スキームの構築
  • コンテンツ産業の持続性を高めるクリエイター労働政策(契約対等性等)の整備
  • クリエイターの権利保護と振興を一元的に担う専門機関の設置(韓国の法制度を参照)

クリエイター・業界への提言

クリエイター側には、個人から連帯へと向かう組織化、契約・権利に関するリテラシー強化、感情論に偏らないエビデンスに基づく意見表明の必要性が提示されている。

これら提言を受け、FLJは「絵を描く人」の横断的ギルド(連帯基盤組織)の設立支援を中心としたアクションプランを提示した。発起人には小池アミイゴ氏、森川ジョージ氏らが名を連ねる。

ギルド構想の具体的ステップと調査協力体制

ギルド設立に向けた実行ステップは三段階で計画されている。第1フェーズは2026年4月からの参加基盤づくり、第2フェーズは2026年9月からの政策ブリーフ発行と定例意見交換会の開始、第3フェーズは2026年12月以降の合意形成と実装提案である。

ギルドの目的は、国内外のルールメイカーに日本の「絵を描く人」の現状と意向を正確にインプットし、生成AIの普及とクリエイターの権利・働き方の間に「最適な接点」を見出すこととされている。組織形態は労働組合、協同組合、一般社団法人などから最適な形態を選択する予定で、既存の職能団体や活動との連携を重視する。

発起人と連携方針

  • 発起人:小池アミイゴ(イラストレーター・画家)、森川ジョージ(漫画家)
  • 組織形態:労働組合、協同組合、一般社団法人等から選択
  • 連携:団体加盟と個人加盟の双方を受け入れ、対立ではなく協調を志向

調査は紀尾井町戦略研究所株式会社の調査チームが作成・集計・分析を行い、37の協力団体が参加している点も明示されている。

調査概要と関係者一覧の整理

調査概要、連携団体、問い合わせ先、FLJの組織情報や協力体制、アドバイザー・サポーター一覧など、プレスリリース内の情報をこの章で整理する。

問い合わせ先は以下の通りで、調査票へのリンクやフル回答の公開先も明記されている。

項目 内容
調査期間 2025年9月30日~2025年10月31日
調査方法 インターネット上でのアンケート
回答者数 24,991人
調査票 https://t.co/A10SLNaxNt
調査回答全文 調査回答全文(Google Drive)
問い合わせ先 一般社団法人日本フリーランスリーグ 西野ゆかり
Mail freelanceleagueofjapan@gmail.com 電話 080-5009-2552
公式サイト https://fl-jp.org/

協力団体は合計37団体が名を連ねており、主要なものとして協同組合 日本俳優連合、日本音楽家ユニオン、東京イラストレーターズ・ソサエティ(TIS)、日本アニメフィルム文化連盟(NAFCA)、日本イラストレーター協会(JIA)などが含まれる。さらに、調査作成・集計・分析は紀尾井町戦略研究所が担当している。

アドバイザー、サポーター、スポンサー情報も公開されており、名誉会長や理事長などの運営組織情報も明示されている。スポンサーの一例として株式会社タイミーが挙げられている。

要点整理(本記事で扱った主要事項の一覧)

以下の表は、本記事で提示した調査の主要結果、提言、ギルド設立計画、および問い合わせ先を簡潔に整理したものである。本文で示した各数値や計画は、発表資料と調査回答全文に基づく。

項目 概要
発表日 2026年1月20日 12時45分(外国特派員協会で記者会見)
調査期間 2025年9月30日~2025年10月31日
回答数 24,991人
主要構成 イラストレーター54.2%、漫画家15.0%、アニメーター2.2%(合計71.3%)
生計への脅威を感じる割合 88.6%
仕事に不安がある割合 93.3%
学習データ透明性義務化の支持 92.8%
オプトイン支持 61.6%
収入減(回答) 12.0%(やや減った9.3%+大幅に減った2.7%)
ギルド設立フェーズ フェーズ1:2026年4月~(参加基盤づくり)
フェーズ2:2026年9月~(政策ブリーフと対話の定常化)
フェーズ3:2026年12月~(合意形成と実装提案)
問い合わせ 一般社団法人日本フリーランスリーグ 西野ゆかり
Mail freelanceleagueofjapan@gmail.com 電話 080-5009-2552

本件は、日本のコンテンツ産業(輸出規模約6兆円)に関わる一次データとして、生成AIとクリエイターの関係性、法制度、産業政策を検討するうえで重要な材料を提供している。調査全文は公開されており、各種提言やギルド設立計画の具体化を通じて、制度や市場のルール形成につなげることが狙いとされている。