富士通のAIトラスト技術でAKOS HUBが4月提供開始、EU規制対応を支援
ベストカレンダー編集部
2025年4月19日 05:51
AKOS HUB提供開始
開催日:4月1日
AIトラスト技術による新たなサービスの提供
富士通株式会社は、2025年4月18日に発表したプレスリリースにおいて、同社が開発したAIトラスト技術のライセンスをイタリアのスタートアップAKOS AIに提供することを明らかにしました。この技術は、企業のコンプライアンスに対応した責任あるAI開発を支援するもので、AKOS AIはこの技術を活用して、AIガバナンスプラットフォーム「AKOS HUB」を2025年4月より企業や団体向けにグローバルに提供開始します。
AKOS HUBは、EUのAI規制法に遵守したリスク管理および一般的なAIガバナンスのサービスとして機能します。富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」のコア技術であるAI公平性技術を含む5つの技術から成り立ち、包括的なAIガバナンスを提供することにより、サービス導入に伴うリスクの軽減を実現します。
EUのAI規制法とその重要性
2024年8月に施行されたEUのAI規制法は、AIシステムのリスクレベルに応じて分類し、AIが人々の健康や安全、基本的人権を守ることを目的としています。特に、許容できないリスクを含むAIシステムの利用を完全に禁止する規則は、2025年2月2日に適用され、今後の規制強化が期待されています。
この規制により、ハイリスクとされるAIシステムには透明性の確保やリスク管理システムの実装が求められ、AIサービスを提供する企業にとっては大きな課題となっています。AKOS AIは、AIガバナンスプラットフォームを通じて、企業のリスク軽減を支援し、信頼性の高いデジタル社会の実現に寄与します。
AKOS HUBの機能とパッケージ内容
AKOS HUBは、ノーコード/ローコードツールとAIガバナンスのパッケージを提供し、さまざまな規模や分野の組織に対して公平性や堅牢性の担保、リスク管理を支援します。以下は、AKOS HUBに含まれる主なパッケージの詳細です。
- EU AI規制法準拠支援パッケージ
- EUのAI規制法に基づく法的義務を明確にするためのプロセスを簡略化。
- 利用者がアンケートに回答することで、AIシステムのリスクレベルを取得し、必要な行動項目を抽出。
- AIシステムがコンプライアンスレポートを作成。
- AI倫理影響評価パッケージ
- AIシステムの倫理的影響を評価するプロセスを構造化。
- ステークホルダー間の関係を入力し、AI倫理リスクを報告。
- AIリスク評価パッケージ
- AIシステムのライフサイクル全体にわたりリスク管理を支援。
- 証跡や対策の履歴を管理し、問題の追跡や監査に活用。
- AI公平性検証パッケージ
- データ前処理、学習時、予測時の全フェーズでバイアスに対処。
- 公平性と予測精度の評価基準を実装。
- LLMパッケージ
- 大規模言語モデルに潜むバイアスを多様な視点で診断。
- 持続可能な開発目標に関連するトピックにおけるバイアスを評価。
関係者のコメントと今後の展望
富士通の技術戦略本部ビジネスインキュベーション統括部長であるJosyula Surya氏は、AIの信頼性と倫理に関するグローバルスタンダードの策定に取り組んでいることを強調し、安全で信頼できるAIの普及を目指すと述べています。
一方、AKOS AIのCEOであるAlberto De Lazzari氏は、AIソリューションの導入が進む中で企業が直面する倫理的課題に対し、AKOS HUBが法的、倫理的、運用面の管理を支援することを強調しました。両者は、今後もAIの機密性や可用性を損なう脅威に対抗する技術の開発や、企業の変革を促進するAIの開発に取り組む意向を示しています。
まとめ
富士通とAKOS AIの提携により、AIトラスト技術を活用したAKOS HUBが企業に提供されることで、EUのAI規制法への対応が可能となります。このプラットフォームは、リスク管理や倫理的影響評価を通じて、企業の信頼性を高めることに寄与します。以下に本記事の内容を整理した表を示します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| サービス名 | AKOS HUB |
| 提供開始日 | 2025年4月 |
| 主な機能 | EU AI規制法準拠支援、AI倫理影響評価、AIリスク評価、AI公平性検証、LLMバイアス診断 |
| 関連企業 | 富士通株式会社、AKOS AI |
このように、AI技術の進展とともに倫理的かつ法的な課題に対処するための新たなサービスが登場し、企業の持続可能な成長を支援することが期待されます。
参考リンク: