2025年5月24日開催|津南醸造社長が東京農工大学院で科学的醸造と起業講義を実施

津南醸造大学講義

開催日:5月24日

津南醸造大学講義
津南醸造の社長が大学でどんな話をしたの?
津南醸造の鈴木社長は、科学的知見を活かした事業再生やAIを使ったスマート醸造、日本酒と健康の融合など、実際の経営と技術革新について講義しました。
スマート醸造って何がすごいの?
スマート醸造はAI技術で酒の香りや味を定量的に分析し、品質管理を高度化。生成AIで経営資源や製造工程の再構築も行い、伝統と革新を融合させています。

津南醸造が東京農工大学大学院で「アントレプレナーシップ」講義を実施

2025年6月8日、津南醸造株式会社(本社:新潟県中魚沼郡津南町、代表取締役社長:鈴木健吾)は、2025年5月24日(土)に東京農工大学大学院工学府産業技術専攻(専門職大学院)にて行われた「アントレプレナーシップ」講義において、鈴木健吾社長が非常勤講師として登壇したことを発表しました。この講義は、大学院に在籍する社会人や学部から直接進学した学生を対象に、産業界とアカデミアの接点を作ることを目的としています。

鈴木は、自身の農学と医学の分野での博士号取得の経験、そして津南醸造の事業再生における取り組みを基に、「科学的知見を活かした既存事業の立て直しと発展」について講義を行いました。これにより、学生たちに実際のビジネスの現場での知見を提供し、起業家精神を育むことを目指しました。

津南醸造代表が東京農工大学大学院にて「アントレプレナーシップ」講義を担当 画像 2

講義の内容と取り組み

講義では、まず津南町に位置する酒蔵「津南醸造」が直面していた課題について説明がありました。津南町は日本有数の豪雪地帯であり、その自然環境を活用した低温熟成や微生物制御、雪中蔵による安定した発酵環境の構築など、科学的アプローチにより新たな価値を創出してきた経緯について詳述されました。

次に、AI技術と発酵学を融合させた「スマート醸造」への取り組みが取り上げられました。具体的には、酒の香りや味わいを定量的に分析するAIモデルの導入により、品質管理に挑戦している点が強調され、学生たちの関心を引きました。さらに、生成AIを活用して経営資源や製造工程を俯瞰的に再構築する取り組みも紹介されました。

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スマート醸造の基本コンセプト

スマート醸造に関する概念図や生成AIを活用した日本酒製造プロセスの開発テーマに関する俯瞰図が提示され、学生たちに新たな視点を提供しました。これにより、伝統的な酒造りにテクノロジーを取り入れることで、革新を促進する可能性が示されました。

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日本酒とヘルスケアの融合

また、津南醸造が進めている「日本酒とヘルスケアの融合」についても言及がありました。日本酒に含まれる機能性成分、例えばαーEG(アルファエチルグルコシド)、エルゴチオネイン、アグマチンなどに着目し、老化抑制や健康増進効果に関する研究が進行中であることが紹介されました。これらの知見を基にしたサプリメントや新商品の開発も行われており、健康志向の高まりに応える取り組みが進められています。

さらに、発酵技術の宇宙応用として「月面酒蔵」構想も披露され、地域産業の可能性を多角的に探求する姿勢が強調されました。

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事業の発展に向けた取り組み

事業の発展にあたっては、地元の米農家との連携やブランディングの見直し、海外展開の強化が不可欠であると鈴木は述べました。特に、魚沼産コシヒカリを100%使用した「郷 GRANDCLASS」や、甘みと酸味のバランスが特徴のスパークリング日本酒シリーズは、高付加価値商品として国内外の市場で高い評価を受けています。

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未来のイノベーターたちへのメッセージ

講義の締めくくりとして、鈴木は科学技術の専門性と経営マインドを併せ持つ人材が地域産業や伝統技術の再生・発展の鍵になる可能性があると強調しました。また、自身の経験を通じて、大学発の技術ベンチャーを起点に地域と世界をつなぐ新しい事業を生み出すキャリアの魅力について、未来のイノベーターたちにメッセージを送りました。

さらに、津南醸造が「令和6酒造年度越後流酒造技術選手権大会」で新潟県知事賞(第1位)を受賞したことも報告され、今後のさらなる発展に期待が寄せられます。

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東京農工大学大学院のアドミッションポリシー

東京農工大学大学院工学府産業技術専攻のアドミッションポリシーにおいては、産業界のニーズを理解し、技術経営の知識に基づいて産業技術シーズを戦略的に提供できる技術者・研究者・経営者を育成することが掲げられています。具体的には、以下のような人材を求めています。

  • 科学技術を実際の研究・開発を通して習得し、技術経営の知識を兼ね備え、修了後に研究・技術開発職や博士後期課程進学を志望する新卒学生・社会人。
  • 戦略的な技術開発、製品化、事業化に関するスキルと知識を習得し、企業等における経営・戦略・企画を担当する業務を目指す社会人。
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津南醸造について

津南醸造株式会社は、新潟県中魚沼郡津南町に本社を構え、日本酒を生産する酒蔵です。日本有数の豪雪地帯に位置し、標高2,000m級の山々から湧き出る天然水を仕込み水として活用しています。地元産の酒米「五百万石」や「魚沼産コシヒカリ」を用いた酒造りは、自然との共生と革新を融合させたスタイルを特徴としており、「Brew for Future〜共生する未来を醸造する〜」というブランドコンセプトを掲げています。

2025年には、醸造技術を競う「越後流酒造技術選手権大会」において、新潟県知事賞(第1位)を受賞しました。津南醸造は今後も地域資源と科学技術を掛け合わせた革新的な挑戦を通じて、次世代のものづくりや地域振興に貢献していく方針です。

項目 内容
講義名 アントレプレナーシップ
実施日 2025年5月24日
講師 鈴木健吾(津南醸造代表取締役社長)
主な内容 科学的知見を活かした事業再生、スマート醸造、日本酒とヘルスケアの融合
受賞歴 令和6酒造年度越後流酒造技術選手権大会 新潟県知事賞(第1位)
企業理念 Brew for Future〜共生する未来を醸造する〜

以上の内容から、津南醸造の取り組みや講義の意義が伺えます。今後も地域資源と科学技術の融合を通じて、新たな価値の創出が期待されます。

参考リンク: