2024年ネイルサロン倒産過去最多、競争激化と人手不足の課題とは
ベストカレンダー編集部
2025年2月9日 09:44
ネイルサロン倒産調査
開催日:12月31日
ネイルサロン倒産動向の調査結果
株式会社帝国データバンクは、2024年における「ネイルサロン」の倒産発生状況について詳細な調査・分析を行った結果を発表しました。この調査によると、ネイルサロン業界は市場の拡大が続く一方で、2024年の倒産件数が22件に達し、過去最多を記録したことが明らかになりました。
倒産件数の急増は、低資金での開業が可能であるために競争が激化し、さらに人手不足や資金繰りの難しさが大きな課題となっていることが背景にあります。市場は男性やライト層の増加により拡大しているものの、スタッフ不足やセルフネイルの普及などの影響も無視できません。特に、独自のサービスや高い技術を提供できる「フルサービス型」のネイルサロンが、今後の競争において重要な役割を果たすとされています。
2024年の倒産件数とその背景
2024年に発生したネイルサロンの倒産件数は22件で、前年の14件からは8件、約6割の増加を見せました。この数字は、過去に最も多かった2020年のコロナ禍における21件を上回るものであり、業界の厳しい現状を物語っています。
倒産したネイルサロンの多くは資本金100万円未満の小規模店であり、マンションサロンなどの淘汰が進んでいます。このような小規模なサロンは、集客力があっても施術数を増やすことができず、収益確保が難しい状況に直面しています。
市場規模の拡大と顧客層の変化
ネイルサロン市場は、コロナ禍による需要急減を乗り越え、2024年には市場規模が1390億円に達し、前年比16.3%増と大きな成長を見せています。元々の顧客ターゲットであった女性だけでなく、韓流アイドルの影響を受けたライト層や、身だしなみとしてネイルケアを行う男性利用者の割合も増加しており、これが市場規模の押し上げ要因となっています。
顧客層の多様化に伴い、ネイルサロンは従来のサービスに加え、新たなニーズに応じた独自のサービスを提供することが求められています。特に、気軽にネイルデザインを楽しむライト層や、男性向けのサービスを展開することが重要です。
競争の激化と人手不足の問題
ネイルサロン業界は、特別な機器や資格が必要ないため、比較的低資金での開業が可能です。このため、大手から中小の美容関連企業、個人で独立したネイリストが相次いで参入し、競争が激化しています。
さらに、ネイル施術には長時間の集中力と体力が求められるため、施術スタッフが定着しづらいという人手不足の問題が深刻化しています。多くのサロンが、安価で手軽なセルフネイルキットやセルフネイルサロンの新業態に対抗するため、優れたサービスを提供する必要があります。
経営の厳しさと新たな挑戦
コロナ禍の影響を受けたネイルサロンは、ゼロゼロ融資などを受けて経営を維持してきたものの、新たな返済資金の確保が必要となっています。集客力があっても施術数が増やせず、収益確保が難しい状況が続いています。
リピーターや新規顧客の獲得を巡っては、ライバル店との激しい競争が繰り広げられています。特に小規模なネイルサロンにおいては、事業を断念するケースが増加しているのが現状です。
フルサービス型の優位性を訴求する重要性
足元では、安価で手軽なセルフネイルキット製品の普及や、設備が充実したセルフネイルサロンの開店が進んでいます。こうした新たな競合に対抗するためには、フルサービス型のネイルサロンが独自の優位性をどのように訴求できるかが重要です。
多様な顧客ニーズに応じるためには、独自のサービスや高い技術力を持ち、効果的な情報発信を行うことが求められます。これにより、顧客からの信頼を得て、リピーターの獲得や新規顧客の呼び込みにつなげることが可能となります。
| 項目 | 2023年 | 2024年 |
|---|---|---|
| 倒産件数 | 14件 | 22件 |
| 市場規模 | 推定1198億円 | 推定1390億円 |
| 前年比増加率 | – | 16.3% |
以上のように、ネイルサロン業界は厳しい競争環境に直面していますが、市場の拡大や顧客層の多様化により、新たなビジネスチャンスも見込まれています。今後は、フルサービス型のネイルサロンが独自の強みを活かし、競争に勝ち残るための戦略を模索することが重要です。