痩せ体型がもたらす健康リスクを解明する共同研究、2月27日より開始

痩せ体型健康リスク研究

開催日:2月27日

痩せ体型健康リスク研究
メディパルとプリメディカが順天堂大学と何を研究するの?
日本人女性の痩せ体型が健康リスクをもたらすメカニズムを解明するための共同研究を行います。
この研究はどんな方法で進めるの?
痩せ体型と非痩せ体型の女性の腸内細菌叢を調査し、Flora Scan®を用いて解析します。

メディパルホールディングスとプリメディカ、順天堂大学との産学共同研究を開始

株式会社メディパルホールディングス(以下、「メディパル」)と、その連結子会社である株式会社プリメディカ(以下、「プリメディカ」)は、2025年2月27日に順天堂大学と共同で「日本人女性における痩せ体型がもたらす健康リスクのメカニズム探索」という研究を開始することを発表しました。この研究は、痩せ体型が健康に与える影響を明らかにすることを目的としています。

日本人女性の痩せ率は先進国の中で最も高く、特に糖尿病や骨粗鬆症などの健康リスクと関連している可能性があることが示唆されています。しかし、痩せ体型が健康リスクをもたらすメカニズムについては、まだ十分に解明されていないのが現状です。近年では、腸内細菌叢がこれらの疾患リスクの背景因子として注目されています。

メディパルホールディングスとプリメディカによる、順天堂大学との産学共同研究開始について 画像 2

研究の目的と方法

本研究では、BMIが18.5未満の痩せ体型の女性と、BMIが18.5以上の非痩せ体型の女性を対象に、腸内細菌叢やその関連因子の違いを調査します。腸内細菌叢の解析には、プリメディカが提供する腸内フローラ検査サービス「Flora Scan®」が使用されます。このサービスは、腸内環境を評価するための特許取得済みのシステムを用いており、日本人特有の腸内フローラタイプを5つに分類し、疾患との関連性や菌の多様性を評価します。

研究の実施にあたっては、順天堂大学が研究の統括、試料収集、統計解析、腸内細菌叢の分析結果の解釈を担当します。メディパルは分析結果の解釈と社会実装を行い、プリメディカは分析とその結果の解釈を行う役割を担います。

研究の意義と期待される成果

メディパルの代表取締役社長、渡辺秀一氏は、「当社グループは、『流通価値の創造を通じて人々の健康と社会の発展に貢献します』という経営理念のもと、医療と健康、美のフィールドで事業を展開しています。本研究を通じて、女性の痩せ体型と腸内細菌叢やその関連因子を明らかにし、健康的な食習慣や生活習慣の示唆につながることを期待しています」と述べています。

また、プリメディカの代表取締役社長、富永朋氏は、「順天堂大学との共同研究を開始できることを大変嬉しく思います。腸内細菌叢の解析により、女性特有の疾患リスクや健康リスクの早期発見に貢献し、女性の生涯にわたる健康に寄与できるよう取り組んでまいります」と語っています。

痩せ体型と健康リスクの関連性

痩せ体型がもたらす健康リスクには、食習慣や代謝・内分泌異常、病気治療で使用する化学療法など、さまざまな原因が考えられます。近年の研究では、痩せ体型が全死亡や疾患のリスクを高めることが示唆されています。特に、痩せ体型の女性は骨粗鬆症や月経不順など、女性特有の疾患リスクが高くなることが知られています。

また、若年痩せ女性は非痩せ女性に比べて耐糖能異常を有する人が多く、糖尿病リスクも高いことが示されています。このように、痩せ体型はさまざまな健康リスクをもたらすことが示されていますが、その関連因子やメカニズムはまだ十分に解明されていません。

痩せ体型に関する統計データ

日本では、若年女性の痩身願望が強く、1980年頃から20代の痩せた女性の割合が大幅に増加しています。現在では、約20%に達しており、これは先進国の中で最も高い水準です。このため、痩せによる健康リスクの保有者は今後さらに増加する懸念があり、痩せに対する健康リスク対策の策定が急務となっています。

関連文献

  1. Takimoto, H., et al. (2004). Thinness Among Young Japanese Women. American Journal of Public Health, 94(9), 1592-1595.
  2. Bhaskaran, K., et al. (2018). Association of BMI with overall and cause-specific mortality: a population-based cohort study of 3.6 million adults in the UK. The Lancet Diabetes & Endocrinology, 6(12), 944-953.
  3. Lim, J., & Park, H. S. (2016). Relationship between underweight, bone mineral density and skeletal muscle index in premenopausal Korean women. International Journal of Clinical Practice, 70(6), 462-468.
  4. Wu, L., et al. (2022). The relation between body mass index and primary dysmenorrhea: A systematic review and meta-analysis. Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica, 101(12), 1364-1373.
  5. Sato, M., et al. (2021). Prevalence and Features of Impaired Glucose Tolerance in Young Underweight Japanese Women. J Clin Endocrinol Metab, 106(5), e2053-e2062.
  6. Yasuda, T. (2023). Desire for thinness among young Japanese women from the perspective of objective and subjective ideal body shape. Scientific Reports, 13(1).

このように、痩せ体型がもたらす健康リスクの理解を深めることは、今後の予防医療や健康管理において重要な意味を持つと言えるでしょう。

研究の概要まとめ

項目 内容
研究名 日本人女性における痩せ体型がもたらす健康リスクのメカニズム探索
研究機関 順天堂大学、メディパル、プリメディカ
対象者 BMI18.5未満の痩せ体型の女性とBMI18.5以上の非痩せ体型の女性
解析方法 腸内フローラ検査サービス「Flora Scan®」を使用
期待される成果 女性の健康リスクの早期発見と食習慣・生活習慣の改善

本研究を通じて、痩せ体型がもたらす健康リスクの関連因子やメカニズムを解明し、すべての女性が心身ともに健康で自分らしく活躍できる社会の実現に向けて貢献していくことが期待されています。

参考リンク: