生成AI時代、職務経歴書が書類選考で通らない理由
ベストカレンダー編集部
2026年1月27日 13:01
Truemee調査レポート
開催日:1月27日
📅 カレンダーに追加:Google|iPhone/Outlook
生成AIがもたらした職務経歴書の標準化と選考の変化
2026年1月27日10時30分、Xrosspoint株式会社が公表した調査レポートは、生成AIの普及が転職市場に与えた影響を実務レベルで明らかにしています。近年、生成AIを活用して職務経歴書を作成する求職者が急増し、文章の整形や表現の補助として生成AIは非常に有用である一方で、「生成AIで作られた職務経歴書が、企業側では読まれなくなっている」という現象が起きていると報告されています。
Truemee(運営:Xrosspoint株式会社)は、企業の採用担当者・経営者へのヒアリングおよび実際の選考データをもとに、生成AI時代における職務経歴書の課題を分析しました。本章ではまず、生成AIの普及がどのように「差」を消し、選考プロセスに影響を与えているかを整理します。
表現の類似化と印象の希薄化
生成AIの普及により以下のような変化が顕著になっています。
- 表現が似通う
- 構成がテンプレート化する
- 成果や強みが抽象化される
その結果、「一見きれいだが、印象に残らない職務経歴書」が量産され、企業側では早い段階で読み飛ばされるケースが増加しています。採用担当者は膨大な書類を短時間でふるい分ける必要があるため、個性や判断プロセスが見えない文章は優先度が下がる傾向にあります。
現場からの声
Truemeeのヒアリングからは、採用担当者側の具体的な懸念も明らかになりました。採用担当者は書類と面接の間に大きな乖離を感じることが増えています。その結果、書類選考の効率が落ち、面接での時間配分にも影響を与えています。
採用現場からの代表的な意見は以下の通りです。
- 面接と書類のギャップが大きい
- 自身の文章なのに質問に答えられない
- Will/Want といった候補者自身の気持ちが語られない
「正しい文章」が評価を下げる構造的な落とし穴
多くの求職者は「論理的に書けている」「きれいにまとまっている」という基準で職務経歴書を評価します。しかし企業側が実際に評価で重視しているのは、表面的な正しさだけではありません。企業は候補者の意思決定のプロセスや再現性を重要視します。
具体的には、採用担当者が見ているポイントは次の通りです。
- なぜその判断をしたのか
- 業務上の判断基準や意思決定の背景を知ることで、同様の場面で同じように行動できるかを推定します。
- どういう制約条件の中で動いたのか
- 予算や人員、ルールなどの制約を理解しているかどうかで実務適応力を判断します。
- どこに再現性があるのか
- 成果が偶発的なものではなく、再現可能な取り組みであるかを評価します。
生成AIで作られた文章は、これらのプロセス描写が省略または平準化されやすく、結果として「中身が見えない」「判断できない」書類になりがちです。採用側の評価基準と求職者の自己評価基準の間にギャップが生じることが、書類通過率の低下につながっています。
Truemeeの分析と具体的な改善例(Before/After)
Truemeeは問題を「生成AIを使うこと」自体ではなく、「生成AIが出力した文章をそのまま完成形として使ってしまうこと」にあると整理しています。ここでは、実際に示されたBeforeとAfterの事例をそのまま掲載し、どこが評価されない原因で、どの点が評価されるのかを比較します。
以下に、プレスリリースで提示された具体例を示します。まずはBeforeの例です。原文のまま掲載します。
************************************** 業務内容 業務改善プロジェクトに参画し、関係部署と連携しながら業務フローの見直しを実施。 課題の洗い出しから施策立案、実行まで一連のプロセスを担当しました。 実績 業務効率化を推進し、コスト削減および生産性向上に貢献しました。 チーム内外との円滑なコミュニケーションを重視し、プロジェクトを成功に導きました。 企業側の評価(本音) **************************************
この例は、何をやったかが不明瞭で、判断力や再現性を評価できないため、他の応募者と同じ文章に見えてしまう点が問題です。企業側では結果として読み飛ばされるか、保留になり選考を通過できないことが増えています。
次に、Afterの例をそのまま掲載します。こちらは企業が判断できるように書き直したサンプルです。
************************************** 業務内容 受注〜請求までの業務フローにおいて、処理遅延と属人化が発生していた課題に対し、 業務改善プロジェクトの主担当として参画。 現場担当者5名へのヒアリングを実施し、 ・処理工程が担当者ごとに異なる ・判断基準が文書化されていない という2点がボトルネックであると特定しました。 そのうえで、業務判断基準の整理とフロー再設計を行い、 Excel管理からシステム入力への移行ルールを策定・展開しました。 現場担当に変更箇所における業務上の負荷も説明し、メリット・デメリットをわかったもらったうえで業務改善が進むよう工夫しました。その内容を上司に伝え、全体に周知させることで関係各所共通認識を整えるところまでリードをしました。 実績 ・処理リードタイムを 平均5日 → 2日に短縮 ・特定担当者に依存していた業務を 3名体制で対応可能 な状態に改善 上記施策により、月次締め遅延の解消と引き継ぎコスト削減を実現しました。 **************************************
Afterの事例では、個人の担当範囲や行った具体的な行動、定量的な成果が明確に示されています。これにより採用側は「この人が同じ状況で同様の成果を出せる可能性が高い」と判断しやすくなります。
Truemeeは、企業が評価に使う視点、書類選考で実際に見られている項目、採用後のミスマッチにつながる表現を構造化し、生成AIが整えた文章を評価可能な職務経歴書に変換する支援を行っていると説明しています。問題の本質は文章力ではなく、評価される視点を知っているかどうかの差にあると結論づけています。
要点の整理と表でのまとめ
本記事で提示したXrosspoint株式会社(Truemee)の調査レポートの要点を整理します。生成AIは職務経歴書作成の効率を上げる一方で、表面的な正しさが増えることで採用側にとって判断材料が不足するという逆効果が生じています。採用側は意思決定のプロセスや制約条件、再現性を重視しており、これらを明示できない書類は読み飛ばされやすくなっています。
以下の表は、本記事で取り上げたポイントを簡潔にまとめたものです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表者と日付 | Xrosspoint株式会社(Truemee) 2026年1月27日 10時30分 |
| 問題の本質 | 生成AIの出力をそのまま完成形として使うことにより、意思決定プロセスや再現性が不明瞭になる点 |
| 背景① | 表現の類似化、構成のテンプレート化、成果の抽象化により差が消える |
| 背景② | 「正しい文章」が企業にとっては評価不能なケースを生む。企業はなぜその判断をしたか、制約条件、再現性を見ている |
| 企業側の悩み | 書類と面接のギャップ、候補者が自身の文章に説明できない、Will/Wantが語られない |
| Truemeeの対応 | 評価視点の構造化と、生成AI出力を評価可能な職務経歴書に変換する支援 |
| 具体例 | Beforeは抽象的な記述で読み飛ばされる。Afterは担当範囲、行動、制約、定量成果を明示して評価されやすい |
以上が調査レポートの内容とその整理です。生成AIは有力なツールである一方、採用市場では書類の読み手が何を期待しているかを踏まえた表現が求められています。職務経歴書作成にあたっては、行った判断や制約、再現性や定量的成果を明示することが、書類選考を通過する上で重要なポイントになります。