3月定例会で提案 家族丸ごと支援『ホール・レスパイト』
ベストカレンダー編集部
2026年2月13日 21:50
ホール・レスパイト導入
開催日:3月1日
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家族と離れない支援へ──入間市が打ち出す『ホール・レスパイト』を核とした新提案
2026年2月13日18時に公表された入間市の発表によると、同市はヤングケアラー支援の新たなパッケージを令和8年度当初予算案に計上する準備を進めており、来る3月定例会(市議会)で提案する予定です。発表文は、「支援を受けること=家族と離れること」である現在の仕組みに対して疑問を呈し、家族丸ごと過ごす時間を公費で支える日本初の試みとして『ホール(Whole)・レスパイト』を含む3つの施策を打ち出しています。
この提案は、令和7年11月26日に開催されたシンポジウムで検討・議論された内容を踏まえたもので、こども家庭庁の局長や埼玉県議会議長も登壇し、高い評価を得たことから、実行に向けた予算措置へと具体化する運びとなりました。以下では、提案の背景、3つの施策の詳細、登壇者のコメント、市の地域性と問い合わせ先まで、プレスリリースの情報をもれなく整理して伝えます。
制度の『漏れ』と『拒否』をどう埋めるか──提案の背景と3つの狙い
入間市長・杉島理一郎氏は、これまで条例制定や実態調査を進めてきた中で、現場の支援において二つの構造的課題があると指摘しています。一つは、SOSを出せない潜在的ヤングケアラーが見落とされること。もう一つは、支援対象と認定しても家族と離れることを恐れる「介入拒否」や、既存支援とのミスマッチにより支援が届かないケースがあることです。
この「制度の狭間」を埋めるため、入間市は次の三つの施策をワンパッケージとして令和8年度予算案に盛り込む予定です。三施策はいずれも、従来の“分離保護”型支援の前提を見直し、家族の在り方を重視する点が特徴です。
- 完全把握:独自データベース構築と3階層(予備群・要注意・未支援)分類による漏れのない支援体制の確立。
- 心理的壁の突破:家族丸ごと支援する新概念『ホール・レスパイト』の導入(日本初と位置付ける公的支援化)。
- 実務的壁の突破:制度の枠を超えて対応する『カスタマイズサポート』の実装、必要なら新メニューを創出する運用。
施策の具体的中身:発見・共有・支え切るための運用設計
入間市が来年度から始動させる三つの施策は、それぞれ役割が明確です。ここでは施策ごとに具体的な内容と運用の骨子を整理します。
① 発見する:独自データベースと3階層分類で「誰一人取り残さない」
支援を待つだけではなく、行政が能動的にリスクのある家庭を可視化するため、福祉系システムと住民情報を連携させた独自データベースを構築します。対象者は「予備群」「要注意」「未支援」の3階層に分類され、追跡や面談頻度に差を設けた継続的アプローチを行います。
具体的な追跡頻度は、予備群には年1回の接触、要注意層には半年ごとの追跡調査を行う設計が盛り込まれています。こうした定期的な行政からのアプローチにより、助けを言えない子どもたちを捕捉し、支援に繋げることを目指します。
② 心を開く:『分離』から『共有』へ。ホール・レスパイトの構想
従来のレスパイト(短期の分離休息)は、被介護者と一時的に距離を置くことを前提としてきましたが、入間市の提案は逆の発想です。ヘルパーや専門スタッフが黒子役として同行し、家族全員でテーマパークや食事などのレジャーに出かけることを行政が支える「ホール・レスパイト」を導入します。
この仕組みは、家族全体で日常のケアや将来不安から離れ、ただの親子として笑い合う時間を生み出すことを目的としています。プレスリリースではこの仕組みを自治体主導のヤングケアラー支援において家族全員でのレジャー帯同を公的支援化した点で『日本初』と明記しています。
③ 支え切る:カスタマイズサポートで『ないなら作る』運用へ
既存メニューに適合しないニーズに対しては、柔軟に新たな支援メニューを設ける「カスタマイズサポート」を整備します。学習支援や家事支援といったパッケージでは対応しづらいケースに対して、個別のニーズに合わせた支援を設計し、実行できる体制強化を予算に含める予定です。
市は「予算や前例がないから出来ません」と断るのではなく、「君が必要なら作るよ」と行政が答えられる仕組み作りを目指します。今回の予算案には、そのための人的・運営費も計上する予定とされています。
国・県・当事者の声と市長の説明――『イルマモデル』としての評価
シンポジウムではこども家庭庁の齊藤馨 支援局長、埼玉県議会議長の白土幸仁氏、元ヤングケアラーでこども家庭審議会委員の南光開斗氏らが登壇し、入間市の提案に対して様々な角度から期待を示しました。以下に登壇者の主なコメントを整理します。
- 齊藤 馨(こども家庭庁 支援局長)
- 「入間市は実態把握で先を行っており、『ホール・レスパイト』のような柔軟な支援は縦割り行政の中では実現が難しい。現場が制度の隙間を埋める挑戦が日本の福祉を変える鍵になる。入間モデルが成功すれば全国の自治体に希望を与えるだろう。」と評価。
- 白土 幸仁(埼玉県議会議長)
- 「ケアラー支援は認知段階を越え、『どう救うか』の段階に来ている。家族のライフスタイルに合わせた柔軟性を持たせた今回の提案は理にかなっている。」と述べました。
- 南光 開斗(元ヤングケアラー、こども家庭審議会委員)
- 「自分だけが楽しむことに罪悪感を持っていた当事者として、第三者が『今日はみんなで楽しんでいいんだよ』と認めてくれるだけで心が軽くなる。こうした発想は当事者の痛みを理解していないと出てこない。」と語りました。
- 杉島 理一郎(入間市長)
- 市長は「最初から全てが完璧に稼働するわけではないが、『制度が整ってからやります』と言っている間にもこどもたちは悩み続けている」と述べ、来年度予算で第一歩を踏み出す意向を示しました。行政の書類上の解決ではなく、地域の家族が日々を笑顔で終えられることを目標に掲げています。
発表文には、令和7年11月26日のシンポジウム開催日や、今回のパッケージが「縦割り行政の壁を越える挑戦」として評価された経緯も記されています。
入間市の地域特性・手続き情報・問い合わせ先とまとめ表
入間市は首都圏から電車で約1時間、狭山茶の産地として400年の歴史を誇る地域資源を持ちます。2022年には内閣府より「SDGs未来都市」に選定され、『Well-being Cityいるま』というビジョンを掲げ、狭山茶文化の継承や多様なまちづくりを進めています。ジョンソンタウンや三井アウトレットパーク入間など、伝統と現代的要素が共存する都市景観が特徴的です。
プレスリリースには、地域課題解決の提案フォームとして『いるま未来共創ラボ』のURLや入間市公式サイト、公式SNSのリンクも掲載されています。取材希望については、3月定例会での提案に先立ち、本事業の背景や担当者の想いについて取材を受け付ける旨が明記されています。
- 発表日:2026年2月13日 18:00
- シンポジウム開催日:令和7年11月26日
- 予算計上目標:令和8年度当初予算案(来年度)
- 提案の場:3月定例会(入間市議会)
- 日本初の定義:自治体主導のヤングケアラー支援において、家族全員でのレジャー帯同を『ホール・レスパイト』と定義し公的支援化した点
以下に、この記事で触れた主要項目を表で整理し、改めて要点をまとめます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年2月13日 18:00 |
| 提案時期 | 3月定例会(市議会)に上程予定 |
| 予算対象年度 | 令和8年度当初予算案への計上準備 |
| 主な施策 |
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| 登壇・賛同した主な関係者 |
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| 問い合わせ先(市) |
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| 関連リンク | |
| キーワード/カテゴリ |
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入間市は、伝統的な狭山茶文化と多様な都市資源を背景に、『Well-being Cityいるま』をビジョンとして掲げています。今回のヤングケアラー支援パッケージは、地域の福祉施策を制度や既成概念に縛られずに設計し直す試みであり、3月定例会での提案を経て予算化・運用へと進む見通しです。取材希望や詳細の問い合わせは、上記の連絡先を通じて受け付けられています。