幻のアートフィルム『ドリーム・アイランド』復刻プロジェクト、3月21日始動

幻のアートフィルム『ドリーム・アイランド』復刻プロジェクトがスタート

2025年3月21日、株式会社MotionGalleryが発表したプロジェクトは、映画監督ヴィム・ヴェンダースが出演・ナレーションを務める幻のアートフィルム『ドリーム・アイランド ーヴィム・ヴェンダースの失われた夢』をデジタルリマスターし、世界に届けるためのクラウドファンディングを開始したことです。このプロジェクトの目標金額は800万円で、2025年5月15日23:59までの期間で資金を募ります。詳細は公式サイトで確認できます。

『ドリーム・アイランド』は、ヴィム・ヴェンダースが「一番好きな作品」と語る映画『夢の涯てまでも』（1991）のために制作された“夢のシークエンス”がきっかけとなり、東京を舞台にした実写ドラマとして作られた未公開アートフィルムです。この作品は、ヴェンダース自身が編集した約100分間の“夢のシークエンス”を基にしており、彼が12歳の時に撮影した8mmフィルムも使用されています。

プロジェクトの背景と立ち上げの経緯

『ドリーム・アイランド』は、長い間、関係者やファンの間で幻の作品とされてきました。この作品が観られなくなった理由は、1991年に制作された後、レーザーディスク版の特典映像として収録されたのみであり、現代では視聴する手段がなかったためです。

プロジェクトの立ち上げは、2020年1月7日にヴェンダースからアソシエイト・プロデューサーの御影雅良氏に送られたメールから始まりました。その中でヴェンダースは、30年ぶりに『ドリーム・アイランド』を見たいと語り、御影氏は彼にVHSのコピーを送ることになりました。この出来事をきっかけに、作品の復刻を目指す動きが始まりました。

仲田早織氏の関与

プロジェクトの共同代表である仲田早織氏は、『ドリーム・アイランド』の撮影監督を務めた故・仲田能也氏の娘です。彼女は、ヴェンダースの新作『PERFECT DAYS』を観た際、幼少期に父と一緒に観た『ドリーム・アイランド』を思い出し、再びこの作品を観たいという想いを抱きました。仲田氏は御影氏に相談し、プロジェクトの立ち上げに至ったのです。

彼女は、父がこの作品にどのような思いを持っていたのか、またヴェンダースがどのように「夢」を捉えているのかを知りたくなり、御影氏との対話を重ねる中で、失われていたオリジナルテープや16mmフィルムを発見することに成功しました。

クラウドファンディングの詳細

今回のクラウドファンディングでは、デジタルリマスターのための資金を募るとともに、リターンとして様々な特典が用意されています。具体的には、オンライン試写会やオリジナルTシャツ、ブルーレイディスク、完成披露試写会＆記念パーティーなどが含まれます。

資金の使い道は以下の通りです：

• デジタルリマスター化費用（約150万円）
• 著作権者への支払い（約180万円）
• キャンペーン運用費用（約210万円）
• リターン製作費用（約260万円）

プロジェクトのスケジュールは以下のようになっています：

1. 2025年6月：デジタルリマスター作業開始
2. 2025年8月：特設サイト公開予定
3. 2025年11月：完成披露試写会＆記念パーティー実施
4. 2025年12月：オンライン試写会・試写会実施、ブルーレイディスク・リターン発送開始

『ドリーム・アイランド』のストーリーとテーマ

『ドリーム・アイランド』は、恋人を失った女性が見ている東京の独自の空間を描いています。彼女にとっての大切なものは想いであり、東京の新宿公園で音を拾っている男にとっては音がより重要な要素となっています。子供の目は大人とは異なる視点を持ち、夢もまた異なる形で描かれます。

大人たちは「モノ」にこだわるあまり、純粋な気持ちを忘れてしまいますが、観察者であるヴィム・ヴェンダースは、夢の中での自由さや子供たちの笑い声がどのように大人たちを解放するのかを問いかけます。この作品は、夢の島を共に歩くことで、観る者に新たな視点を提供します。

まとめ

今回のクラウドファンディングを通じて、幻のアートフィルム『ドリーム・アイランド』がデジタルリマスターされ、再び観ることができる機会が訪れます。ヴィム・ヴェンダースの独創的な視点と、仲田早織氏の父への思いが融合したこのプロジェクトは、多くの人々にとって貴重な体験となるでしょう。

このプロジェクトが成功することで、ヴェンダースの貴重な作品が再び多くの人々に届けられることが期待されます。