2025年6月2日発表:ツーセルと科研製薬が軟骨再生医療製品gMSC®1のライセンス契約締結

gMSC®1ライセンス契約締結

開催日:6月2日

gMSC®1ライセンス契約締結
gMSC®1ってどんな治療法なの?
gMSC®1はツーセルが開発した滑膜由来の間葉系幹細胞を用いた三次元人工組織で、軟骨再生を目的とした再生医療製品です。軟骨損傷の改善に期待されています。
今回のライセンス契約で何が変わるの?
科研製薬が日本国内でgMSC®1の共同開発権と独占販売権を取得し、臨床試験から販売まで協力して進めることで、早期の実用化を目指します。

ライセンス契約締結の概要

2025年6月2日、株式会社ツーセルと科研製薬株式会社は、ツーセルが開発した同種(他家)滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織「gMSC®1」に関するライセンス契約を締結したことを発表しました。この契約により、科研製薬は日本国内の整形外科領域における再生医療等製品gMSC®1の共同開発権と独占的販売権を取得します。

ツーセルは本契約に基づき、契約一時金、開発に係る開発費用、開発と販売に関するマイルストーンペイメントとして最大約70億円を受領することになります。さらに、上市後には売上額に応じたロイヤルティも科研製薬から受け取ることになります。

株式会社ツーセルと科研製薬株式会社による同種(他家)滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織「gMSC®1」に関するライセンス契約の締結について 画像 2

臨床試験と開発の進行

このライセンス契約により、ツーセルは国内における初回承認取得を目的とした臨床試験を実施し、gMSC®1の製造・供給、製造販売承認申請、承認取得のための規制当局への対応を担うことになります。一方、科研製薬はツーセルと協力し、臨床開発を進めるとともに、承認取得後の販売を行うことになります。

ツーセルと科研製薬は、このライセンス契約の締結を機に、gMSC®1の臨床試験を早期に開始し、世界に先駆けた同種(他家)滑膜由来の間葉系幹細胞を用いた軟骨再生医療の実用化を目指しています。

gMSC®1の特徴と期待される効果

gMSC®1は、ツーセルが開発した滑膜由来の間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell:MSC)を用いて創製された再生細胞治療製品です。この製品は、ツーセルが所有する技術および無血清培地(STK®1、STK®2)を使用して創製されており、スキャフォールド添加を必要としない三次元人工組織です。

gMSC®1は、軟骨再生に有効な治療法を提供することが期待されており、これにより患者の生活の質の向上が図られることが見込まれています。また、gMSC®1の研究開発には、以下の機関からの支援が受けられています。

  • JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)
  • NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
  • 経済産業省
  • AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)

企業の背景と今後の展望

科研製薬株式会社は、1948年に設立されて以来、「一人でも多くの方に笑顔を取りもどしていただくために、優れた医薬品の提供を通じて患者さんのクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上につとめる」という企業理念のもと、医療用医薬品の研究開発を行っています。特に整形外科領域において高いプレゼンスを持ち、主力製品である関節機能改善剤「アルツ」は、変形性膝関節症等の患者の症状改善に寄与しています。

また、科研製薬は「長期経営計画 2031」に基づき、新規モダリティへの挑戦も進めています。これにより、今後の医療ニーズに応える製品の開発が期待されています。

一方、株式会社ツーセルは、2003年に広島大学発のバイオベンチャー企業として設立され、再生医療の普及を目指して体性幹細胞の一種であるMSCをターゲットにした研究開発を行っています。これまでに「MSC用無血清培地 STK®シリーズ」の開発や、同種(他家)滑膜間葉系幹細胞由来三次元人工組織「gMSC®1」の開発を進めてきました。現在は国内第3相臨床試験を実施しており、再生医療分野における革新を目指しています。

まとめ

今回のライセンス契約締結により、ツーセルと科研製薬は、再生医療における新たな可能性を切り開くことが期待されています。以下に、今回の契約の主要なポイントをまとめます。

項目 詳細
契約締結日 2025年6月2日
契約内容 gMSC®1に関するライセンス契約
取得権利 共同開発権、独占的販売権
契約対価 最大約70億円
臨床試験の目的 国内初回承認取得
支援機関 JST、NEDO、経済産業省、AMED

この契約によって、ツーセルと科研製薬は、再生医療の分野において新たな治療法の実用化を目指し、患者の生活の質の向上に寄与することが期待されています。

参考リンク: