アルツハイマー病診断を変える新血液検査薬、5月19日にFDA承認取得
ベストカレンダー編集部
2025年5月19日 09:51
新診断薬FDA承認
開催日:5月19日
アルツハイマー病の診断補助に向けた新たな一歩
H.U.グループホールディングス株式会社は、2025年5月19日に、同社の連結子会社である富士レビオ・ホールディングス株式会社(以下「富士レビオ」)傘下のFujirebio Diagnostics, Inc.(以下「FDI」)が、米国食品医薬品局(FDA)からアルツハイマー病の診断補助を目的とした血液用体外診断用医薬品の承認を取得したことを発表しました。この試薬は、全自動化学発光酵素免疫測定システム「ルミパルス G1200」で使用されるもので、血漿中の217位リン酸化タウ蛋白(pTau217)とβ-アミロイド1-42の比率を測定することができます。
本試薬は、アルツハイマー病の診断を補助するために、FDAから承認された初めての血液用体外診断用医薬品であり、今後の医療現場における重要な役割を果たすことが期待されています。
試薬の特徴とその意義
本試薬は、アミロイドβの脳内蓄積がアルツハイマー病による認知機能低下の原因の一つであることに着目しています。具体的には、血漿中のpTau217およびβ-アミロイド1-42を測定し、その比率を評価することで、脳内アミロイドβの蓄積状態を把握することが可能です。このような評価により、アルツハイマー病の診断をより正確に行うことができるようになります。
FDIは、2024年9月に本試薬の承認申請を行い、FDAからBreakthrough Deviceの指定を受けました。この指定は、重篤疾患や進行性の慢性疾患の診断や治療に関わる特定の医療機器等に対して、開発やレビューを早期に進めることを目的とした米国の先駆け審査認定制度です。
血液バイオマーカーの利点
血液を用いた診断法は、検体採取における被検者への侵襲性を低減させることができ、患者にとって非常に負担が少ないという利点があります。また、簡便に検査を行えるため、より広く検査の機会を提供できることが期待されています。これにより、アルツハイマー病の早期発見や適切な治療への道が開かれることになります。
過去の承認と今後の展望
FDIは、すでに2022年5月に脳脊髄液中のβ-アミロイド1-42とβ-アミロイド1-40の比率を測定する検査試薬についても、アルツハイマー病に関連する認知機能低下の診断補助を目的とした米国で初めての体外診断用医薬品としてFDAから承認を取得しています。この実績に続き、今回の血漿中のバイオマーカーを測定する試薬が承認されたことは、同社にとって大きな前進と言えます。
今後、FDIは上市準備が整い次第、本試薬の販売を開始する予定です。これにより、アルツハイマー病の診療における選択肢が増え、患者に対するより良い医療が提供されることが期待されます。
アルツハイマー病への取り組み
H.U.グループは、アルツハイマー病領域における製品ラインアップのさらなる拡充を通じて、同疾患の診療に貢献することを重要なグローバル戦略の一環として位置づけています。今後も、研究開発を進め、患者のニーズに応える製品を提供していく方針です。
まとめ
今回のFDAによる承認は、アルツハイマー病の診断補助に向けた重要な一歩となります。以下に、今回の情報を整理した表を示します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 承認企業 | 富士レビオ・ホールディングス株式会社(FDI) |
| 承認試薬 | 血漿中のpTau217とβ-アミロイド1-42の比率を測定する試薬 |
| 承認日 | 2025年5月19日 |
| FDAからの指定 | Breakthrough Device |
| 期待される利点 | 侵襲性の低減、簡便な検査、早期発見の可能性 |
| 過去の承認 | 脳脊髄液中のβ-アミロイド1-42とβ-アミロイド1-40の比率を測定する試薬(2022年5月) |
このように、アルツハイマー病の診断補助を目的とした新たな試薬の承認は、患者にとって大きな希望となるでしょう。今後の展開に注目が集まります。
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