米屋の廃業が2年連続増加、コメ不足と経営者高齢化が影響 - 2025年4月の展望
ベストカレンダー編集部
2025年4月6日 09:43
米屋廃業増加
開催日:4月6日

米屋の現状と廃業動向
2024年度における「米屋(米穀店)」の休廃業・解散件数は88件に達し、これは2年連続での増加を示しています。株式会社帝国データバンクが発表したこの調査結果は、コロナ禍以降の過去5年間で最多の件数となりました。米屋の経営環境は厳しさを増しており、コメ不足や価格高騰が影響を及ぼしています。
米屋の廃業の背景には、仕入れ量の確保が難しいことや、価格引き上げの難しさが挙げられます。特に、経営者の高齢化が進む中で事業継続を断念するケースが増加しており、2025年度もこの傾向が続く可能性が高いとされています。

廃業件数の詳細と影響要因
2024年度に発生した米屋の廃業件数は、前年度の80件から増加し、累計88件に達しました。この増加は、いわゆる「令和の米騒動」と呼ばれるコメ不足が影響しているとされています。天候不順や病害の発生、農家の減少などが要因となり、全国的なコメ不足が深刻化しています。
米屋は、これまでの自由化によって大手スーパーとの競争が激化していましたが、最近では仕入れ価格が急騰し、在庫を確保できない事態が発生しています。これにより、取引先からの需要があっても販売できないという状況が生じています。
業績悪化の実態
2024年度の米屋における損益状況を見てみると、25.2%の米屋が前年度から「減益」となり、22.4%は「赤字」に転落しました。赤字・減益を合わせた業績悪化の割合は47.6%に達しています。コメ不足が背景にあるものの、在庫分のコメが高値で取引できたため売上が増加したものの、新米の仕入れコストが想定以上に増加し、収益力が低下した米屋が多いのが現状です。
具体的には、JAグループなどの集荷業者が相対で取引する2024年産の新米の平均価格は、玄米60kgあたり2万4383円となり、前年産から約6割、5年間では約7割の上昇を記録しました。このような価格上昇は、特に中食や外食用に使用される安価な銘柄の米に顕著であり、5年間で2倍に高騰しています。
経営者の高齢化と事業継続の難しさ
地域密着型で経営されている多くの米屋は、家族経営など小規模で運営されており、経営者や従業員の高齢化が進んでいます。このため、安定した経営が難しくなり、事業継続を諦めるケースが増加しています。特に、米屋の経営者の高齢化は、業界全体の存続に影響を与える重要な要因となっています。
足元では、米屋が仕入先を広げつつも販売先を既存顧客に限定するなど、安定した米の供給に努めている事例もあります。しかし、食品スーパーや大型チェーン店よりも「コメが回ってこない」という声が多く聞かれ、米屋でのコメ不足は深刻な問題となっています。
今後の展望と懸念
コメ不足を理由に廃業や倒産するケースは、2025年度も増加する可能性が高いと考えられています。米屋の経営環境が厳しさを増す中、消費者にとっても影響が及ぶことが懸念されています。米屋が持続可能な経営を行うためには、仕入れ先の多様化や販売戦略の見直しが求められています。
まとめ
項目 | 2024年度の状況 |
---|---|
廃業件数 | 88件(前年度80件から増加) |
業績悪化割合 | 47.6%が赤字・減益 |
新米平均価格 | 60kgあたり2万4383円(前年から約6割上昇) |
経営者の高齢化 | 進行中で事業継続が難しいケースが増加 |
米屋の現状は厳しく、今後の動向には注意が必要です。廃業や倒産の増加は、業界全体に影響を及ぼすため、持続可能な経営のための対策が求められます。