関西万博に新たな茶室「悠楽軒」初公開!日本文化と環境配慮の融合
ベストカレンダー編集部
2025年4月15日 05:41
悠楽軒初公開
開催日:4月3日
茶道裏千家の新たな茶室「悠楽軒」が初公開
2025年4月3日(木)、大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちの遊び場 クラゲ館」に新たに建設された茶室「悠楽軒(ゆうらくけん)」が完成し、その披露が行われました。この茶室は、万博会期中に来館する日本国内外の要人をおもてなしするための特別な空間として設計されています。
「悠楽軒」の命名は、茶道裏千家の千宗室(せんそうしつ)御家元によって行われ、茶室の設計には、現代的な要素と伝統的な美意識が見事に融合しています。
茶室の設計と素材へのこだわり
「悠楽軒」は、椅子・机式の立礼席として設計されており、その内部には床(とこ)が設けられています。主要な柱や建具には古材や古建具が使用されており、これらは過去の茶室を解体する際に得られたものです。また、床の土壁には、伊藤園の茶がらを混ぜた特殊な繋ぎ材が使用されており、漆喰の壁には大和ハウスグループが栽培・販売するミニ胡蝶蘭「COCOLAN(ココラン)」の廃棄される花が用いられています。
このように、環境への配慮がなされている一方で、美しさにもこだわった空間が実現されています。さらに、茶室は開催後に他の場所に移築できるような構法が採用されているため、持続可能性も考慮されています。
茶室へのアプローチと日本的なもてなし
茶室に至るアプローチは、露地をイメージしており、内坪という前室を介して茶室に入る設計が施されています。これは、日本的なもてなしの空間を表現するための工夫であり、茶室の演出技法を踏襲したものです。
除幕式では、裏千家一般財団法人今日庵常務理事の大谷裕巳氏や、2025年日本国際博覧会政府代表の羽田浩二氏、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会副事務総長の髙科淳氏など、著名な方々が出席し、茶室名「悠楽軒」が揮毫された扁額の除幕が行われました。
茶会の様子と設計者のコメント
除幕式の後には茶会が開催され、茶室のお披露目とともに、席主となった中島さち子氏が茶会を行いました。この茶会では、茶室の見どころや建築に至った経緯、クラゲ館とのコンセプトの親和性について語られ、和やかな雰囲気の中で進行しました。
設計者の小堀哲夫氏は、「クラゲ館そのものが茶室である」と述べ、万博という大きな祭りの中に存在する秘密の空間としての茶室の重要性を強調しました。また、設計者の遠山典男氏は、茶室が日本人の美意識や精神性を詰め込んだ空間であることを強調し、どのようにクラゲ館の思想を表現できるかを考えながら設計したことを語りました。
「悠楽軒」の概要と今後の期待
「悠楽軒」は、裏千家千宗室御家元によって命名され、立礼席と内坪を備えた10畳程度の広さを持つ茶室です。主に要人をもてなす応接室として利用されます。設計は遠山典男氏が担当し、施工は株式会社ミリエームが行いました。
中島さち子プロデューサーは、「悠楽軒」が日本文化の深い醍醐味を発信し、国内外の様々な文化をつなぐ場となることを期待しています。万博には多くの国や多様な立場の方が集まるため、「悠楽軒」が重要な役割を果たすことが期待されています。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 茶室名 | 悠楽軒(ゆうらくけん) |
| 命名者 | 千宗室(せんそうしつ)御家元 |
| 設計者 | 遠山典男 |
| 施工 | 株式会社ミリエーム |
| 広さ | 約10畳 |
| 用途 | 要人をもてなす応接室 |
| 特長 | 環境に配慮した素材使用、移築可能な構法 |
以上のように、「悠楽軒」は日本の伝統文化と現代の環境意識を融合させた新しい茶室として、万博会期中に多くの人々に日本的なもてなしの精神を体験してもらうことを目指しています。