国産技術による次世代ドローンセキュリティ実証試験が成功、データ保護を強化
ベストカレンダー編集部
2025年4月21日 11:48
ドローン実証試験成功
開催日:4月21日
国産技術を用いた次世代ドローン・セキュリティの実証試験に成功
2025年4月21日、株式会社ZenmuTech、ネクストウェア株式会社、株式会社アイ・ロボティクスの共同チームが、国産の秘密分散技術を搭載したドローンの実証試験に成功したことが報告されました。この技術は、ドローンが飛行中に送受信するデータをリアルタイムで保護し、サイバー攻撃や機体の紛失時にも情報漏えいを防ぐことを目的としています。
この実証試験では、ドローンに搭載された秘密分散技術が安価で軽量であり、既存のドローンに後付け可能であることが証明されました。これにより、産業現場への即時導入が期待され、国産ドローンの競争力向上や海外製ドローンの安全な国内利用が促進される見込みです。
実証試験の背景と目的
近年、ドローン技術が進化し、インフラや工場、倉庫での効率的な点検や無人輸送が実現しています。しかし、海外製ハードウェアへの依存やデータセキュリティの課題が浮上し、特に機密データの流出リスクが顕著となっています。このような状況を受け、ドローンのデータをリアルタイムで保護するための技術が求められています。
開発チームは、ZenmuTechが開発した国産の秘密分散技術「ZENMU-AONT」をドローンに適用し、産業界が直面するセキュリティ課題の解決を目指しました。この技術は、データを複数の断片に分割し、それらを別々に管理・保存することで、許可された組み合わせが揃ったときにのみ元のデータを復元できる仕組みを持っています。
実証試験の概要と結果
実証試験では、大阪城の模型を使用し、ドローン内部構造を模したシステムで映像の保存と通信を行いました。保存媒体や通信経路は複数用意され、リアルタイムに秘密分散の有無や適用時の時間分散、マルチチャネル化、ストレージの物理的分散化などが試験されました。
結果として、ドローンの機能を全く阻害することなく、極めて高いセキュリティ水準が実現できることが証明されました。また、通信や記録データがリアルタイムで無意味化され、万一通信が傍受されたり機体が盗難・捕獲された場合でも、意味のある情報を復元できないことが確認されました。
技術の優位性と特徴
今回の実証試験で確認された技術的な優位性は以下の通りです。
- 鍵管理が不要:秘密分散技術では、複雑な鍵の配布や保管が不要で、鍵漏えいや不正取得のリスクを根本から解消します。
- 軽量で高速な実装:本技術は非常に軽量で、ドローンのCPUやメモリ負荷が僅少であるため、リアルタイム処理が可能です。
- 高い汎用性と後付け適用:幅広いドローンに適用でき、既存機体への後付けも容易です。
- 量子時代を見据えた安全性:将来の量子コンピュータによる攻撃に対しても安全性が揺らぎません。
- 国内開発による信頼性:コア技術は国内企業が開発したものであり、バックドアのリスクがありません。
今後の展開
ZenmuTech、ネクストウェア、アイ・ロボティクスの3社は、技術の実用段階をさらに引き上げるため、ハードウェア実装とエコシステム構築を次のステップと位置付けています。具体的には、秘密分散処理を担う専用の超小型チップの開発や、ドローンメーカー向けのソフトウェア開発キット(SDK)の提供を計画しています。
また、国内外の標準化団体と連携し、安全基準の策定や標準プロトコル化を推進することで、国産の秘密分散技術「ZENMU-AONT」の普及を図ります。
まとめ
本記事では、国産技術を用いた次世代ドローン・セキュリティの実証試験に成功したことについて詳しく解説しました。この技術は、ドローンのデータをリアルタイムで保護し、サイバー攻撃や機体の紛失時にも情報漏えいを防ぐことができる可能性を秘めています。
以下に、本技術の主なポイントをまとめます。
| ポイント | 説明 |
|---|---|
| 秘密分散技術 | データを複数の断片に分割し、許可された組み合わせでのみ復元可能な仕組み。 |
| リアルタイム無意味化 | 通信や記録データをリアルタイムで無意味化することで、情報漏えいを防ぐ。 |
| 後付け適用 | 既存のドローンに簡単に後付けでき、コストを抑えたセキュリティ強化が可能。 |
| 量子時代への適応 | 将来の量子コンピュータによる攻撃にも耐えうる安全性を備えている。 |
| 国内開発の信頼性 | 国内企業による開発で、バックドアリスクが少なく、安心して導入できる。 |
この技術の社会実装が進むことで、ドローンの安全な利用が広がり、産業界のセキュリティ課題解決に寄与することが期待されます。
参考リンク: