2025年人口移動実態調査発表、7割が1都3県を希望する理由とは

Job総研が実施した『2025年 人口移動の実態調査』の概要

パーソルキャリア株式会社が運営する調査機関『Job総研』は、転職サービス「doda」などを提供する企業であり、2025年4月21日に「2025年 人口移動の実態調査」を発表しました。この調査は、461人の社会人男女を対象に実施され、勤務地や勤務地による満足度、地域と年収の関係、転勤辞令に対する選択、地方移住に関する支援金の有無などを年代別・年収別に調査したものです。

調査の背景には、東京一極集中や転出超過の加速があり、少子化が問題視されています。過去の調査では、環境変化や移住費への懸念があるものの、地方移住に興味を持つ人が6割いることが示されています。特に、就職時に1都3県を希望する学生が多い一方、都内の家賃が過去最高額となっていることから、社会人の勤務地選びに対する意識の変化が求められています。

調査結果の詳細

今回の調査では、以下のような重要な結果が得られました。

• 勤務地の選択: 全体の58.7%が「1都3県」に勤務しており、その内79.3%が現在の仕事に満足しています。
• 今後の勤務地希望: 70.2%が「1都3県」を選択する意向を示し、その理由として「給与が高くなる」「仕事の選択肢が多い」といった意見が挙げられました。
• 転勤辞令に対する反応: 転勤辞令が出た場合、41.9%が「異動命令に従う」と回答し、33.6%が「断る」、24.5%が「転職(退職)する」としています。
• 地方移住の検討: 65.3%が支援金による地方移住を「検討」すると回答し、特に年収301万円〜500万円以下の層でその傾向が顕著でした。

勤務地による仕事の満足度

調査に参加した461人の社会人に現在の勤務地を尋ねたところ、1都3県に勤務していると回答したのは58.7%でした。具体的には、東京都が47.9%、神奈川県が6.1%、千葉県が3.0%、埼玉県が1.7%となっています。

1都3県に勤務している271人に満足度を聞いたところ、「満足派」が79.3%で、その内訳は「とても満足」が15.1%、「満足」が25.5%、「どちらかといえば満足」が38.7%でした。その他の地域に勤務している190人に対しても同様の質問を行った結果、77.9%が満足していると回答しました。

勤務地選びのトレンド

もし今、仕事をする地域を選ぶとした場合、全体の70.2%が「1都3県」を選ぶ意向を示しました。その内訳は、「断然1都3県」が27.9%、「1都3県」が17.4%、「どちらかといえば1都3県」が24.9%です。年代別に見ると、20代が78.3%で最も高く、次いで40代が70.0%、30代が69.5%、50代が56.3%となっています。

年収と勤務地の関係

1都3県で働きたいと考える324人にその理由を尋ねたところ、「給与が高くなる」との回答が56.5%で最も多く、次いで「仕事の選択肢が多い」が50.9%、「生活自体の満足度が高い」が33.3%でした。

年収別に見ると、1都3県を希望する層は以下のように分かれます。

転勤辞令に対する意識

転勤辞令が出た場合の選択について、41.9%が「異動命令に従う」と回答しました。理由としては、「転勤先での新しい刺激が楽しみ」が47.7%で最も多く、次いで「キャリアアップのチャンスがある」が39.4%、「会社の指示に従う義務を感じる」が34.2%となりました。

一方で、転勤を断ると回答した155人の理由は、「家族や個人の生活を優先したい」が69.7%で最多となり、次いで「断る権利があると思う」が54.2%、また「ライフスタイルが変化する不安」が43.2%と続きました。

転職を選ぶ理由

転職を選ぶと回答した113人にその理由を聞いたところ、「自分で仕事や環境を選びたい」が49.6%で最多とされ、次いで「転勤を避けるための手段」が45.1%、「異動が転職(退職)の決め手になる」が31.0%となりました。

地方移住の検討状況

支援金があれば地方移住を検討するかという質問に対して、全体の65.3%が「検討する」と回答しました。具体的には、「とても検討する」が15.4%、「検討する」が20.2%、「どちらかといえば検討する」が29.7%となっています。

年収別に見ると、地方移住を検討する層は以下のように分かれます。

調査結果の総括

今回の調査では、1都3県に勤務している人が過半数を占めているものの、仕事の満足度は地域による差が少ないことが明らかになりました。全体の70%が今後の勤務地として1都3県を選ぶ意向を示しており、給与の高さや仕事の選択肢の多さがその理由として挙げられています。

また、転勤辞令に対する意識も興味深い結果が得られました。全体の4割が「従う」意向を示し、会社の指示に従うことや新しい刺激を求める姿勢が見られました。一方で、転勤を断る理由としては生活を優先する意識が強く、転職を選ぶ理由には自分の環境を選びたいという声が多く挙げられました。

最後に、支援金があれば地方移住を検討する意向が全体の65.3%に達し、特に低年収層でその傾向が顕著であることから、地方企業や自治体が支援策を講じることで人手不足や転出超過の問題を解決する可能性が示唆されました。

以下に調査結果をまとめた表を示します。

この調査結果は、今後のキャリア形成や地域間の人口移動に関する重要な指標となるでしょう。