MIRAIWOOD®︎の新製品「CACAO ボンボニエール」発表とサスティナブルデザインの未来

MIRAIWOOD®︎のサスティナブルデザインへの取り組み

菱華産業株式会社が展開するMIRAIWOOD®︎は、産業の廃木粉をアップサイクルした循環型環境素材として、持続可能な循環社会の構築を目指しています。この取り組みは、企業理念の具現化であり、社会との共生を重視したサスティナブルデザインの実現に向けたものです。2024年11月10日、同社はその具体的な取り組みを発表しました。

このサスティナブルデザインは、企業の長期的な成長を目指すものであり、社内外のステークホルダーとの関係を強化し、イノベーションを通じた新たな価値の創出を期待しています。

サスティナブルデザインの背景

MIRAIWOOD®︎の開発は、変化する市場環境やプラスチック成形業界の持続性向上を目的としています。具体的には、プラスチック成形業が導入可能な循環型のバイオマス素材を自社開発し、企業としての独自性と競争力を高めることを目指しています。

このサスティナブルデザインは、産業を取り巻く様々な社会課題をリサーチし、社内外の多様な意見を反映させることで、課題解決型の開発力を自社事業のコア技術として養うことを狙っています。長期的な視点で企業価値を高めるための重要な取り組みです。

サスティナブルデザインの内容と具体的な取り組み

新たに策定されたサスティナブルデザインの概念は「社会課題の解決を具体的なかたちにすることで、循環型社会と共に成長し、持続可能な未来を創造する」というものです。この理念は、MIRAIWOOD®︎のビジョンと方針を具体化したものであり、コアバリューと経営理念に基づいています。

MIRAIWOOD®︎はアップサイクルとリサイクル技術を活用し、社会課題の解決と新たなビジネスモデルを実現するためのPOC（Proof of Concept）を実施しました。具体的には、産業の製造プロセスや地域社会の課題、最終製品のユーザー体験までを詳細に調査し、分析しています。

アップサイクル工程と廃材の有効活用

現在、多くの産業で廃材が発生しています。MIRAIWOOD®︎は木粉や植物廃材に焦点を当て、その有効活用の道を探りました。木工の産地では再生材に対する否定的な意見も存在しましたが、調査と対話を通じて、アップサイクルが新たな収入源となる可能性を見出しました。

また、現在の天然木製品を排除するのではなく、さらに上級に押し上げる効果も期待できることが理解され、協力体制が広がっています。

伝統工芸とのコラボレーション

山中漆器の製造工程で生まれる廃木粉を活用するためには、伝統工芸の技を受け継ぐ職人たちの理解と協力が不可欠です。我戸幹男商店の協力により、サスティナブル素材の木地での工芸実験を繰り返し、工芸の技と道具に適応した「木地」の開発に成功しました。

この木地は、山中漆器の伝統を受け継ぎ、「削る前から美しく」なるようにデザインされています。最終的に、MIRAIWOOD®︎漆器木地は、射出成形でありながら、体積の80%以上が木材でできており、職人が違和感なく使用できる美しい形状を持っています。

新製品の開発と地産地消の取り組み

MIRAIWOOD®︎の取り組みの一環として、カカオハスクをブレンドした茶器「CACAO ボンボニエール」が完成しました。この茶器は、フランスの伝統的なお菓子入れを元にしており、ほんのりチョコレートの香りが楽しめる製品です。さらに、地産地消のサスティナビリティ循環を構築するために、山中漆器の木屑からサスティナブル漆器やバイオマス成形品を製造するプロジェクトが加賀市の新製品開発助成に採択されました。

このプロジェクトにより、石油プラスチックの成形設備で木製品を製造できるようになり、天然木の漆器生産からアップサイクル材料を確保することが可能になりました。

サスティナブルデザインの意義と今後の展望

MIRAIWOOD®︎のサスティナブルデザインは、廃材の処理や石油成分の削減、材料供給の安定化、産地の雇用の安定化、新しい収入源の確保、伝統技術や文化の継承など、ハード面からソフト面までをつなぐことで実現されています。美しい形状の器には、社会課題の解決を目指したサスティナブルデザインの思想が反映されています。

今後、MIRAIWOOD®︎は基盤となる成形技術を元に、サスティナブルデザインによる事業戦略と成長戦略を展開していきます。オープンなイノベーションを目指す企業コンソーシアム「MIRAIWOOD®︎ FORUM」や、産学連携研究のための「日本橋サスティナブルデザイン会議」を通じて、持続可能な成長と循環社会への貢献を目指します。

このように、MIRAIWOOD®︎はサスティナブルデザインを通じて、社会課題の解決と持続可能な未来を創造するための取り組みを進めています。今後の展開にも注目が集まります。