4月7日開幕|再訪 日本の映画ポスター芸術展
ベストカレンダー編集部
2026年3月6日 19:28
映画ポスター芸術展
開催期間:4月7日〜7月26日
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映画ポスターが語るもうひとつの映画史──展覧会の狙いと背景
映画のポスターは本来、劇場や街角で新作を伝える宣伝媒体として作られてきました。日本においては製作・配給会社の意向のもとで匿名的に制作されるケースが多く、ポスターそのものが独立したアートとして扱われることは必ずしも一般的ではありませんでした。しかし、歴史を遡ると、宣伝を超えて独立したグラフィック作品として成立するポスターが存在していることが確認できます。
本展は2012年に国立映画アーカイブが開催した「日本の映画ポスター芸術」展を基に、以降に収蔵された新資料を加えて再構成したものです。とりわけ1960年代以降、粟津潔、横尾忠則、和田誠、石岡瑛子らの新世代デザイナーや、ATG(日本アート・シアター・ギルド)の活動が映画ポスター表現に与えた影響に着目し、映画とグラフィズムの交差点を改めて検証します。
1960年代以降の変化点
1960年代は日本のグラフィックデザイン史上、重要な転換期です。映画・演劇・美術・文学など異なるジャンルの表現が交差し、ポスター制作の現場にも新しい才能が流入しました。結果として、従来の「分かりやすい宣伝物」から逸脱し、視覚的な実験や個人的な表現をともなうポスターが増えていきます。
この章では、そうした時代背景がどのようにしてポスター表現の多様化を生んだかを整理します。たとえば、日本アート・シアター・ギルド(ATG)の発足(1962年)は、外国映画の配給や1967年の低予算日本映画製作参入を通じて、従来の商業的規範を揺るがす表現をポスターにもたらしました。
展示構成と主要出品作品──見どころを具体的に読む
展覧会は主に1960年代から1980年代に制作された90点以上のポスターを展示し、章立てによって表現の系譜をたどります。各章はポスター表現の特徴をテーマ化し、絵画性、デザイン的革新、業界との関係性それぞれから作品を照射します。
以下に各章の構成と代表的な所蔵作品を示します。出品作は国立映画アーカイブ所蔵であることが明記されています。
第1章:〈描く〉映画ポスター(戦後期)
戦後の映画界が求めたのは「分かりやすさ」を重視するポスターでしたが、その中にあって絵画的手法で映画の情感を描こうとした作家群が存在しました。彼らは映画の美質を深く理解し、画家としての技術を活かしてポスターを制作しました。
代表作の一つとして、野口久光による『禁じられた遊び』(1953年/フランス/ルネ・クレマン監督)が挙げられます。これらの作品は従来の宣伝美学とは一線を画す視覚体験を提示します。
第2章:新世代のデザイナーたち(1960年代)
1960年前後に活動を始めた粟津潔、横尾忠則、和田誠らは、映画への関心をデザイン表現に持ち込みました。業界の慣習にとらわれない自由な発想と多様な技法で、映画ポスターの言語を拡張しました。
具体例として和田誠による草月シネマテークのポスター(1967年)や、横尾忠則『新宿泥棒日記』(1968年/大島渚監督)などが挙げられます。これらは単なる宣伝物を超えた視覚的主張を含みます。
第3章:ATG(日本アート・シアター・ギルド)の衝撃
1962年に活動を開始したATGは、外国アートフィルム配給を通じて新たな映画文化を紹介しました。1967年の低予算日本映画製作への進出は、より自在な表現をポスターに導入する契機となりました。
檜垣紀六『ジャンヌ・ダルク裁判』(1969年/フランス/ロベール・ブレッソン監督)は、その文脈で注目される出品作品です。ATGを巡る流れはポスター制作の自由度と実験性を高めました。
第4章:映画に挑んだデザイナー/アーティスト(1970年代以降)
1970年代以降は、デザイナーだけでなくイラストレーターや漫画家、アーティストらが映画ポスターの制作に招かれ、映画と密接に伴走しました。これによりポスター表現はさらに多面的になります。
具体的な出品例として林静一『曼陀羅』(1971年/実相寺昭雄監督)、粟津潔『リトアニアへの旅の追憶』(1973年/ジョナス・メカス監督)、小笠原正勝『恋の浮島』(1983年/パウロ・ローシャ監督)が挙げられます。これらは時代の風景を投影する証言でもあります。
会期・会場・関連イベント/利用案内
展覧会の正式情報は次の通りです。会期は2026年4月7日(火)から7月26日(日)まで、会場は国立映画アーカイブ展示室(7階)です。休室日は月曜日、および5月12日(火)-17日(日)、5月26日(火)-31日(日)です。
開室時間は午前11時から午後6時30分(入室は午後6時まで)です。なお、4月24日と6月26日の金曜日は開室時間を午後8時まで延長し、入室は午後7時30分まで受け付けます。
トークイベントと展示解説
ギャラリートークや当館研究員による展示品解説が予定されています。各イベントの詳細については後日ホームページ等で案内されます。
現時点で発表されているイベントは以下の通りです。
- 展示品解説―フィルムからポスターを読む:2026年5月23日(土)、7月18日(土) 講師:岡田秀則(当館主任研究員) 場所:展示室内(7階)
- 絵画による映画ポスターの時代―野口久光・土方重巳:2026年6月6日(土) 講師:根本隆一郎(NPO法人古き良き文化を継承する会代表) 場所:展示室ロビー(7階)
- そのほか、ゲストを招いたギャラリートークを開催予定(詳細は後日発表)
アクセスと料金
アクセスは公共交通機関が便利です。最寄り駅は以下のとおりです。
- 東京メトロ銀座線
- 京橋駅 下車、出口1から昭和通り方向へ徒歩1分
- 都営地下鉄浅草線
- 宝町駅 下車、出口A4から中央通り方向へ徒歩1分
- 東京メトロ有楽町線
- 銀座一丁目駅 下車、出口7より徒歩5分
- JR
- 東京駅 下車、八重洲南口より徒歩10分
入場料金は以下のとおりです。括弧内は20名以上の団体料金です。
| 区分 | 料金 |
|---|---|
| 一般 | 250円(200円) |
| 大学生 | 130円(60円) |
| 65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者手帳をお持ちの方、国立映画アーカイブのキャンパスメンバーズ | 無料(付添者は原則1名まで) |
料金には常設展示「日本映画の歴史」の入場料が含まれます。学生、65歳以上、障害者手帳所持者、キャンパスメンバーズの方は入室時に証明書類の提示が必要です。また、国立映画アーカイブ主催の上映会の観覧券(オンラインチケットの購入確認メールまたはQRコードのプリントアウト)を提示すると、1回に限り団体料金が適用されます。
出品リストの抜粋と展覧会の位置づけ
本展は出品作品数が多岐にわたり、ここでは代表的な所蔵作品を明記しておきます。各作品は国立映画アーカイブ所蔵です。
代表的な所蔵作品:
- 野口久光『禁じられた遊び』(1953年/フランス/ルネ・クレマン監督)
- 和田誠「草月シネマテーク『怪奇と幻想』」(1967年)
- 横尾忠則『新宿泥棒日記』(1968年/日本/大島渚監督)
- 檜垣紀六『ジャンヌ・ダルク裁判』(1969年/フランス/ロベール・ブレッソン監督)
- 林静一『曼陀羅』(1971年/日本/実相寺昭雄監督)
- 粟津潔『リトアニアへの旅の追憶』(1973年/アメリカ/ジョナス・メカス監督)
- 小笠原正勝『恋の浮島』(1983年/ポルトガル・日本/パウロ・ローシャ監督)
展示は、絵画的表現、グラフィックデザインの実験、業界と外部表現者の交錯といった複数の視点から日本映画ポスター史を再検討する構成です。1960年代以降のデザイナーたちの活動は、映画産業内部の慣習を変容させ、ポスターが単なる宣伝からアートワークへと位置づけを拡大していった過程を示しています。
重要事項の整理(要点表)
以下の表は、本展に関する主要項目をわかりやすく整理したものです。会期・会場、料金、主な出品作、イベント日程、問い合わせ先を項目ごとにまとめています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企画名 | 再訪 日本の映画ポスター芸術(The Art of Film Posters in Japan: Revisited) |
| 主催 | 国立映画アーカイブ |
| 会期 | 2026年4月7日(火)- 7月26日(日) |
| 休室日 | 月曜日、5月12日(火)-17日(日)、5月26日(火)-31日(日) |
| 開室時間 | 午前11時-午後6時30分(入室は午後6時まで)※4/24、6/26は午後8時まで(入室は午後7時30分まで) |
| 会場 | 国立映画アーカイブ 展示室(7階) |
| 出品点数 | 主に1960年代~1980年代のポスター 90点以上 |
| 代表作 | 野口久光『禁じられた遊び』、横尾忠則『新宿泥棒日記』、粟津潔『リトアニアへの旅の追憶』、林静一『曼陀羅』、ほか多数 |
| 主なイベント | 展示品解説(5/23、7/18)、講演(6/6)ほかギャラリートークを予定(詳細は後日発表) |
| 料金 | 一般250円(200円)/大学生130円(60円)/65歳以上、高校生以下及び18歳未満、障害者手帳所持者、キャンパスメンバーズは無料 |
| アクセス | 京橋(銀座線)徒歩1分、宝町(浅草線)徒歩1分、銀座一丁目(有楽町線)徒歩5分、東京駅徒歩10分 |
| 問合せ・HP | 050-5541-8600(ハローダイヤル)/https://www.nfaj.go.jp/exhibition/posterjapan2026/ |
この展覧会は、従来の映画宣伝資料という位置づけを越えて、ポスターそのものをグラフィックアートとして再評価する機会を提供します。出品作品と解説を通じて、スクリーンの外側に開かれた映画芸術の別の表情を理解することができるでしょう。