三菱電機、HVIGBTモジュールXBシリーズを5月1日に発売、鉄道や産業機器向けに効率化を実現
ベストカレンダー編集部
2025年4月9日 09:45
HVIGBTモジュール発売
開催日:5月1日
新製品「HVIGBTモジュールXBシリーズ」の概要
三菱電機株式会社は、鉄道車両などの大型産業機器向けに新たなパワー半導体「HVIGBTモジュールXBシリーズ」を発表しました。この新製品は、耐電圧3.3kV、定格電流1500Aのモデルであり、2025年5月1日より発売される予定です。
HVIGBTモジュールXBシリーズは、鉄道車両などの厳しい環境下での使用を考慮して設計されており、独自のダイオードとIGBT素子を採用しています。さらに、独自のチップ終端構造を導入することで、耐湿性能を向上させており、これにより高効率化と信頼性の向上を実現しています。
パワー半導体の重要性と市場のニーズ
近年、脱炭素社会の実現に向けて、電力を効率的に変換するパワー半導体の需要が急速に拡大しています。特に、大型産業機器向けのパワー半導体モジュールは、鉄道車両の駆動システムや電源装置などの電力関連システムにおいて重要な役割を果たしています。
これらのパワー半導体モジュールは、高出力・高効率であることが求められ、また、気温や湿度の変動が大きい屋外環境でも安定して動作する耐湿性能が必要です。特に、湿度が高い環境では、電圧を安定的に保持するためのチップ構造が重要となります。
チップ構造の重要性
パワー半導体に搭載されるチップは、電力を変換・出力する有効領域と、電圧を安定的に保持する無効領域に分かれています。湿度が高い環境では、無効領域を広くすることで保持電圧を安定させる必要がありますが、広くすることで有効領域が狭くなるというトレードオフがあります。このため、高出力・低損失の性能向上と耐湿性能の両立は大きな課題でした。
新製品の特長と性能向上
新たに発表された「HVIGBTモジュールXBシリーズ」は、以下の特長を有しています。
- 高効率化と高信頼性の実現
独自のRFCダイオードとCSTBT構造を採用したIGBT素子により、従来製品に比べてトータルスイッチング損失を約15%低減し、インバーターの高効率化に寄与します。また、逆回復時安全動作領域における耐量(RRSOA耐量)を従来製品比で約25%拡大しています。 - 耐湿性能の向上
チップの終端領域に新しい電界緩和構造と表面電荷制御構造を導入することで、終端領域を約30%低減し、耐湿性能を従来製品比で約20倍に向上させています。 - 外形互換性の確保
従来製品と外形サイズや電極端子の配置を同一にすることで、置き換えが容易となり、インバーターの開発期間を短縮することに寄与しています。
製品仕様と商標関連
新製品「HVIGBTモジュールXBシリーズ」の具体的な製品仕様は以下の通りです。
| 仕様項目 | 詳細 |
|---|---|
| 耐電圧 | 3.3kV |
| 定格電流 | 1500A |
| 発売日 | 2025年5月1日 |
本製品は、鉄道車両や大型産業機器向けのインバーターにおいて、さらなる高効率化と信頼性の向上を実現することが期待されています。
三菱電機グループの取り組み
三菱電機グループは、たゆまぬ技術革新と限りない創造力をもって活力とゆとりある社会の実現に貢献することを目指しています。特に、サステナビリティを重視し、社会・環境を豊かにしながら事業を発展させる「トレード・オン」の活動を加速させています。
また、デジタル基盤「Serendie®」を活用し、得られたデータを集約・分析することで、新たな価値を生み出し、社会課題の解決に貢献する「循環型デジタル・エンジニアリング」を推進しています。
まとめ
新製品「HVIGBTモジュールXBシリーズ」は、鉄道車両などの大型産業機器向けに設計された高効率で信頼性の高いパワー半導体です。独自の技術により、耐湿性能の向上やスイッチング損失の低減を実現し、カーボンニュートラルの実現に寄与することが期待されています。
以下に、この記事で紹介した内容を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | HVIGBTモジュールXBシリーズ |
| 耐電圧 | 3.3kV |
| 定格電流 | 1500A |
| 発売日 | 2025年5月1日 |
| トータルスイッチング損失低減 | 約15% |
| RRSOA耐量拡大 | 約25% |
| 耐湿性能向上 | 約20倍 |
このように、三菱電機の新製品は、今後のパワー半導体市場において重要な役割を果たすことが期待されています。
参考リンク: