葬儀業界の倒産・廃業が過去最多に、2024年の業界動向とその背景
ベストカレンダー編集部
2024年12月8日 09:45
葬儀業界の動向発表
開催日:12月8日
葬儀業界の現状と課題
2024年12月8日に株式会社帝国データバンクが発表した調査結果によると、葬儀業界では倒産や休廃業が増加しており、その数は過去最多を記録しています。この状況は、特に「格安葬儀」の台頭により、従来の葬儀社が苦戦を強いられていることを示しています。
調査対象は、負債1000万円以上の法的整理による倒産や休廃業・解散した葬儀社で、集計期間は2024年11月30日までとなっています。結果として、2024年には12件の倒産と35件の休廃業・解散が発生し、合計で47件が市場から退出しました。この数は前年に比べて1.7倍のペースで増加しており、2007年に記録された42件を上回る年間最多を更新しています。
少子高齢化と葬儀業の未来
日本は少子高齢化が進行しており、2050年には年間死者数が160万人を超えると予測されています。この「多死社会」の到来は、エンディングビジネスや「終活」といった新たな市場の拡大を促しています。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、2023年の葬儀業の年間取扱件数は50万件を超え、過去最多となりました。
しかし、同年の葬儀業の売上高は5944億円にとどまり、2017年に記録された6112億円には届いていません。この原因の一つとして、コロナ禍を契機に少人数で行う家族葬などの簡素な葬儀スタイルの需要が増加し、葬儀料金の低価格化が進んだことが挙げられます。低価格の葬儀サービスが普及する中、従来の葬儀社は収益の伸び悩みを経験しています。
競争激化と経営環境の厳しさ
現在、葬儀業界では大手葬儀社の店舗開設が相次いでいるほか、ネット葬儀社や異業種からの参入も増えています。これにより、葬儀社の競争環境はますます厳しさを増しています。特に、低価格業者の台頭は、従来の葬儀社にとって大きな脅威となっており、経営戦略の見直しが求められています。
足元では、フラワー葬などの華やかな葬儀スタイルを取り入れることで、多様化する葬儀メニューに対応し、客単価の引き上げを目指す動きが見られます。しかし、コロナ禍により小規模葬が主流となっている現状では、単価の引き上げは容易ではないとの声も多く、中小葬儀社の淘汰や再編が進む可能性が高まっています。
葬儀社の倒産・廃業動向の詳細
以下の表は、2024年における葬儀社の倒産・休廃業の動向をまとめたものです。
| 発生件数 | 倒産件数 | 休廃業・解散件数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 47件 | 12件 | 35件 | 1.7倍 |
このように、葬儀業界は厳しい状況に直面しており、今後の動向が注目されます。特に、低価格化が進む中で、どのようにして競争力を維持するかが重要な課題となるでしょう。
まとめ
2024年の葬儀業界における倒産・廃業の増加は、コロナ禍による葬儀スタイルの変化や、格安葬儀の台頭が影響しています。少子高齢化が進む中で、エンディングビジネスの需要は高まっていますが、同時に経営環境は厳しさを増しています。今後の業界の動向を見守る必要があります。
以下に、この記事で取り上げた内容を再度整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 倒産件数 | 12件 |
| 休廃業・解散件数 | 35件 |
| 総発生件数 | 47件 |
| 前年比増加率 | 1.7倍 |
| 2023年の年間取扱件数 | 50万件超 |
| 2023年の葬儀業売上高 | 5944億円 |
このように、葬儀業界は多くの課題を抱えており、今後の動向に注目が集まります。