アスリートの未来を考える!2月26日に開催されたキャリア支援カンファレンスの詳細
ベストカレンダー編集部
2025年3月7日 17:10
アスリートキャリア会議
開催日:2月26日
アスリートのキャリア形成を支援する「Athlete Career Challenge カンファレンス 2025」
2025年2月26日(水)、東京ミッドタウン八重洲にて、スポーツキャリアサポートコンソーシアム(以下 SCSC)が主催する「Athlete Career Challenge カンファレンス 2025」が開催されました。今回で5回目の開催となるこのカンファレンスでは、アスリートのキャリア形成やライフキャリアの向上を目指し、さまざまなプログラムが用意されました。
今年のテーマは、「競技の枠を超えアスリートと共に考えるアスリートの未来」です。従来の開催形式を一部変更し、中央競技団体やアスリート支援に力を入れる企業の取り組みの紹介に加え、現役アスリートやOB/OGが参加するグループワークセッションも行われました。これにより、競技の枠を超えてアスリートの未来を多角的に考える機会が提供されました。
開会の挨拶とカンファレンスの目的
カンファレンスの冒頭では、スポーツ庁の室伏広治長官が開会の挨拶を行い、「アスリートが競技生活で培った能力を引退後も社会で活かせるよう、多角的なサポートを充実させることは重要である」と強調しました。室伏長官自身もトップアスリートとしての経歴を持ち、現役時代から研究教育活動を両立させた「デュアルキャリア」の重要性についても言及しました。
SCSCの髙橋義雄会長は、600名以上の参加者に感謝の意を示しつつ、アスリートの認知度向上に向けた取り組みについて説明しました。アスリートの方々にこの活動を広く知ってもらうことが大きな課題であるとし、今後もJOCアスリート委員会との協力を通じてアスリート認知を広める活動を続ける意向を示しました。
プログラム1:アスリートのキャリア課題とは何か
プログラム1では、「アスリートのキャリア課題とは何なのか」をテーマに、松田丈志氏(JOCアスリート委員会 委員長)、村上茉愛氏(公益財団法人日本体操協会 強化本部長)がファシリテーターを務めました。小林慎一朗氏(一般社団法人日本プロサッカー選手会 マネージャー)と田﨑博道氏(公益財団法人日本陸上競技連盟 専務理事)がそれぞれの団体のキャリア支援に関する取り組みを紹介しました。
小林氏は、日本サッカー選手会が主導する「PLAYER DEVELOPMENT PROGRAM(PDP)」について説明しました。このプログラムは、選手の現役生活中からスキルアップや引退後のキャリア形成を支援する取り組みであり、特に女子選手を対象としたパイロット版が2023年から始動することが発表されました。
- 選手が引退に対する不安を打ち明けられる環境を整えることの重要性
- サッカー以外のスキルアップが選手としてのパフォーマンス向上につながる可能性
田﨑氏は、日本陸上連盟が取り組む「ライフスキルトレーニングプログラム」について紹介し、アスリートが持つイノベーションを起こす力が社会においても価値を持つことを強調しました。アスリートが競技生活で培ったスキルが、社会での成功に繋がる可能性があることを示しました。
プログラム2:アスリートと考えるキャリアビジョンワークショップ
続いて「アスリートと考えるキャリアビジョンワークショップ」が開催され、川島隆一氏(川島事務所代表 / GCDF-Japanキャリアカウンセラー)と岡﨑美穂氏(有限会社レジックスポーツ 代表取締役)がファシリテーターを務めました。このプログラムでは、参加アスリートとグループワークを行い、アスリート自身が抱えるキャリアに関する問題について意見を共有しました。
参加者からは、学生から社会人への移行におけるビジョンの不明確さや、選手としてのキャリアを考える前にセカンドキャリアを考えることへのギャップが指摘されました。また、アスリートが持つ課題解決能力の高さや、社会におけるアスリートの能力に対する認識のミスマッチについても意見が交わされました。
- 競技力向上のためのPDCAサイクルの重要性
- 社会の固定概念とのギャップを埋める必要性
岡﨑氏は、ジュニア期からのキャリア教育の重要性を強調し、「人となり、競技者になる」をスローガンに、子どもたちが人生と競技のデュアルキャリアを学ぶことの重要性について語りました。
プログラム3:アスリート人材に期待するチカラ
最後のプログラムでは、「アスリート人材に期待するチカラ」をテーマに、中村仁氏(ソニー生命保険株式会社 営業所長)、岡本章世氏(イオンモール株式会社 人事統括部 部長)、近藤裕氏(株式会社リクルート HRエージェントDivision Vice President)が登壇しました。企業側から見たアスリート人材の価値について議論が行われました。
中村氏は、アスリートを支援したい企業が多い一方で、支援の際の財政的な課題について言及しました。企業とアスリートのマッチングを図り、アスリート支援のメリットを強調することが重要であると述べました。
岡本氏は、地域のスポーツ団体との協業を通じて、地域社会に還元する取り組みを紹介しました。アスリートが持つ人脈や経験を地域に活かすことが、地域のスポーツ発展に寄与することを説明しました。
近藤氏は、アスリートが持つ「個」の力が企業においてどのように活かされるかを具体的な事例を交えて説明しました。アスリートの持つマインドが仕事においても貢献することを示しました。
カンファレンスの総括と今後の展望
すべてのプログラムが終了した後、SCSCの森岡裕策副会長が閉会の挨拶を行い、登壇者や参加者との貴重な対話が有意義であったことを強調しました。アスリート同士での課題解決に向けた時間が作れたことは、今後のキャリア形成において大きな意味を持つと述べました。
今回のカンファレンスは、アスリートのキャリア形成に関する重要な情報と意見が交わされる場となりました。アスリートが競技生活を終えた後のキャリアについて、より多くの選択肢と支援を得るために、今後もこのような取り組みが続けられることが期待されます。
カンファレンスの概要
| 開催日 | 2025年2月26日 |
|---|---|
| 開催場所 | 東京ミッドタウン八重洲 |
| 主催 | スポーツキャリアサポートコンソーシアム(SCSC) |
| 参加者数 | 約600名 |
| テーマ | 競技の枠を超えアスリートと共に考えるアスリートの未来 |
このように、アスリートのキャリア形成に向けた取り組みは、様々な視点から進められており、今後もさらなる発展が期待されます。アスリート自身が主体的にキャリアを考え、支援を受ける環境が整うことで、より豊かなキャリアを築くことができるでしょう。