JCB×DNPが実証、指紋認証ICカードで支払いが変わる
ベストカレンダー編集部
2026年2月6日 12:54
指紋認証カード実証実験
開催日:2月6日
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指紋認証付きICカードで変わる決済の“安心感”と“利便性”
株式会社ジェーシービー(以下、JCB)は、大日本印刷株式会社(以下、DNP)と共同で、指紋認証機能を搭載したICカード(以下、指紋認証カード)の商用化に向けた実証実験を開始すると発表しました。発表日は2026年2月6日11時00分のプレスリリースに基づくものです。本稿では、今回の取り組みの背景から実証実験の具体的内容、技術的な特徴、関係企業の役割分担までを整理してお伝えします。
近年、クレジットカードの不正利用が増加している一方で、生活者のキャッシュレス決済への依存度は高まっており、「利便性を損なわずに高いセキュリティを実現する」という要請が強まっています。JCBはこうした状況を踏まえ、カードに生体認証を付与することで、従来の暗証番号による認証に替わる本人確認手段を提供する試みを進めています。
なぜ指紋認証カードが必要か
一般的にICカードの非接触決済(タッチ決済)では、一定金額以上の取引で暗証番号入力が求められます。一方、スマートフォンなどのデバイスでは取引時点で本人認証が行われている場合、金額上限なく暗証番号の入力が不要となることが多く、利便性が高い運用が可能です。
指紋認証カードは、カード自体に搭載した指紋センサーでカード上での本人認証を完結させるため、スマートフォンと同様に金額上限のない非接触決済をカード単体で実現できます。また、接触(挿入)決済の場合でも指紋認証による本人確認を行うことで暗証番号の入力が不要となり、よりシームレスな決済体験を提供します。
- 主な利点:利便性向上(暗証番号不要化)、不正利用リスク低減、導入端末の追加が不要
- 動作イメージ:カード右下の指紋センサーに登録済みの指を置くと、カード内部で認証処理が完結
実証実験の設計—検証項目と対象範囲
今回の実証実験は、2018年にJCBが実施した非接触決済特化の実証実験からさらに一歩進め、商用化を視野に入れた広範な検証を行うことを目的としています。実験期間はプレスリリース上での明示はありませんが、DNPがJCB社員に本カードを本年2月より発行するかたちで開始されます。
実験の実施エリアは1都3県のJCB加盟店で、実際の店舗における日常利用を想定して、接触決済・非接触決済双方の操作性や、指紋認証の成功率、既存決済端末との相性、利用者のストレス有無を項目として検証します。
検証される具体的項目
実験では以下のポイントを中心にデータ収集と評価が行われます。これらは商用化可否および運用仕様の最終決定において重要な要素となります。
- 接触決済(IC挿入)および非接触決済(タッチ)の操作性評価
- 指紋認証の成功率(環境や使用条件による差分の把握)
- 既存決済端末との互換性・相性(導入端末の追加不要性の確認)
- 日常利用における利用者のストレスや阻害要因の抽出
これらの検証により、カード会員の利便性を高めつつ、不正利用への対策を強化できるかを判断します。実験対象はJCB社員に限定して発行されるカードを用いるため、実店舗での実運用に近い条件での測定が期待されます。
DNPとJCBの役割および技術的特徴
DNPは今回の実証実験において、指紋認証機能を搭載したカードの製造およびパーソナライズ(個人情報の書き込み)仕組みを提供します。DNPが開発した決済アプリケーションをカードに搭載し、タッチ決済対応の指紋センサー付きICカードとして実運用を想定した技術仕様の策定支援や既存端末での動作確認を担当します。
JCBはカードブランドとしての知見を活かし、実験の設計・運用面での調整、加盟店ネットワーク上での実地検証、実験結果の評価と商用化に向けた要件策定を行います。JCBは1961年設立、国内外で1億7千万人以上の会員(2025年9月末現在)を有する国際カードブランドであり、決済インフラに関する知見が実証実験を支えます。
技術面の要点
指紋認証カードの技術的特徴は以下の通りです。特筆すべきは、指紋情報の認証処理がカード内で完結する点で、外部サーバーへの指紋情報送信を行わない設計が示唆されています。
- 内蔵指紋センサー
- カード右下にセンサーを配置。カード上で指を乗せるだけで認証を行う。
- オンカード認証処理
- 指紋認証処理はカード内部で完結するため、店頭での新たな認証端末導入は不要。
- 決済方式対応
- 接触(IC挿入)型と非接触(タッチ)型の両方に対応。
- 決済アプリケーション
- DNPが開発した指紋認証対応の決済アプリケーションを搭載。
実証実験の期待される効果と今回発表の位置づけ
今回の取り組みは、単なる技術検証にとどまらず、商用化に向けた実運用性の検証を行う点に特徴があります。既存の決済インフラとの整合性を維持しつつ、カード会員にとっての利便性と安全性のバランスをとることが目的です。
プレスリリースにあるように、指紋認証カードは暗証番号入力を不要にすることでカード会員の利便性を高める一方、カードそのものに生体認証を搭載することで不正利用リスクの軽減を期待できる設計です。DNPとJCBはそれぞれの強みを持ち寄り、実運用を想定した設定仕様の策定や端末相互接続性確認などを行います。
実証実験の位置づけ
2018年にJCBが実施した実証実験の延長線上に位置しており、今回はより商用化を視野に入れた検証内容になっています。JCBはカードを通じて「便利だ」「頼れる」「持っていてよかった」と感じられる商品を追求すると表明していますが、報道内容は中立的に実証実験の事実と仕様を伝えるものです。
また、DNPはICカード事業で培った認証・セキュリティ技術を背景に、デジタル・アイデンティティの社会実装へ向けた取り組みも進めており、本実験はその一環とも言えます。
要点の整理(技術・運用・スケジュール)
以下の表は、本記事で取り上げた発表内容を整理したものです。実証実験の対象、検証項目、技術的特徴、関係者の役割分担などを一覧で示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表企業 | 株式会社ジェーシービー(JCB)/大日本印刷株式会社(DNP) |
| 発表日 | 2026年2月6日 11:00(プレスリリース) |
| 実証実験の目的 | 指紋認証付きICカードの操作性・認証成功率・端末互換性・日常利用でのストレス確認、商用化に向けた検証 |
| 対象範囲 | 1都3県のJCB加盟店での店舗利用(JCB社員にカードを発行し実証) |
| 検証項目 | 接触/非接触の操作性、指紋認証成功率、決済端末との相性、日常利用でのストレス有無 |
| 技術的特徴 | カード右下の指紋センサー内蔵、オンカード認証処理、タッチ決済対応、DNPの決済アプリ搭載 |
| DNPの役割 | カード製造、パーソナライズ、指紋認証対応決済アプリの提供、既存端末での動作確認や技術支援 |
| JCBの役割 | 実証実験の企画・運用、加盟店ネットワークでの実地検証、結果評価と商用化に向けた要件整理 |
| 過去の関連実験 | 2018年に非接触決済特化の指紋認証カード実証実験を実施 |
| 会員基盤など参考情報 | JCBは1961年設立、国内外で1億7千万人以上の会員(2025年9月末現在)。DNPは1876年創業の総合印刷企業。 |
上の表は、今回の発表に含まれる主要な事実と数値、役割分担を整理したものです。指紋認証カードは、カード上での生体認証処理により外部端末の追加を必要とせず、既存の加盟店端末での運用を前提に設計されている点が重要です。実証実験の結果は、商用化に向けた仕様の確定や運用ルールの策定に活用される見込みです。