2025年7月4日発表!王谷晶『ババヤガの夜』がダガー賞翻訳部門を受賞
ベストカレンダー編集部
2025年7月4日 09:41
ダガー賞翻訳部門受賞
開催日:7月4日
王谷晶『ババヤガの夜』がダガー賞翻訳部門を受賞
2025年7月4日、日本時間早朝に発表されたニュースによると、王谷晶の作品『ババヤガの夜』が、世界最高峰のミステリー文学賞であるダガー賞の翻訳部門を受賞しました。この受賞は、日本人として初めての快挙であり、アジアの作家としても史上二人目の栄誉となります。翻訳はサム・ベットが手がけ、出版社はFaber & Faberが担当しています。
ダガー賞は、1955年に創設された英国推理作家協会(CWA)が主催するミステリーおよび犯罪小説に贈られる権威ある文学賞です。翻訳部門は、英語以外の言語で書かれた作品が英訳され、英国で出版された場合に授与されるもので、国境を越えた物語の力と翻訳者の技術を称賛するものです。
『ババヤガの夜』の概要と受賞歴
『ババヤガの夜』は、2020年に発表された作品で、喧嘩しか取り柄のない新道依子が、関東有数の暴力団の屋敷で組長の一人娘の護衛を命じられるというストーリーです。物語の中で依子は、短大生との奇妙な同居生活を通じて、家に隠された秘密に触れていきます。物語の終盤には大胆不敵な仕掛けが待ち受けており、読者を驚かせる内容となっています。
この作品は、単行本として2020年10月に刊行され、2023年5月には文庫化され、現在は日本国内で累計3万8000部を突破しています。海外では、イギリス、アメリカ、韓国で発売されており、今後ドイツ、イタリア、ブラジルでも出版予定です。
ダガー賞の選考スケジュール
ダガー賞の選考は以下のようなスケジュールで進行されました:
- ロングリスト発表:2025年4月16日(全12作)
- ショートリスト発表:2025年5月29日(全6作)
- 授賞作発表:2025年7月3日夜(ロンドン時間)/7月4日朝(日本時間)
翻訳者と出版社の役割
翻訳者のサム・ベットは、日本のローカルな要素を細やかに翻訳し、作品の魅力を最大限に引き出しました。王谷晶は、受賞スピーチの中で、サム・ベットに対する感謝の意を表し、彼の翻訳が作品の細部にわたって配慮されていることを強調しました。
出版社Faber & Faberは、1929年に設立され、T.S.エリオットやサミュエル・ベケットなどの著名な作家の作品を手がけてきた歴史ある出版社です。今回の受賞は、同社にとっても大きな意味を持つ出来事となります。
王谷晶のスピーチの一部
王谷晶は受賞スピーチの中で、以下のように述べています:
「私はミステリ専門の作家ではありません。様々な種類の作品を書きます。曖昧であることは私の作家としてのテーマそのものです。この作品の主人公たちも、はっきりとラベリングできない関係と人生を手に入れます。」
このように、王谷晶は自身の作品のテーマを語り、読者に強いメッセージを伝えています。
『ババヤガの夜』の国内外での評価
『ババヤガの夜』は、国内外で高い評価を受けています。海外メディアでは、激しい暴力と素晴らしい優しさが交互に訪れる作品として称賛されており、特に女性の力を描いたストーリーが注目されています。
日本の著名人からも好評を博しており、北上次郎や杉江松恋などが作品の魅力を語っています。これにより、作品はシスターフィクションの新たな地平を切り開くものとされています。
受賞歴と今後の展望
『ババヤガの夜』は、これまでに以下のような受賞や選出を果たしています:
- クライム・フェスト「スペックセイバーズ新人小説賞」受賞(イギリス、2025年)
- クライム・フィクション・ラバー「最優秀翻訳賞」受賞(イギリス、2024年)
- デイリー・テレグラフ「スリラー・オブ・ザ・イヤー」選出(イギリス、2024年)
- ロサンゼルス・タイムズ「この夏読むべきミステリー5冊」選出(アメリカ、2024年)
今後の展望として、さらなる国際的な評価が期待されており、翻訳版の出版が進むことで、より多くの読者に作品が届くことが予想されます。
まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 作品名 | 『ババヤガの夜』 |
| 著者 | 王谷晶 |
| 翻訳者 | サム・ベット |
| 出版社 | Faber & Faber |
| ダガー賞翻訳部門受賞日 | 2025年7月4日 |
| 国内出版部数 | 3万8000部突破 |
| 海外出版予定 | ドイツ、イタリア、ブラジル |
王谷晶の『ババヤガの夜』は、ダガー賞翻訳部門を受賞したことで、今後ますます多くの読者に親しまれる作品となるでしょう。翻訳者サム・ベットの卓越した技術と、王谷晶の独自の視点が融合したこの作品は、ミステリー文学の新たな一ページを刻むことになると期待されます。
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