2025年6月10日発表:アルヌールが東京都内でチノリモの高濃度室内培養技術に成功
ベストカレンダー編集部
2025年6月10日 16:17
チノリモ培養成功
開催日:6月10日
アルヌールによるチノリモの室内培養技術の成功
2025年6月10日、パス株式会社の連結子会社である株式会社アルヌールが、東京都内のR&Dセンターにおいて、ビニールバッグを用いた単細胞紅藻類チノリモ(ポルフィリディウム)の室内培養に成功したことを発表しました。この成果は、微細藻類の特性を最大限に引き出す培養技術の開発における重要な一歩となります。
チノリモは、ぬるぬるした多糖類を分泌する海産の単細胞紅藻であり、人工海水を用いて培養が行われます。この微細藻類はごく微量の種株から高濃度培養が可能であり、培養液中に多糖類を分泌する特性を持っています。これにより、培養期間が進むにつれて培養液が粘性を帯び、医薬品や化粧品用途での応用が期待されています。
チノリモの培養過程とその特性
チノリモの培養は、ビニールバッグを用いた装置で行われました。この方法により、安定した高濃度の培養が実現され、増殖した赤い細胞が窒素欠乏の状態になると、時間の経過とともに多糖類を培養液中に分泌します。以下の図は、チノリモの培養過程を示しています。
- 図1: チノリモ培養の経過写真
- 図2: チノリモの顕微鏡写真
- 図3: チノリモ培養後の細胞外多糖類
このように、チノリモは培養条件を工夫することで、より効率的に多糖類を生産できることが確認されました。これにより、アルヌールは今後、他の微細藻類の培養にも取り組む方針を示しています。
アルヌールの技術提供と持続可能な社会の実現
アルヌールは、微細藻類のポテンシャルを最大限に引き出す技術を提供し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。具体的には、以下のような技術の提供を行っています。
- 微細藻類の屋内培養・培養条件検討の受託
- 培養装置の導入支援
- 培養技術提供
- バイオリアクターの販売
- 培養藻類内容物の抽出・精製方法の研究
これらの技術は、自治体や企業、大学などに向けて提供されており、新事業開発や環境問題解決に寄与することを目指しています。特に、光合成によるCO2(二酸化炭素)の固定及び削減、新原料や新飼料の開発、バイオ医療研究など、多岐にわたる分野での応用が期待されています。
株式会社アルヌールの概要
アルヌールは、東京都渋谷区に本社を置く企業で、微細藻類の培養装置及びそのオペレーションノウハウを基幹技術として、バイオメディカル・ヘルスケア分野及び環境分野における研究・開発を行っています。また、海藻の一種である「カギケノリ」を活用した環境プロジェクト「Kaginowa」を運営し、持続可能な社会の実現に寄与しています。
会社概要は以下の通りです。
| 会社名 | 株式会社アルヌール |
|---|---|
| 本社所在地 | 東京都渋谷区神宮前六丁目17番11号 JPR原宿ビル |
| R&Dセンター所在地 | 東京都豊島区高田一丁目25番3号 |
| 事業概要 | 微細藻類の培養装置及びそのオペレーションノウハウを基幹技術とした研究・開発及び技術提供 |
アルヌールは、持続可能な社会の実現に向けて、今後も微細藻類の研究開発を進め、様々な応用分野での技術提供を行っていく方針です。
参考リンク: