2024年10月15日から始まる適応ファイナンス普及に向けたNECの新たな挑戦
NECインドネシアとSinar Mas Landの戦略的パートナーシップの概要
2024年10月30日、日本電気株式会社(NEC)の海外現地法人であるPT. NEC Indonesia(NECインドネシア)と、インドネシア最大級の不動産都市開発を手掛けるSinar Mas Land(シナルマス・ランド)のIT子会社であるPT Samakta Mitra(サマクタ・ミトラ)は、適応ファイナンスの普及に向けた戦略的パートナーシップに関する覚書(MoU)を締結しました。
このパートナーシップにより、NECインドネシアとサマクタ・ミトラは、洪水や地震、熱帯低気圧などの自然災害のリスク調査と防災対策の適応価値を可視化するソリューションを開発することを目指します。さらに、民間企業における適応策導入時の金融ニーズに対して、保険会社、銀行、投資会社がより効果的な金融商品を提供できるようなユースケースを創出します。
気候変動と自然災害の現状
気候変動の影響により、世界中で自然災害が頻発しており、企業や自治体の事業活動にも深刻な影響を与えています。特に、気候変動に起因する災害リスクは年々高まっており、これに対処するための適応策が求められています。
しかし、気候変動の影響を予測することは非常に困難であり、災害対策などの適応策の効果を実感するまでには長時間を要します。このため、適応策への投資は公的資金に依存しがちで、資金が不足する傾向にあります。NECは、こうした問題に対処するために、デジタル技術を活用したソリューションを提案しています。
適応ファイナンスの重要性
適応ファイナンスは、気候変動の影響を低減するための適応策を導入する際に必要な資金を調達するための手法の一つです。これには、保険や債券、融資などの金融商品の提供が含まれ、企業や自治体、政府の適応策の導入を推進します。
金融商品の提供においては、気候変動の影響に対するリスクを正確に評価することが重要であり、IoTやAIなどの先進技術の活用が期待されています。
共同研究の開始と調印式
2024年10月15日、NECインドネシアとシナルマス・ランド(サマクタ・ミトラ)は、BSDシティのバイオメディカル・キャンパスにおいて、インドネシアにおける適応ファイナンスに関する共同研究を開始する覚書の調印式を行いました。この調印式には、NECインドネシア社長の山本譲司、シナルマス・ランド CEOテクノロジーアドバイザリー&ビジネス兼 サマクタ・ミトラ CEOのイルファン・ヤスニが署名を行い、受川裕(NEC執行役 コーポレート・エグゼクティブ・バイス・プレジデント)とムリヤワン・ガニ(シナルマス・ランド チーフ・トランスフォーメーション&データ・オフィサー)が立ち会いました。
この共同研究により、気候変動に対する適応策の導入を促進するためのユースケースを開発し、様々な分野における気候変動への適応ステップや解決策を想定することが期待されています。
NECとシナルマス・ランドの期待される成果
NECインドネシアの山本譲司は、「今回の協業は、適応ファイナンスの普及に向けた重要な第一歩です。NECの提供するテクノロジーとソリューションは、適応ファイナンスのソリューション開発のさまざまな分野に活用できます」と述べています。
また、シナルマス・ランドのイルファン・ヤスニは、「適応ファイナンスは、気候変動に起因する災害リスクに直面する中で、より持続可能で安全な環境を提供するための最適な手段となりえます」と期待を寄せています。
デジタルテクノロジーの活用
NECとNECインドネシアは、データ利活用、シミュレーション、AIなどのデジタルテクノロジーを活用し、自然災害のリスクと防災対策の適応価値効果を可視化するソリューション開発を進めることで、適応ファイナンスのユースケース創りを推進します。
これにより、防災を始めとした気候変動適応への民間資金の流入を促進し、社会の強靭化に貢献することが期待されています。
項目 | 内容 |
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パートナーシップ締結日 | 2024年10月30日 |
参加企業 | NECインドネシア、シナルマス・ランド(サマクタ・ミトラ) |
目的 | 適応ファイナンスの普及と自然災害リスクの可視化 |
共同研究開始日 | 2024年10月15日 |
調印式の参加者 | 山本譲司(NECインドネシア社長)、イルファン・ヤスニ(シナルマス・ランド CEO)など |
このように、NECインドネシアとシナルマス・ランドの提携は、気候変動に対する新たなアプローチを提供し、適応ファイナンスの普及に向けた重要なステップとなることが期待されています。