2025年5月28日発表 岡山大学の針穿刺ロボットががん治療で医師の被ばくを防ぐ治験成功
ベストカレンダー編集部
2025年5月28日 05:46
針穿刺ロボット治験完了
開催日:5月28日
岡山大学が開発した針穿刺ロボットによるがん治療の進展
国立大学法人岡山大学(所在地:岡山市北区、学長:那須保友)は、がんの低侵襲治療に用いる針穿刺ロボットを開発し、医師主導の治験を実施しました。この治験は、医師が放射線による被ばくを避けながら、高精度で針を穿刺できることを証明するものであり、医療現場における新たな治療法の可能性を示しています。
治験の結果、ロボットを用いた針の穿刺は全例で成功し、従来の医師の手で行う場合と遜色のない精度であることが確認されました。この結果は、長年の社会問題である医師の職業被ばくの解消に寄与する可能性を示唆しています。
治験の概要と成果
岡山大学の学術研究院医歯薬学域(医)放射線医学の平木隆夫教授を中心とする研究グループは、がん治療における針穿刺ロボットの有効性を検証するため、医師主導で治験を行いました。治験においては、以下のような成果が得られました。
- ロボットを用いた針の穿刺が全例で成功
- 医師の放射線被ばくを回避しつつ、同等の穿刺精度を実現
この研究成果は、2025年4月4日、米国の放射線医学雑誌「Radiology Advances」に掲載され、専門家からも注目を集めています。
医師の被ばく問題解消への期待
医療現場では、放射線を用いた治療が一般的ですが、医師にとっては放射線被ばくが大きな問題です。岡山大学が開発した針穿刺ロボットは、この問題を解決する手段として期待されています。具体的には、ロボットを使用することで、医師は放射線にさらされることなく、従来の方法と同じ精度で治療を行うことができるのです。
平木教授は、「このロボットの開発を通じて、社会問題が解決される可能性を示すことができ、これまでの苦労が報われる思いです」と述べています。また、治験に参加した患者や関係者への感謝の意を表し、今後の研究の進展に対する意欲を示しました。
論文情報と研究資金の支援
今回の研究成果は、以下の論文として発表されています。
- 論文名:
- Comparison of robotic versus manual needle insertion for CT-guided intervention: prospective randomized trial
- 掲載紙:
- Radiology Advances, 2025, 2(2), umaf010
- 著者:
- Takao Hiraki, Yusuke Matsui, Jun Sakurai, Koji Tomita, Mayu Uka, Soichiro Kajita, Noriyuki Umakoshi, Toshihiro Iguchi, Michihiro Yoshida, Kota Sakamoto, Takayuki Matsuno, Tetsushi Kamegawa
- DOI:
- org/10.1093/radadv/umaf010
- URL:
- https://doi.org/10.1093/radadv/umaf010
また、本研究は日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業の支援を受けて実施されました。これにより、研究の信頼性と実用化の可能性が高まっています。
今後の展望
岡山大学では、今後も針穿刺ロボットの機能を進化させ、がん治療の成績向上を目指す方針です。患者にとってのメリットを最大限に引き出すため、さらなる研究開発が期待されます。
岡山大学の医工連携の取り組みは、医療分野における新しい技術の実用化に向けた重要な一歩となります。研究チームは、社会に貢献するための努力を続けていく意向を示しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 研究機関 | 岡山大学 |
| 研究テーマ | 針穿刺ロボットを用いたがんの低侵襲治療 |
| 治験結果 | 全例成功、医師の被ばく回避 |
| 論文掲載誌 | Radiology Advances |
| 支援機関 | 日本医療研究開発機構(AMED) |
以上の結果から、岡山大学が開発した針穿刺ロボットは、がん治療における新たな選択肢として期待されており、医師の被ばく問題を解消するための重要な技術となる可能性があります。
参考リンク: