言葉で照明を操るSPOTLIGHT AIが実機デモ展示
ベストカレンダー編集部
2026年2月18日 15:57
SPOTLIGHT AI実機デモ
開催期間:2月18日〜2月20日
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言葉だけで照明を形にする新しい操作体験
真鍋大度とSinan Bokesoyがロンドンで設立した sonicPlanet と、日本の照明エンジニアリング企業 Tamatech Lab が共同で開発した SPOTLIGHT AIは、日本語・英語の自然言語入力からムービングライトの演出をリアルタイムで生成・制御するツールです。燈体のメーカーや型番、台数に制約はなく、MA Lighting grandMAが対応するあらゆる照明システムで使用できます。
このシステムは、従来の照明プログラミングに必要だった専門用語や複雑なDMX操作をユーザーから切り離し、「どのような光のイメージか」を自然な言葉で表現するだけで演出を生成します。入力されたテキストを数秒で反映し、3Dプレビューと実際の照明へ同時に出力することで、プロトタイピングやクライアントへのデモを即座に行えます。
実際に入力できる表現とデモの場
SPOTLIGHT AIは複雑な専門用語を知らなくても次のような自然な記述で照明を生成します。例示されている入力文は以下の通りです。
- 「オーロラのようにゆっくり揺れる光のカーテン。青と緑が波打つように交互に現れる」
- 「すべてのライトが床の上で渦巻きを描き、5秒かけて中心に集まってまた広がる」
- 「深呼吸するようなリズムで全体がゆっくり明滅する、暖かいオレンジ色」
- 「ホタルの群れが夜の森を漂うように、ランダムに点滅しながらふわふわと動く」
これらの文章を入力して Generate ボタンを押すと、AIが数秒で演出を生成し、画面右側の3Dプレビューと接続先の実機にそのまま反映します。ProLight & ProVisual 2026(会期:2026年2月18日〜20日、会場:東京ビッグサイト)では、Tamatechブースにて実機デモが展示されています。
数式ベースで表現する照明生成の核
SPOTLIGHT AIの中核は、照明の挙動を「数式」として生成する独自アプローチです。ユーザーの自然言語入力はAnthropic社の大規模言語モデル「Claude」に送信され、AIは照明制御のための数学的関数群をJSON形式で返します。
返されるデータは、各スポットライトの位置座標(x, y, z)と色(R, G, B)を時間tとオブジェクト番号に依存する数式で表現する形です。これにより、キーフレームを大量に生成して送る従来方式ではなく、連続的な関数で無限時間の動きを表現できます。
数式アプローチの利点と実装要点
この方式の主な利点は、データ量が非常に小さく、リアルタイム編集やネットワーク越しの伝送に適している点です。わずか6つの数式(位置3軸+色3チャンネル)で任意の台数×無限時間の演出を表現できます。数千フレーム分のキーフレームを事前に生成する必要がありません。
システム内部では数式エバリュエーターが毎秒60フレームで各灯体の座標と色を算出し、3つのプロトコルに同時送出します。数式は灯体ごとに位相やオフセットを与えることで多台数分の独立した動きを作り出します。
- 使用される数学関数例
- 三角関数(sin/cos)、ノイズ関数、smoothstep、floor、fmod、補間、複合三角関数(多周波数合成)など30種以上
- 表現されるフォーメーション
- グリッド、螺旋(Helix)、リサージュ曲線、円形・多角形軌道、ホタルのようなランダム運動など
- 返却形式
- JSONで数式群を返却(objectIndex変数により各灯体に固有座標を割り当て)
- 空間座標系
- メートル単位の物理座標系(縦横10m×10m、高さ3.5mの3D空間を想定してドキュメント化)
既存ワークフローとの接続性と現場対応
SPOTLIGHT AIは特定機種に依存しない設計で、MA Lighting grandMAがサポートするフィクスチャであれば、灯体のメーカーや型番、台数を問わず使用可能です。ターゲットポイント制御により、ユーザーは「どこに光を当てたいか(ステージ上の3D座標)」だけを指定すればよく、機種ごとのパン・チルト仕様を意識する必要はありません。
生成されたターゲット座標をgrandMAのPosiStageNet入力として受信すれば、grandMAが灯体に応じたパン・チルト変換を自動で行います。UI上で灯体数を自由に変更でき、objectIndexにより台数の増減にも柔軟に対応します。
サポートするプロトコル(同時出力)
現場の多様性に合わせ、SPOTLIGHT AIは3つの主要プロトコルを同時にサポートします。
- OSC(Open Sound Control):毎秒60フレームで全灯体のターゲット座標と色情報をバンドル送信。TouchDesignerやMax/MSPなどの環境との連携に最適。
- PosiStageNet(PSN v2.03):ステージ上のリアルタイム3D位置トラッキングの業界標準プロトコル。PSNトラッカーとしてマルチキャスト送信し、grandMAなどのコンソールがネイティブに受信可能。
- Art-Net(DMX512 over Ethernet):複数DMXユニバースにまたがるRGBチャンネルを16ビット精度で毎秒60フレーム送出。DMX対応のあらゆる機器と直接通信可能。
これにより、メディアアートから劇場、コンサート、クラブ、インスタレーションまで幅広い現場で利用できます。主要メーカーとしてMartin、Robe、Clay Paky、ETC、Ayrtonなどが挙げられており、LEDバーやPARライトなど多様な灯体も対象です。
操作性、内蔵プリセット、配布形態と今後の計画
ユーザーインターフェースはブラウザベースの黒を基調にしたプロフェッショナルな画面を採用しており、左側のテキストエリアへ自然言語で指示を入力し、Generateを押すだけで生成が始まります。生成結果は画面右側の3Dビジュアライザーに即座に反映され、同時に実機に出力されます。
速度やスケールのスライダーで再生速度や座標の拡大縮小を直感的に調整でき、プロンプトを変えてワンクリックで再生成できます。すべてのプロンプトとAI応答はログに自動保存され、過去のパターンを再利用可能です。
プリセットと3Dプレビュー
SPOTLIGHT AIには300種類の内蔵プリセットがあり、Shuffleボタンでランダムに読み込んで即時に演出体験ができます。プリセットには自然現象・幾何学・有機的動きを含み、代表的な名称は次の通りです。
- Circle Formation(床に大きな円を描く)
- 3D Helix(光が螺旋状に上昇)
- Ocean Wave(正弦波の横伝播)
- Breathing Pattern(ゆっくり明滅)
- Mexican Wave(順番に立ち上がる)
- Fireflies(ホタルのように漂う)
- Lissajous Curves(リサージュ図形)
- Spiral Galaxy(渦巻き銀河)
- Tornado Vortex(竜巻のように回転上昇)
- Jellyfish Pulse(クラゲのドーム型が脈動)
- Rain Drops(雨粒が落下)
さらに、3メートル立方体制約のコンパクトプリセット20種類も同梱され、小規模会場でも適用可能です。右側の3Dビジュアライザーは黒い空間にフィクスチャとビームを描画し、視点を360度回転して確認できます。プレビューと実機出力は完全同期です。
配布形態と将来機能
SPOTLIGHT AIはスタンドアロンバイナリとして配布され、ダウンロードして起動するだけで利用できます。OSC、PSN、Art-Netの接続先設定、AIモデルの選択、表示オプションなどはアプリUIから直感的に操作可能です。
短期的には音声入力やBPM、楽曲解析によるサウンドリアクティブ機能、セマンティックな照明制御の実装を予定しています。中長期的にはシーンを連結してショー全体の照明タイムラインを管理する機能や、既存照明コンソールとの双方向通信によるハイブリッド制御も計画されています。
展示情報と関連リンク、連絡先
SPOTLIGHT AIの実機デモは、ProLight & ProVisual 2026(会期:2026年2月18日(水)〜20日(金))のTamatechブースで展示されています。会場は東京ビッグサイトです。
公式ページとプロジェクト、開発元のリンクは以下の通りです。詳しい技術資料やダウンロード先はこれらのページで確認できます。
- Spotlight-AI: https://projects.daito.ws/spotlight-ai
- sonicPlanet: https://www.sonicplanet.com
- TamatechLab: https://www.tamatech.co.jp/
- ProLight & ProVisual 2026 公式サイト: https://prolight-provisual.jp
問い合わせ先として、開発に携わる真鍋大度のメールアドレスが公開されています:daitommmmm@gmail.com
要点の整理
以下の表は本記事で説明したSPOTLIGHT AIの主要な仕様や展示情報をまとめたものです。各項目は製品理解のために特に重要なポイントを抽出しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | SPOTLIGHT AI |
| 開発 | sonicPlanet(真鍋大度、Sinan Bokesoy) × Tamatech Lab |
| 機能概要 | 日本語・英語の自然言語入力からムービングライト演出をリアルタイム生成・制御 |
| AIモデル | Anthropic Claude にプロンプトを送信し、数式JSONを受信 |
| 生成形式 | 数式(位置x,y,z と 色R,G,B の6式)をJSONで出力 |
| エバリュエーター | 毎秒60フレームで座標・色を算出 |
| 数式要素 | 三角関数、ノイズ、smoothstep、floor、fmod 等 30種以上 |
| プロトコル | OSC、PosiStageNet(PSN v2.03)、Art-Net(DMX512 over Ethernet、RGB 16ビット精度) |
| 互換性 | MA Lighting grandMAが対応するフィクスチャ(Martin、Robe、Clay Paky、ETC、Ayrton等)およびLED/ PAR等 |
| プリセット | 内蔵300種類(+コンパクト20種)、例:Spiral Galaxy、3D Helix、Fireflies、Lissajous 等 |
| UI/操作 | ブラウザ風黒基調インターフェース、テキスト入力→Generate、3Dビジュアライザー、速度・スケールスライダー、ログ保存 |
| 配布形態 | スタンドアロンバイナリ(ダウンロードして起動) |
| デモ展示 | ProLight & ProVisual 2026(2026/2/18〜20) 東京ビッグサイト Tamatechブース |
| 関連URL/連絡先 | Spotlight-AI: https://projects.daito.ws/spotlight-ai sonicPlanet: https://www.sonicplanet.com TamatechLab: https://www.tamatech.co.jp/ 問い合わせ: daitommmmm@gmail.com |
上表はSPOTLIGHT AIの機能・設計方針・現場接続性・配布・展示に関する主要な情報を整理したものです。自然言語からの直感的な操作、数式による高効率な演出表現、既存照明ワークフローとの互換性という3点がこのシステムの中核であり、現場でのリアルタイム制御やリモート確認、幅広い機器対応を同時に実現しています。