3月24日発売！ユーミンと『14番目の月』で1970年代を読み解く新刊

ユーミンと「14番目の月」

2025年3月24日、株式会社平凡社から発売される書籍『ユーミンと「14番目の月」──荒井由実と女性シンガー・ソングライターの時代』は、ユーミンこと松任谷由実が「荒井由実」名義でリリースしたアルバム『14番目の月』に焦点を当てています。著者はフィンランドの日本音楽研究者ラッセ・レヘトネン氏であり、彼がこのアルバムを選んだ理由には、音楽的なオリジナリティとその歴史的背景が含まれています。

本書は、ユーミンのディスコグラフィーの中でも特に重要な位置を占めるこのアルバムを通じて、音楽・社会・文化が変化した1970年代を読み解きます。ユーミンは、1976年にリリースしたこのアルバムで初めてオリコン1位を獲得し、多くの人々に愛される楽曲を多数収録しています。

アルバム『14番目の月』の魅力

アルバム『14番目の月』には、ドライブに欠かせない名曲「中央フリーウェイ」や、ユーミンのコンサートでも欠かせない表題曲が含まれています。これらの楽曲は、今なお多くのリスナーに親しまれており、ユーミンの音楽的キャリアの中でも特に象徴的な作品となっています。

このアルバムは、当時の女性シンガー・ソングライターの台頭とも関係が深く、ウーマンリブ運動（第2次フェミニズム運動）との関連性も考察されています。ユーミンの音楽は、単なるエンターテインメントに留まらず、社会的なメッセージをも含んでいることが本書で明らかにされます。

著者ラッセ・レヘトネン氏の視点

著者のラッセ・レヘトネン氏は、フィンランドで活躍する日本音楽研究者であり、日本語にも堪能です。彼は本書の中で、「『14番目の月』を選んだ理由は、そのオリジナリティと音楽的バラエティに加えて、本作が歴史的にみて興味深い時期に発表されているからである」と述べています。

レヘトネン氏は、ユーミンの音楽を通じて当時の社会状況を考察し、現代のリスナーにとっても重要な視点を提供しています。彼の研究は、ユーミンの作品を新たに理解するきっかけとなるでしょう。

著者と訳者のプロフィール

本書の翻訳は、ポピュラー音楽研究者の加藤賢氏とアニータ・ドレックスラー氏によって行われています。加藤賢氏は、文化表現論を専門とし、数々の論文を発表している研究者です。彼の研究は、ポピュラー音楽の新たな視点を提供しています。

アニータ・ドレックスラー氏は、ニューミュージックの思想論を研究しており、文化政治学やジェンダー・クィア研究にも精通しています。彼女の視点は、本書に新たな深みを与えています。

著者プロフィール

ラッセ・レヘトネン

1986年フィンランド生まれ。日本音楽研究者であり、フィンランド学士院研究員、ヘルシンキ大学文学部准教授を務める。ポピュラー音楽から現代音楽まで幅広く研究している。

加藤賢

1993年愛知県生まれ。大阪大学大学院文化表現論博士後期課程在籍。ポピュラー音楽研究を専門とし、多数の論文を発表している。

アニータ・ドレックスラー

1987年オーストリア生まれ。ウィーン大学大学院修了後、大阪大学大学院文化表現論博士後期課程在籍。ニューミュージックの思想論を研究している。

新刊情報

本書『ユーミンと「14番目の月」』は、ユーミンの音楽とその背景について深く掘り下げた一冊です。著者の視点を通じて、当時の音楽シーンや社会状況を再考する機会を提供しています。ユーミンの作品を新たな視点で楽しむための参考資料として、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。