IIJ、WBGTと心拍で個人別熱中症リスク予測を開始
ベストカレンダー編集部
2026年1月28日 12:57
熱中症リスク予測機能開始
開催日:1月28日
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猛暑下の現場に寄り添う新しいリスク予測機能が登場
株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は、2026年1月28日10時10分付の発表で、センシングデータを統合的に管理・活用する「IIJセンシングデータマネジメントサービス」に新たな機能として現場作業者の熱中症リスクを個人単位で予測する「熱中症リスク予測」機能を本日より提供開始したと発表しました。
発表では、近年の気候変動に伴う猛暑の影響を受け、職場における熱中症の深刻化を背景に、事業者の対応強化が進んでいる点が指摘されています。2024年までに熱中症による職場での死亡者数は3年連続で年間30名に達しており、外気温の影響を受けやすい屋外作業を有する事業者にとって、対策は喫緊の課題となっています。
導入背景と法規制の変化
発表資料は、改正労働安全衛生規則が2025年6月1日から施行される点を挙げています。改正規則は特定の高温環境下での作業に対して事業者に対策を義務付けるものであり、対象となる条件はWBGTが28℃以上、または気温が31℃以上の環境下で、連続1時間以上または1日の合計作業時間が4時間を超える作業を行う場合と定義されています。
このような規制と現場での実務的なニーズの両側面に応じ、IIJは既存のWBGTセンサーによる環境管理に個人の生体データを組み合わせる新機能を提供することで、事業者の熱中症対策を補完する狙いを示しています。
「熱中症リスク予測」機能の仕組みと判定基準
今回の新機能は、環境側の指標であるWBGT(Wet-Bulb Globe Temperature)と、個人側の指標である心拍数から算出される作業強度を組み合わせることで一人ひとりの熱中症リスクを予測します。WBGTは暑熱環境による熱ストレスを評価する指数で、乾球温度・自然湿球温度・黒球温度から算出されます(※1の定義に準拠)。
一方、個人の運動負荷を示す「作業強度」は、ウェアラブルセンサーで計測される安静時および活動時の心拍数に基づいて定義されます(※3)。作業強度と環境指標を組み合わせ、日本産業衛生学会が提唱する基準に基づいて熱中症リスクを四段階で判定します。
- 判定の4段階:「高」「中」「低」「対象外」
- 入力データ:WBGT(または簡易WBGT)、ウェアラブル心拍数データ
- 基準:日本産業衛生学会の基準に準拠したアルゴリズム
リスク判定は環境要因と個人差(運動量、暑さへの慣れ等)を考慮するため、従来の環境のみを基にした管理よりもきめ細かな対応が可能になります。これにより、同一の環境であっても個々の作業者に応じた休憩や水分補給の指示が出せます。
通知機能と運用の流れ
判定結果はあらかじめ設定した管理者の通知先に送られます。対応チャネルはメール、Microsoft Teams、Slackのいずれかを選択可能で、作業現場や監督者へ即時に状況を伝達することで休憩促進や早期対応に役立てることができます。
通知は運用ポリシーに合わせて設定でき、異常検知時の迅速な判断材料として活用されることが想定されています。IIJはWebコンソール上でのウェアラブルセンサー一覧画面や詳細画面、システム構成イメージを用意しており、管理者がセンシング状況を確認しやすい構成になっています。
必要機器、価格、利用上の注意点
新機能を利用するには、IIJセンシングデータマネジメントサービスの利用契約が前提となります。既に同サービスをご利用中の顧客は、本機能を追加費用無しで利用可能です。ただし、本機能を利用するにはIIJが指定する対応センサーの購入が必要となります。
以下に、本機能を利用する際に必要となるセンサーの機種を具体的に記載します。WBGT計測または簡易WBGT計測が可能なセンサーと、心拍数を計測するウェアラブル機器の組み合わせが前提です。
| 用途 | 機種名 / 備考 |
|---|---|
| WBGT(または簡易WBGT)計測 | 小型WBGTトランスミッタ(AC100V駆動) TC-793-3-LW1-X-57 |
| WBGT(または簡易WBGT)計測(電池駆動) | 小型WGBTトランスミッタ(電池駆動) TC-793-D2-LW1-X-57 |
| 簡易WBGT(温度と湿度から算出) | 温湿度センサー LAS-603V2(※簡易WBGTのみ対応) |
| 心拍数計測(ウェアラブル) | ウェアラブルセンサー LW-360HR |
簡易WBGTは温度と湿度から算出する方式で、日光や設備からの輻射熱の影響がない環境で利用できる点に留意が必要です(※4)。また、無線通信方式としてLoRaWAN®が利用可能である旨が示されており、低消費電力かつ長距離通信に適した構成を組めます。
価格面では、IIJセンシングデータマネジメントサービス利用者は機能自体の追加費用は不要ですが、前述の通り対象センサーは別途購入する必要があります。導入検討時にはセンサー台数や通信インフラ整備のコストを見積もることが求められます。
利用に際しての重要な注意点
IIJは本機能に関して複数の注意事項を明示しています。まず、ウェアラブルセンサーは医療機器ではない点が強調されています。したがって、本機能は熱中症対策を補助するものであり、疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。
体調に異変を感じた場合は直ちに使用を中止し、医師に相談する必要があります。加えて、熱中症リスク予測値はセンサーの測定誤差や個人差により、体感と異なる結果となる場合があるため、あくまで予防の目安として利用することが求められます。
- 免責および注意事項
- ・ウェアラブルセンサーは医療機器ではない。
- ・本機能は疾病の診断・治療・予防を目的としない。
- ・体調異常がある場合は使用中止と医師相談を推奨。
- ・測定誤差や個人差により判定結果と体感が異なる可能性がある。
サービスの詳細や導入を検討する際の技術的な情報は、IIJのサービスページ(https://www.iij.ad.jp/biz/sdms/)および今回のプレスリリース(https://stg.iw.iij.ad.jp/news/pressrelease/2026/0128.html)を参照するよう案内されています。
導入時の運用ポイントと記事のまとめ
本機能はWBGTセンサーとウェアラブル心拍センサーを組み合わせることで、環境指標と個人負荷を統合し、個別のリスクを四段階で可視化する点が最大の特徴です。通知システムを通じて管理者に即時連絡が行われるため、休憩や水分補給の促進といった現場対応の判断材料として活用できます。
導入にあたっては、対象現場が改正労働安全衛生規則に該当するかの確認、必要センサーの選定と調達、通信インフラ(必要に応じてLoRaWAN)の整備、そして運用ルールの策定が重要となります。加えて、本機能は補助的なツールであることから、現場の教育や健康管理体制の併用も不可欠です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表企業 | 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ) |
| 発表日時 | 2026年1月28日 10時10分 |
| 新機能名 | 熱中症リスク予測機能(IIJセンシングデータマネジメントサービスの機能) |
| 判定方法 | WBGT(または簡易WBGT)と心拍数由来の作業強度を組合せ、日本産業衛生学会基準に基づく四段階判定(高・中・低・対象外) |
| 必要センサー | 小型WBGTトランスミッタ(AC) TC-793-3-LW1-X-57、 小型WBGTトランスミッタ(電池) TC-793-D2-LW1-X-57、 温湿度センサー LAS-603V2(簡易WBGT用)、 ウェアラブルセンサー LW-360HR |
| 通知方法 | メール、Microsoft Teams、Slack |
| 価格 | 既存のIIJセンシングデータマネジメントサービス利用者は機能追加費用無し。ただし対応センサーの購入が別途必要 |
| 注意事項 | ウェアラブルは医療機器ではない。判定は補助的な目安。体調異変時は使用中止と医師相談を推奨 |
| 参照サイト | https://www.iij.ad.jp/biz/sdms/、プレスリリース https://stg.iw.iij.ad.jp/news/pressrelease/2026/0128.html |
本記事では、IIJが発表した「熱中症リスク予測」機能の機能概要、判定ロジック、必要機器、価格・導入条件、利用上の注意点を整理しました。改正労働安全衛生規則の施行や猛暑の深刻化を踏まえ、現場での安全管理や運用設計の参考情報として活用できます。導入を検討する場合は、計測機器の特性や設置環境、運用体制を総合的に評価したうえで、IIJの提供情報を参照しながら詳細な検討を行うことが望まれます。
(注記)本文中の付記番号に関する定義:
(※1)WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature)は乾球温度・自然湿球温度・黒球温度から算出される暑さ指数。
(※2)改正規則の対象条件はWBGTが28℃以上、または気温31℃以上で連続1時間以上、または1日の合計作業時間が4時間を超える作業。
(※3)作業強度は運動時の負荷やきつさの程度を数値で表現したもの。
(※4)簡易WBGTは温度と湿度よりWBGTを算出したもの。輻射熱の影響がない環境で利用可能。