アストロスケール、防衛省から受注した宇宙システム実証機試作を2025年3月開始
ベストカレンダー編集部
2025年2月27日 11:42
宇宙システム実証機試作
開催期間:3月1日〜3月31日
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アストロスケール、防衛省より機動対応宇宙システム実証機の試作を受注
株式会社アストロスケールホールディングス(本社:東京都墨田区、創業者兼 CEO 岡田光信)の子会社である株式会社アストロスケール(代表取締役社長 加藤英毅)は、防衛省から機動対応宇宙システム実証機の試作を受注したことを発表しました。このプロジェクトは、日本の宇宙運用における安全と持続可能性に貢献することを目的としています。
アストロスケールは、持続可能な宇宙環境を目指し、スペースデブリ(宇宙ごみ)除去を含む軌道上サービスに取り組んでいます。今回の受注は、将来の静止軌道上での宇宙領域把握(SDA)や宇宙監視、情報収集、宇宙作戦能力の向上に必要な技術の軌道上実証を目的とした「静止小型実証衛星」の設計・試作・試験を行うものです。
プロジェクトの概要
本プロジェクトでは、静止小型実証衛星のプロトフライトモデル(PFM)の試作・試験が行われます。防衛省からの契約金額は72.7億円(税込)で、実施期間は2025年3月から2028年3月までとなっています。
このプロジェクトは、アストロスケールにとって日本の安全保障・防衛分野への初めての参入となります。宇宙における安全性と持続可能性を確保するためには、国際的な連携が重要です。各国が脅威を監視し、敵を抑止する能力を向上させる中、RPO(ランデブ・近傍運用)技術を用いた軌道上サービスの重要性が認識されています。
技術の特徴と目的
今回試作される実証機は、高機動性と小型化を特徴とし、光通信の実証も行います。光通信技術は、軌道上でのインフラとして高速データ伝送や安定した通信を可能にします。
具体的には、以下のような技術が実装されます:
- 高機動性:迅速な運用が可能な設計
- 小型化:効率的な設計による運用コストの削減
- 光通信:データ伝送の高速化と通信の安定化
このプロジェクトを通じて、アストロスケールは防衛省・航空自衛隊のSDA能力の向上に寄与し、日本の宇宙運用における安全性と持続可能性を強化します。
代表取締役社長 加藤英毅のコメント
アストロスケールの代表取締役社長である加藤英毅は、今回の受注について次のようにコメントしています。
「今回の受注は、弊社が安全保障分野に初めて参入を果たしたという意味で画期的なことだと考えています。安全保障分野は、すでに参入を果たしている非防衛系政府向け事業、将来の商用事業と並ぶ弊社の三本の事業の一つとして育てていく所存です。」
加藤社長は、RPO技術を基にした安全保障上特有の要求に適応し、軌道上サービスの分野で培ってきた技術を活用していく意向を示しました。
アストロスケールの取り組み
アストロスケールは、軌道上サービスのリーダーとして、安全で持続可能な宇宙開発に取り組んでいます。具体的には、以下のようなサービスを提供しています:
- 衛星の寿命延長
- 故障機や物体の観測・点検
- 衛星運用終了時のデブリ化防止
- 既存デブリの除去
アストロスケールは、2021年3月以降、ELSA-dやADRAS-Jのミッションを通じてRPO技術を実証し、宇宙機の定期的な点検や移動、除去、寿命延長のために多くの衛星運用者が軌道上サービスを導入する流れを作り出しています。
また、アストロスケールの宇宙機は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米国宇宙軍、欧州宇宙機関(ESA)、英国宇宙庁(UKSA)、Eutelsat OneWebとの先駆的なミッションに採用されています。これにより、循環型宇宙経済の可能性が広がり、より持続可能な宇宙の未来が開かれつつあります。
まとめ
アストロスケールが防衛省より受注した機動対応宇宙システム実証機の試作は、日本の宇宙運用における重要な一歩です。以下に本プロジェクトの要点をまとめます:
項目 | 内容 |
---|---|
受注元 | 防衛省 |
契約金額 | 72.7億円(税込) |
実施期間 | 2025年3月〜2028年3月 |
プロジェクトの目的 | 静止小型実証衛星の設計・試作・試験 |
技術の特徴 | 高機動性、小型化、光通信の実証 |
このように、アストロスケールの取り組みは今後の宇宙運用において重要な役割を果たすことが期待されています。今後も、宇宙の安全性と持続可能性の確保に向けた取り組みが進展することが望まれます。