Solana ERPCが1月31日に本番環境で3倍性能向上を目指す新プロキシ導入
ベストカレンダー編集部
2025年1月11日 05:46
Solana ERPC性能向上
開催日:1月31日
Solana ERPCがRust製の低レイテンシネットワークシステム実装実験で3倍超の性能を達成
ユーザーが機会を逃さずに取引を成立させられるよう、ELSOUL LABO B.V.(本社: オランダ・アムステルダム、代表取締役 CEO: 川崎文武)と、Solanaネットワークの分散化・セキュリティ強化を推進するValidators DAOは、Solana Enhanced RPC(以下「ERPC」)のプロキシを従来のNginxベースからRust製の高性能ネットワークシステムフレームワーク「Pingora」ベースに換装する実験を行いました。この実験により、ピーク時に3倍を超える性能改善を達成したことが発表されました。
今後は本番環境での導入を順次進め、さらなる速度と安定性を提供する予定です。この取り組みは、DeFiトレードやNFTミントなど、アクセスが集中するタイミングでトランザクションを迅速に処理できることが重要であるため、特に注力されたものです。
ピーク時のスループット向上と低レイテンシ化
今回の実装実験では、特にピーク時のスループット向上と低レイテンシ化に注力しました。ERPCは、世界中に配置された300以上のエッジサーバーを活用したグローバルプロキシを提供することで、ユーザーがアクセスするたびに最短距離のサーバーを自動で選択し、常に低遅延で安定した接続を実現しています。
実験の結果、NginxベースのプロキシをPingoraに置き換えたところ、特にアクセスが集中するピーク時に従来比で3倍を超える性能向上が確認されました。RPC接続では大量のリクエストを処理する必要があるため、プロキシの性能改善はユーザー体験に直結します。Pingoraを活用することで、アクセスの増加やノードへの負荷が高まる状況下でも安定した低レイテンシを提供できることがわかりました。
実験の詳細と結果
今回行ったストレス耐性試験では、オープンソースのテストツール「ベジータ(vegeta)」を用いて負荷を与え、NginxベースとPingoraベースの比較実験を行いました。この実験により、以下のような結果が得られました。
- 10秒負荷比較: NginxベースとPingoraベースの性能を比較
- 60秒負荷比較: 同様に、長時間の負荷下での性能を評価
これらの結果から、Pingoraは安定して多くのアクセスを低レイテンシで返却できることが確認され、50%の通信でレイテンシが約1/2、90%の通信では約1/7という大幅な短縮を実現しました。この傾向は、大きな負荷が続くほど顕著になり、高負荷時においても低遅延を維持できる点がPingoraの大きな特長です。
ノーダウンタイムの切り替えと安定性
PingoraはHTTP/1とHTTP/2の両方にネイティブ対応しており、Graceful Reload(ノーダウンタイムリロード)を実現しています。従来のNginxベースのプロキシでは、リスタートごとに接続のリセットが避けられませんでしたが、Pingoraによってユーザーへの影響を極限まで削減し、サービス継続性を高い水準で維持できます。
さらに、アップデートやサーバーダウンが発生した場合でも瞬時にフェイルオーバーし、接続を維持するため、ユーザーは安定したSolana RPC体験を享受できます。このような安定性は、特に重要な取引が行われる場面で、ユーザーにとって大きなメリットとなります。
今後のアップデートと本番環境導入
現在、この新しいプロキシを本番環境へ段階的に導入を進めており、今月中にはアップデートを完了する予定です。これにより、さらなる低レイテンシと高い処理性能を追求し、Solanaネットワーク上のトランザクションをより快適に利用できるようになります。作業が完了次第、改めてアナウンスを予定しています。
最新情報は随時、ERPC公式ウェブサイトおよびValidators DAOの公式Discordなどで公開される予定です。これらの情報を通じて、ユーザーは新たな機能や改善点について常に最新の情報を得ることができます。
ERPC公式ウェブサイト: https://erpc.global/ja
Validators DAO公式Discord: https://discord.gg/C7ZQSrCkYR
ERPC(Solana Enhanced RPC)とは
ERPCは、Solanaネットワークにおける最速のトランザクション処理をいつでも、どこからでも可能にするRPCサービスです。世界中に配置された300以上のエッジサーバーを活用したグローバルプロキシにより、ユーザーがアクセスするたびに最短距離のサーバーが自動で選ばれ、低遅延で安定した接続を実現します。
以下はERPCの特長です:
- グローバルプロキシ: 世界300以上のエッジサーバーが最短経路を自動選択
- 低遅延・高スループット: ピーク時の混雑を想定した設計で常に高速
- フェイルオーバーと高可用性: 障害時にも接続を維持する仕組みが充実
Pingoraとは
Pingoraは、Cloudflare社が開発するRust製の高速・信頼性の高いプログラマブルなネットワークシステムを構築するためのオープンソースフレームワークです。4,000万リクエスト/秒といった膨大なインターネットリクエストをリアルタイムでさばいてきた実績があり、以下のような特長を備えています。
- Async Rustによる高速性と信頼性
- HTTP/1・HTTP/2にネイティブ対応
- TLS (OpenSSL・BoringSSL・rustls(Experimental))
- gRPCやWebSocketのプロキシにも対応
- Graceful Reload(ノーダウンタイムリロード)
- カスタマイズ可能なロードバランシングとフェイルオーバー
- 充実したオブザーバビリティツールのサポート
Pingoraの詳細はGitHubにて確認できます: https://github.com/cloudflare/pingora
まとめ
今回の実装実験により、Solana ERPCはRust製のPingoraフレームワークを採用することで、従来のNginxベースのプロキシに比べてピーク時の性能を3倍以上向上させることに成功しました。これにより、ユーザーは高負荷時でも安定したトランザクション処理が期待できるようになります。今後の本番環境での導入により、さらなる低レイテンシと高い処理性能が提供されることが見込まれます。
以下に今回の内容をまとめます。
項目 | 内容 |
---|---|
実験日 | 2025年1月10日 |
会社名 | ELSOUL LABO B.V.、Validators DAO |
実験内容 | Pingoraを用いたERPCの性能向上実験 |
性能向上 | ピーク時に3倍超の性能改善 |
今後の予定 | 本番環境への段階的導入、アップデート完了予定 |
公式リンク | ERPC公式ウェブサイト |
このように、Solanaネットワークのさらなる発展に向けた取り組みが進行中であり、今後も注目される技術革新が期待されます。
参考リンク: