2024年10月30日から始まるりんご搾汁残渣の実証実験に注目

りんご残渣実証実験

開催日:10月30日

りんご残渣実証実験
ASTRA FOOD PLANは何を目指してるの?
ASTRA FOOD PLANは、食品ロス削減とアップサイクルを通じて持続可能な社会の実現を目指しているフードテック企業です。
りんご搾汁残渣をどう活用するの?
りんご搾汁残渣をエコフィード飼料や食品原料としてアップサイクルし、経済的な価値を持たせることを目指しています。
ASTRA FOOD PLAN、約9億円の資金調達を実施。農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)に採択 画像 2

ASTRA FOOD PLAN、約9億円の資金調達を実施

フードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN株式会社(埼玉県富士見市、代表取締役社長:加納 千裕)が、農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)に採択され、約9億円の資金調達を実施したことを発表しました。この資金は、持続可能な社会の実現を目指すプロジェクトに活用される予定です。

本事業では、国内の飼料業界のリーディングカンパニーであるフィード・ワン株式会社、105年の歴史を持つ寿高原食品株式会社、ハウス食品グループのヴォークス・トレーディングと連携し、廃棄されていた「りんご搾汁残渣」をエコフィード飼料や食品にアップサイクルする実証実験を開始します。

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飲料残渣の現状と課題

ASTRA FOOD PLANは、食品工場での端材や規格外農作物に加え、飲料残渣の問題にも着目しています。大規模な飲料メーカーでは、1日あたり数十トンの飲料残渣が発生しており、これらは一般的に廃棄されるか、焼却処理されています。特に、飲料残渣は腐りやすく、食品への再利用が難しいため、経済合理性が合わず、アップサイクルが進んでいないのが現状です。

一方で、国内ではリンゴの搾汁残渣が大量に発生しており、これを飼料として活用することが期待されていますが、コストや販売単価の問題から、国内での利用は限られています。海外から輸入されるリンゴの搾汁残渣の乾燥品が主に飼料原料として使用されている状況です。

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寿高原食品の取り組み

寿高原食品は、規格外のりんごを使用して日本初のりんごジュースを製造した企業であり、創業当初から「食品ロス」問題に取り組んできました。現在、同社では最大で1日あたり約20トンのりんご搾汁残渣が発生しており、そのうち半分は堆肥化されていますが、残りは廃棄されています。このような状況を改善するため、ASTRA FOOD PLANとの連携が進められています。

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実証実験の概要

本事業は2027年度までを予定しており、以下の4社が連携して取り組みます。2024年度にはプラントの設計や準備に着手し、2025年度には過熱蒸煎機の量産型機開発を行います。2026年度にはテストプラントでリンゴ搾汁残渣を原料とした飼料および食品原料「りんごパミスぐるりこ®」の生産を開始し、採算性を検証します。

このプロジェクトの目的は、エコフィード飼料と食品の製造を併用することで採算性を高め、経済合理性を担保することです。風味や栄養価を保持したまま乾燥・殺菌できる「過熱蒸煎機」を用いることで、飼料と食品の両方を生産し、経済的なメリットを追求します。

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各社の役割

  • 寿高原食品:工場内での実証実験を行い、りんご搾汁残渣の乾燥・製品化作業を担当。
  • フィード・ワン:飼料メーカーとしての知見を活かし、「リンゴパミスぐるりこ®」を配合した飼料の開発や給餌方法の確立に取り組む。
  • ヴォークス・トレーディング:販路開拓を支援し、飼料以外の用途開発や商品化に向けたマーケティング調査を行う。
  • ASTRA FOOD PLAN:プロジェクト全体の設計・統括を行い、高品質な「リンゴパミスぐるりこ®」の安定供給を目指す。
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関係者のコメント

各社の代表者からは、今回のプロジェクトに対する期待や意義が語られています。寿高原食品の水井寿彦氏は、年間1,000トン以上のりんご搾汁残渣が発生している現状を踏まえ、アップサイクルによる経済的なメリットを強調しました。また、フィード・ワンの鈴木謙吾氏は、食品ロスの削減に向けた取り組みに意欲を示しました。

ヴォークス・トレーディングの小村章夫氏は、持続可能なサプライチェーンの構築に向けた意義を強調し、ASTRA FOOD PLANの理念に賛同する姿勢を示しました。加納千裕氏は、プロジェクトの実現に感謝し、量のインパクトが重要であると述べました。

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ASTRA FOOD PLANの取り組みと今後の展望

ASTRA FOOD PLANは、過熱水蒸気技術を用いた食品乾燥装置『過熱蒸煎機』を開発しており、食品ロスの問題解決に向けた取り組みを進めています。この装置を用いることで、未利用農作物や飲料残渣を高付加価値の食材にアップサイクルすることが可能です。

また、ASTRA FOOD PLANは、年間2000万トンに及ぶ「かくれフードロス」の削減にも取り組んでいます。これにより、持続可能な社会の実現に貢献することを目指しています。

項目 詳細
資金調達額 約9億円
連携企業 寿高原食品、フィード・ワン、ヴォークス・トレーディング
実証実験の目的 りんご搾汁残渣のアップサイクル
プロジェクト期間 2024年度から2027年度まで
主な製品 リンゴパミスぐるりこ®

ASTRA FOOD PLANの取り組みは、フードロスの削減と資源の有効活用に向けた重要な一歩です。今後の展開に注目が集まります。