2025年7月15日発表、Degasが衛星観測AI開発でGENIAC採択

衛星観測用AI開発採択

開催日:7月15日

衛星観測用AI開発採択
Degasが開発するGeoVLMって何がすごいの?
GeoVLMは衛星画像を自然言語で解析できるAIで、専門家でなくてもテキストで質問するだけで災害被害や異常をリアルタイムで把握可能です。
GENIACプロジェクトに採択された意味は?
GENIAC採択で大量のGPU資源と衛星画像データの助成を受け、Degasは衛星観測用AIの開発を加速し、社会課題解決に貢献します。

Degas株式会社がGENIACプロジェクトに採択

Degas(デガス)株式会社は、経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する、国内生成AIの開発力強化を目的としたプロジェクト「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」の第3期に採択されたことを発表しました。この採択により、DegasはGPU計算資源と1,100万枚以上の衛星画像とテキストのペアからなる大規模データセットの構築に助成を受け、自社開発の衛星画像を処理可能な地理空間基盤モデルと大規模言語モデル(LLM)を統合した衛星観測用視覚言語モデル(GeoVLM)の開発を本格化させます。

この新しい衛星観測用VLMにより、従来は専門家による手作業が必要だった衛星画像の解析を、テキストベースのインターフェースで誰でも扱えるようにし、災害被害の自動把握や異常検知をリアルタイムで実現することを目指しています。

衛星観測用視覚言語モデル(GeoVLM)の概要

GeoVLMは、衛星データを自然言語で解析するための新たなAI基盤です。このモデルにより、ユーザーは自然言語で問いかけることができ、AIが衛星画像を即座に解析して結果を提供します。例えば、「昨日の洪水で通行不能になった道路はどこか?」といった質問に対して、AIが迅速に被災箇所を特定し、レポートを作成します。このように、国連や政府、保険会社などによる迅速な意思決定を可能にします。

Degasは、これまでアフリカをはじめとする新興・途上国において、衛星データを活用して農業生産支援や保険・災害対策などの社会問題に取り組んできました。GAFAM出身のサイエンティスト・エンジニアによる機械学習チームを社内に有し、地理空間基盤モデルを開発・商用化しています。

背景と社会課題

Degasが直面している社会課題は、災害や環境破壊などの地球規模の問題です。これらの問題に対して、衛星画像は有力な情報源ですが、従来の衛星画像解析にはいくつかの制約がありました。以下にその主要な制約を示します:

  • 専門家の手作業が前提:GISやリモートセンシングに精通した人材が必要で、災害時のレポート作成には数時間から半日以上かかる。
  • リアルタイム性・スケーラビリティに欠ける:同時多発的な災害や広域モニタリングが困難で、迅速かつ網羅的な対応が難しい。
  • RGB画像中心で限界あり:森林の健康状態や地盤の変化など、マルチスペクトル情報を必要とするタスクには対応できない。

Degasは、これらの技術的・運用的な壁を乗り越えるため、GENIACプロジェクトを通じて非専門家でも使える衛星画像解析AI「VLM」の開発に挑戦します。

採択事業の詳細

本事業では、マルチスペクトル画像に対応した衛星観測用視覚言語モデル(GeoVLM)の開発に取り組みます。Degasが自社開発した地理空間基盤モデルと大規模言語モデル(LLM)を組み合わせ、1,100万枚以上の衛星画像とテキストペア(約4,500億トークン)による事前追加学習を行うことで、衛星データを自然言語で問いかけて解析できる新たなAI基盤を構築します。

この「衛星観測用VLM」によって、これまで専門家の手作業を必要としていた衛星画像の読み取りが、誰でも数分以内に簡易解析できるテキストベースの操作に変わります。具体的な社会的インパクトは以下の通りです:

  1. 災害対応の迅速化・効率化:緊急時の被害箇所をAIが自動解析し、従来は数時間かかっていた被災エリアの特定やレポート作成を数分で完了します。
  2. 広域環境モニタリングの自動化:森林伐採や病害、違法開発などの変化をAIが時系列で自動検出し、環境リスクへの早期対応を加速します。
  3. 衛星画像の民主化と産業化:専門知識がなくても衛星データを活用できることで、自治体や農業法人、防災機関など多様なプレイヤーに活用機会が拡大します。

この取り組みを通じて、生成AI分野における日本の国際的プレゼンスを高め、衛星画像解析におけるデファクトスタンダードを確立することを目指します。

Degasのコメントと今後の展望

Degas株式会社のCTO、中山洋平は、「今回、GENIACに我々の事業が採択されたことを大変光栄に思います。Degasでは、アフリカを中心とした農業・金融分野における課題を、AIと衛星観測の力で解決することに取り組んできました。」とコメントしています。

また、CEOの牧浦土雅は、「我々は“Changing people’s lives, dramatically.”というミッションを掲げ、現在もアフリカで約3,100個の東京ドーム分の農地を自ら管理しています。災害や農業の現場を誰もが迅速に把握できる世界がもたらす変化の大きさを深く理解しており、この機会に感謝しています。」と述べています。

Degas株式会社の概要

Degas株式会社は、以下のような情報で構成されています:

項目 詳細
会社名 Degas株式会社
代表者 牧浦土雅
資本金 1億円
従業員数 155人
事業内容 人々の生活を劇的に変えるためのサービス提供、関連テクノロジーの開発

Degasは、今後も現場起点の課題と先端技術の橋渡しを通じて、社会実装に根ざした地理空間AIのフロンティアを切り拓いていくことを目指しています。