洋菓子店倒産、2024年度は過去最多に。原材料高騰と競争激化が影響
ベストカレンダー編集部
2025年4月3日 10:41
洋菓子店倒産過去最多
開催期間:4月1日〜3月31日
洋菓子店の倒産動向とその背景
2024年度における「洋菓子店」の倒産状況について、株式会社帝国データバンクが行った調査結果を基に、詳細な分析を行います。2024年度に発生した洋菓子店の倒産件数は51件となり、これは前年度の32件から約6割増加し、過去最多を記録しました。この状況は、経営環境の厳しさを反映しており、特に原材料の価格高騰が大きな影響を及ぼしています。
倒産が発生した洋菓子店は、負債が1000万円以上で法的整理を行った店舗に限られています。集計期間は2000年4月1日から2025年3月31日までで、これにより実際に経営が困難になった店舗の実態を把握することが可能です。
倒産件数の推移とその要因
2024年度の洋菓子店の倒産件数は、2019年度の44件を上回り、過去最多を更新しました。これは、コンビニスイーツの台頭や、他の洋菓子店との競争が激化していることに加え、原材料価格の高騰が影響しています。
特に、小麦粉や鶏卵、砂糖、バターといった基本的な原材料の価格が上昇しており、これらの影響を受けた店舗は利益を確保できなくなっています。加えて、円安の影響でナッツやフルーツ、チョコレートなどの輸入原材料も高騰しており、これがさらに経営を圧迫しています。
原材料コストの上昇
帝国データバンクの調査によると、一般的なショートケーキ(ホール・18cm丸型)の原材料コストは、過去5年間で2割以上上昇しています。また、チョコレートケーキの原価も、カカオ不足の影響を受けて約3割上昇しています。これにより、ケーキの販売価格に原材料コストを反映させることが難しくなり、利益を確保できない洋菓子店が増加しています。
業績悪化の現状
2024年度の洋菓子店における損益状況を見てみると、約3割が赤字となり、「減益」を含めた「業績悪化」の割合は約6割に達しました。この数値は、過去最大だった2020年度(70.3%)以来の水準です。特に、コンビニスイーツの安価で高品質な商品や、大手チェーン店との競争が激化しているため、価格に敏感な消費者が増え、買い控えが発生しています。
経営環境の変化と対策
現在、多くの洋菓子店は、シーズン商品や新商品の投入頻度を高めることで来店を促し、ケーキ1個あたりの利益率を引き上げようとしています。これにより、物価高に対抗しようとする動きが見られます。しかし、カカオなどの原材料価格が引き続き高騰する見込みであり、経営環境は依然として厳しい状況です。
このような中で、店舗拡大を進める大手洋菓子チェーン店との競争はますます激化しており、スケールメリットによるコスト低減の余地が乏しいため、洋菓子店の倒産が今後も続く可能性が高いと考えられます。
まとめ
| 年度 | 倒産件数 | 業績悪化の割合 | 主な要因 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 51件 | 約60% | 原材料価格の高騰、競争激化 |
| 2023年度 | 32件 | 不明 | 不明 |
| 2019年度 | 44件 | 不明 | 競争激化 |
以上のように、2024年度の洋菓子店の倒産件数は過去最多を記録し、厳しい経営環境が続いています。原材料の高騰や競争の激化が主な要因となっており、今後の動向に注目が必要です。