4月7日開幕「発掘された映画たち2026」復元39作上映
ベストカレンダー編集部
2026年3月6日 19:33
発掘された映画たち
開催期間:4月7日〜5月10日
📅 カレンダーに追加:Google|iPhone/Outlook
映画資料の発見と復元が描く、新たな日本映画の景色
国立映画アーカイブが2026年4月7日から5月10日まで長瀬記念ホール OZUにて開催する上映企画「発掘された映画たち2026」は、今回で12回目を迎える恒例の特集上映である。主催は国立映画アーカイブと株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービスの共同。会期中は毎週月曜が休館日となる。
本企画では、新たに発掘・復元された映画計39作品(28プログラム)を一挙に上映する。上映作品には、日本映画史上の名作や、従来あまり上映機会のなかった知られざる秀作、アニメーションや実験映画、インディペンデント作品まで多様なジャンルが含まれている。専門家や当館研究員による解説や、弁士・伴奏付の上映も予定されており、視聴覚資料の保存・復元が文化財としていかに重要かを伝える構成になっている。
注目作品とその復元経緯—往時の形に近づけるための手法と成果
今回の特集で特に注目されるのは、作品ごとに異なる原版や寄贈プリントを基に行われた復元・再現作業である。小津安二郎の『父ありき』(1942)は、松竹が保存する87分版原版と当館旧蔵の戦前版をデジタル化し、カット単位で組み合わせたことで現存最長版(92分)のDCPを復元している。2023年にはヴェネチア国際映画祭で初披露されたこの最長版が、国立映画アーカイブで初めて館内上映される。
吉村公三郎監督作『暖流』(1939)は、戦後に短縮・再編集されて以降は主に124分版しか流通してこなかったが、近年発見された169分の16mmプリントから新たに作製した35mmプリントを上映する。オリジナル公開版に近い長尺をスクリーンで確認できるのは希少な機会である。
寄贈原版・新プリントによる復元例
寄贈された16mmプリントを基に復元された作品としては、辻吉郎の代表作『沓掛時次郎』(1929)がある。辻はかつて伊藤大輔と並び評された時代劇の俊英だが、残存作品が少ないため評価の機会が限られてきた。本作は寄贈16mmプリントから復元され、当時の演出のシャープさを確認できる構成となる。
同様に、石田民三の監督作2本『鬪ふ男』『男子有情』や、白井戦太郎の遺作『恩讐を越えて』(改題:『龍の岬』)といった、上映機会の稀な知られざる秀作も原版からのニュープリントで上映される。これらは作品評価の再検討に資する機会となる。
デジタル復元とフィルム特有の処理
デジタル技術を用いた復元だけでなく、フィルムならではの現像・プリント技術も重視されている。例として、カラーフィルムの現像過程で通常は除去される銀を意図的に定着させる特殊な処理である「銀残し」プリントが挙げられる。
銀残し処理は、五社英雄『226』(1989)や阪本順治『この世の外へ クラブ進駐軍』(2004)で採用されている。これらは封切り当時の色彩やハイライト表現を再現するため、当時のカメラマンやタイミング担当者など技術的監修のもとにポジ/ネガ現像過程を最適化し、オリジナルの色彩を再現したプリントで上映される。
また、可燃性オリジナルネガからのダイレクトプリントによって、フィルム本来の諧調(グラデーション)を伝える例もある。『続水戸黄門廻國記』(1938)は後半の3巻のみだが可燃性原版が残っており、そこから作成した複製プリントはフィルム固有の階調表現を示す。
ジャンル横断のラインナップ—アニメーションから実験・インディペンデントまで
本企画はジャンルの広がりも特徴で、アニメーション、実験映画、インディペンデント作品といった多彩な映画表現を紹介する。戦前・戦後をまたぐ作品群により、日本映画史における多様性と変遷が示される。
アニメーション分野では、大藤信郎の千代紙漫画や荒井和五郎の影絵アニメーションが取り上げられている。さらに、2018年の「発掘された映画たち」で公開された『なまくら刀』[新最長版](1917)や、『おとぎ噺 おんぶおばけ』(1958)のデジタル復元版が今回初披露される。
ユニークな現代劇・実験作・インディペンデント作品
戦後のユニークな現代劇としては、小杉勇が監督した東横京都作品『花嫁と乱入者』(1949)がある。住宅難という当時の社会背景を反映した内容で、俳優から監督へ転じた小杉の試みを伝える。
1970年代以降の実験映画やインディペンデント作品もラインナップされている。北村皆雄が大学在学中に制作した『白い影への対話』(1963)や奥村の『三人でする接吻』(1968)といった実験作は寄贈原版から作製したプリントで上映される。
また、独創的なインディペンデント作品として谷口千吉『アサンテサーナ―わが愛しのタンザニア―』(1975)、『戦争の犬たち』(1980)、南雲佑介『真夜中の河』(1988)といった、制作背景や撮影地・テーマに個性のある作品群を紹介する。
上映スケジュール・会場・料金などの実務情報
開催名は「発掘された映画たち2026」(英題:Cinema: Lost and Found 2026)。会期は2026年4月7日(火)から5月10日(日)まで。月曜休館。会場は国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU(2階)。
主催は国立映画アーカイブと株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス。公式情報は国立映画アーカイブの特集ページに掲載されている(https://www.nfaj.go.jp/film-program/hakkutsu202604/)。問い合わせは掲載用連絡先 050-5541-8600(ハローダイヤル)で受け付ける。
- 会期
- 2026年4月7日[火]-5月10日[日](月曜休館)
- 会場
- 国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU(2階)
- 主催
- 国立映画アーカイブ、株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス
- 問い合わせ
- 050-5541-8600(ハローダイヤル)
- 公式情報
- https://www.nfaj.go.jp/film-program/hakkutsu202604/
- 上映作品数:39作品(28プログラム)
- 解説:専門家・当館研究員による解説あり
- 弁士・伴奏付上映:実施予定
チケット料金は以下の通り。障害者料金は付添者原則1名まで同料金が適用される。
| 区分 | 料金(円) |
|---|---|
| 一般 | 1300円 |
| 高校・大学生・65歳以上 | 1100円 |
| 小・中学生 | 900円 |
| 障害者(付添者は原則1名まで)・キャンパスメンバーズ | 800円 |
まとめ:上映作品と要点の一覧
以下の表は、本企画で取り上げられた主な上映作品および会期・会場等の要点を整理したものである。表は作品名、年次、復元・プリントの特記事項を含めてまとめている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企画名 | 発掘された映画たち2026(Cinema: Lost and Found 2026) |
| 会期 | 2026年4月7日(火)-5月10日(日)※月曜休館 |
| 会場 | 国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU(2階) |
| 上映作品数 | 39作品(28プログラム) |
| 主催 | 国立映画アーカイブ、株式会社IMAGICAエンタテインメントメディアサービス |
| 主な上映作品(抜粋) |
|
| チケット料金 |
|
| 問い合わせ・公式 | 050-5541-8600(ハローダイヤル)/https://www.nfaj.go.jp/film-program/hakkutsu202604/ |
今回の特集では、フィルム資料としての保存価値や復元技術の多様性が示されるとともに、長尺版や寄贈原版、可燃性ネガ由来のプリントなど、個々の素材の持つ情報を可能な限り活用している点が特色である。上映によって往時の映像表現の細部や制作時の技術的な選択が可視化され、映画史の理解に資する構成となっている。