ミドリ安全、2024年11月21日に国内初のチェーンソー対策安全靴「V9830C」発売

新たな安全基準に基づくチェーンソー対策安全靴の登場

ミドリ安全株式会社は、2024年11月21日より国内初となる、厚生労働省の「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」に準拠した安全靴「V9830C」を発売します。この製品は、チェーンソー作業における重大事故を防止するために開発され、東京電力パワーグリッド株式会社および株式会社タワーライン・ソリューションの協力を得て実現しました。

本製品は、200足以上の試作を経て、安全性と作業性を両立させることに成功しました。特に、チェーンソー作業に関連する労働災害の発生率が高い中、労働者の安全を守るための重要な製品となります。

林業における労働災害の現状と必要性

厚生労働省の統計によると、令和2年度の林業分野における労働災害の発生率は、1,000人当たり25.5人に達しています。この数値は全産業平均の約11倍であり、特にチェーンソー作業における事故が多く発生しています。

具体的には、平成30年から令和2年までの3年間で、林業労働者の死傷者数は3,865件に上り、その約60％がチェーンソー作業に関連していました。被災部位としては下肢、特に大腿部から足首にかけての負傷が顕著です。このような状況を受け、抜本的な安全対策が求められています。

厚労省ガイドラインの改正と新製品の開発

厚生労働省は令和2年1月31日に「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」を改正しました。この改正に基づき、ミドリ安全株式会社は国内初の安全靴「V9830C」を開発しました。開発にあたっては、現場の声を重視し、林業に従事する作業者や業界専門家との連携を強化しました。

開発プロセスでは、200足以上の実地テストが実施され、高い安全性と作業性を両立する製品を実現しました。これにより、チェーンソー作業向けのヘルメット「SC-23」や防護手袋「MT-C」に続く、重要な製品ラインナップが完成しました。

「V9830C」の製品仕様と特長

「V9830C」は、以下のような特長を持つ安全靴です。

• 厚労省ガイドラインに準拠：国内初のチェーンソー対策安全靴。
• 切創防止構造：接触時に内部繊維が瞬時にチェーンを停止。
• 屈曲性：しなやかな屈曲性により、快適な作業性能を実現。
• 耐滑性能：山林作業に適した優れた耐滑性能。
• 鋼製先芯：超重作業用の鋼製先芯（JIS規格200J）を搭載。
• 袋ベロ構造：木屑や土の侵入を防止。
• 視認性：ガイドライン推奨の視認性の高いカラーを採用。

製品仕様

「V9830C」の詳細な製品仕様は以下の通りです。

開発の背景と現場の声

「V9830C」の開発にあたっては、伐木作業のベテランから新人までの作業者の声を重視しました。現場での具体的な課題として、「靴が重く疲労が溜まる」「雨や泥で滑りやすい」といった問題が明らかになりました。

特に重要だったのは、切創防止材の配置と靴の屈曲性の両立です。防護性能を高めると動きが硬くなり、柔軟性を重視すると安全性が低下するという相反する問題に直面しました。この課題を解決するため、開発チームは10回以上のプロトタイプ改良を行い、特に「クロッギング機構」の挙動を徹底的に検証しました。

使用シーン

「V9830C」は、以下のような使用シーンに最適です。

• 林業作業：大径木の伐採作業、枝払い作業
• 公共工事：街路樹管理、公園整備
• 電力関連：送電線工事の伐採作業、電柱周り整備
• その他：災害復旧作業、緊急対応作業

まとめ

ミドリ安全株式会社が開発した「V9830C」は、チェーンソー作業における安全性を向上させるための重要な製品です。厚生労働省のガイドラインに準拠し、200足以上の試作を経て実現したこの安全靴は、作業者の安全を守るための新たな選択肢となります。

以下に本製品の主な特長と仕様をまとめました。

このように、ミドリ安全株式会社の「V9830C」は、作業者の安全を確保するために設計された製品であり、今後の林業や関連業界における安全対策に貢献することが期待されます。