アストロスケールのADRAS-J、防衛大臣賞受賞の意義
ベストカレンダー編集部
2026年2月3日 16:01
防衛大臣賞受賞
開催日:2月3日
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アストロスケールが示した『接近』の確かさ──防衛大臣賞受賞の背景
持続可能な宇宙環境の実現を目指して軌道上サービスに取り組む株式会社アストロスケールは、商業デブリ除去実証衛星『ADRAS-J』の取り組みにより、内閣府主催の第7回宇宙開発利用大賞において防衛大臣賞を受賞しました。受賞は2026年2月3日の発表で公表されています。
宇宙開発利用大賞は、宇宙開発利用の推進に多大な貢献をした優れた成功事例を表彰する制度であり、受賞対象は我が国の宇宙開発利用の進展や国民の認識向上に資する事例に対して授与されます。本件でアストロスケールが受けた防衛大臣賞は、防衛分野における宇宙の安定的利用や国民の安心・安全への貢献が特に顕著であると認められる事例に対して贈られるものです。
受賞理由と位置づけ
受賞は、ADRAS-Jミッションを通じたRPO(ランデブ・近傍運用)技術の実証成果、特に本物のデブリに対する安全かつ精密な接近、近距離撮影、衝突回避機能の確認などが評価されたことに基づきます。防衛の視点からは、宇宙空間の安定利用や災害時の安心・安全に寄与する技術的成果が重視されます。
評価にあたっては、ミッションの達成度、技術の再現可能性や国際的意義などが検討されており、本件は日本発かつ公表情報の範囲で世界初とされる成果が含まれている点が高く評価されました。
ADRAS-Jの実績と技術的詳細:デブリ接近から観測までのプロセス
ADRAS-Jは、2024年2月に打ち上げられた商業デブリ除去実証衛星であり、ミッションの主目的は「対象物体に安全、精密に接近する」RPO技術の実証です。対象は大型デブリ、具体的には日本のロケット上段(全長約11m、直径約4m、重量約3トン)を用いたものでした。
ミッションのフェーズは段階的に実行され、遠距離からの接近、近距離での撮影、周回観測、さらに短距離までの接近と衝突回避性能の検証が含まれていました。これらの実績により、軌道上サービスに必要な基礎技術の確立に貢献しています。
実施された主要な成果
ADRAS-Jが達成した具体的な行動・成果は以下の通りです。これらはミッション成功を示す重要なエビデンスとなります。
- 遠距離からの接近に成功し、対象物体の位置・姿勢の識別を実施した。
- 近距離での撮影に成功し、デブリ表面や構造の詳細な画像データを取得した。
- 対象物体から50mの距離を維持しながら周回観測を行うことに成功した。
- さらに接近して15mの距離まで到達し、より精密な接近制御を実証した。
- 衝突回避機能の有効性を実証し、安全性の担保が可能であることを確認した。
これらの成果は、将来的なデブリ除去や衛星サービス(点検・修理・燃料補給等)の基盤となるRPO技術の有効性を具体的に示すものであり、掲げる『宇宙のロードサービス』の実現に向けた重要なステップです。
技術的用語と注釈:RPOと『世界初』表記の根拠
本件で用いられている技術用語や注釈について、読者が参照しやすいように定義・注記をまとめます。用語の正確な理解は、受賞理由や技術的意義を評価するうえで重要です。
以下は本プレスリリース内の注釈と専門用語の説明です。各注釈はアストロスケールが示した注記に基づいています。
- RPO(Rendezvous and Proximity Operations)
- ランデブおよび近傍運用技術の略称。対象物に安全かつ精密に接近し、相対位置制御や近接観測を行うためのナビゲーション・誘導・制御を含む一連の技術。
- ※1 「本物のデブリへの接近等に成功した商業デブリ除去実証衛星」との表現
- 過去に同様のミッションが実施されたか否かについては、アストロスケールが自社で2024年12月時点までに調査した結果に基づいている旨の注記です。
- ※2
- 前述のRPOの略称と定義。
- ※3 「日本発・世界初」表記
- 2026年1月時点で、公開情報の範囲においてアストロスケールが確認した範囲での表現です。
アストロスケールの事業展開と国際連携
アストロスケールは軌道上サービス分野のリーダーを自認し、衛星の観測・点検、寿命延長、修理・アップグレード、デブリ除去など多様なサービスを提供しています。ADRAS-JやELSA-dなどのミッションを通じてRPO技術を繰り返し実証してきたことが、同社の技術的基盤の強さを示しています。
同社は日本に本社・R&D拠点を置くほか、英国、米国、フランス、イスラエルに拠点を展開し、国際的な協力関係を築いています。採用された先駆的ミッションのパートナーとしては、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、防衛省、米国宇宙軍、欧州宇宙機関(ESA)、英国宇宙庁(UKSA)、Eutelsat OneWebなどが挙げられます。
代表取締役社長のコメント
アストロスケール代表取締役社長・岡田光信は、受賞に際して次のように述べています。『この度の第7回宇宙開発利用大賞で防衛大臣賞という栄誉ある賞をいただき、大変光栄に思います。ADRAS-Jミッションにて実現したRPO技術は、対象物体への安全な接近を可能にすることで、これからの宇宙運用の未来を切り開く技術です。』
また岡田氏は、観測や点検、燃料補給や修理・アップグレード、デブリ除去に共通する技術の重要性を指摘し、宇宙開発を『使い捨て』から『循環型』へ転換することでスペースサステナビリティを支える基盤技術として今後も開発を続ける旨を述べています。
まとめ表:ADRAS-Jと受賞概要の要点
以下の表は、本記事で取り上げたADRAS-Jミッションと受賞に関する主要な情報を整理したものです。表の後に一段落で総括します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年2月3日 13:34(アストロスケール発表) |
| 受賞 | 第7回宇宙開発利用大賞・防衛大臣賞(内閣府主催) |
| 対象ミッション | ADRAS-J(商業デブリ除去実証衛星) |
| 打上げ時期 | 2024年2月 |
| 対象デブリの仕様 | 日本のロケット上段:全長約11m、直径約4m、重量約3トン |
| 実証項目 | 遠距離接近、近距離撮影、50mでの周回観測、15mまでの接近、衝突回避機能の実証 |
| 技術的意義 | RPO技術の実証により軌道上サービス(点検・修理・デブリ除去等)の基盤を強化 |
| 注釈 | ※1・※2・※3の注記あり(※1は自社調査、※3は2026年1月時点の公開情報による表現) |
| 関連組織 | JAXA、防衛省、米国宇宙軍、ESA、UKSA、Eutelsat OneWeb 等 |
| 企業拠点 | 日本(本社・R&D)、英国、米国、フランス、イスラエル |
| 公式サイト | https://astroscale.com/ja/ |
| 関連リンク(宇宙開発利用大賞) | https://www8.cao.go.jp/space/prize/prize.html |
本件は、ADRAS-JによるRPO技術の実証が日本発の重要な一里塚であること、そして防衛や社会的安全性の観点からも高い評価を受けたことを示しています。公表されたデータやアストロスケールの注記(※1~※3)に基づき、技術的な詳細と受賞の背景を整理しました。今後も軌道上サービスに関する技術進展と国際協力の動向が注視されます。