7月17日コミックシーモア20周年で振り返る電子マンガ市場の変遷と未来

コミックシーモア20周年

開催日:7月17日

コミックシーモア20周年
コミックシーモアの20年の変遷ってどんな感じ?
コミックシーモアは2004年のガラケー時代からスマホ普及、コロナ禍を経て急成長。ジャンルや読まれ方も変わり、今は多様なトレンドが生まれています。
今後のマンガトレンドは何に注目されてるの?
自立したヒロインのロマンス・ファンタジー、夫婦問題・復讐ドラマ、社会的制裁テーマの青年復讐ものが注目。多様な読者層に支持されています。

マンガの過去と未来をひも解く20年の市場変遷

2025年7月17日、NTTソルマーレ株式会社は日本最大級の電子コミックサービス「コミックシーモア」の20周年を迎え、京都国際マンガミュージアムの学芸員である倉持佳代子氏の監修のもと、マンガ市場の20年にわたる変遷と今後のトレンド分析を発表しました。この分析では、スマートフォンの普及とコロナ禍におけるライフスタイルの変化が、電子コミック市場における大きな転換点であることが明らかになりました。

また、コミックシーモアの読者データや売れ筋タイトルの分析から、次世代のトレンドとして「自立したヒロインが主人公のロマンス・ファンタジー」、「夫婦問題・復讐ドラマ」、そして「社会的制裁をテーマにした青年復讐もの」に注目が集まっています。

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コミックシーモアが歩んできた20年間のマンガ市場の変遷

コミックシーモアは、読者のニーズや時代背景に合わせた多様なマンガを提供してきました。その過程で、電子コミック市場は急速に成長し、作品のジャンルや表現手法、読まれ方にも大きな変化が見られました。特に、スマートフォン時代の到来とコロナ禍によるライフスタイルの変化が重要な転換点となりました。

ここでは、各時代のマンガ市場の特徴と変遷について振り返ります。

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ガラケー時代(2004~2013年)

電子コミックの黎明期にあたるこの時代には、書店では手に取りにくいタイトルやジャンルの作品が多く読まれていました。特に、官能系やお色気系、愛憎劇を描いた作品が人気を集めました。

当時のランキング1位は『まんがグリム童話 金瓶梅』で、最盛期には月間DL数が約30万DLに達しました。この時期、携帯電話という個人の閉じた空間で読むスタイルが、周囲の目を気にして購入をためらっていた層の需要を捉えました。

  • 人気ジャンル: 官能系、お色気系、愛憎劇
  • 電子コミックの新たな読書体験: 人目を気にせず自分の好きなものを自由に読む
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スマートフォンの普及(2013年~)

スマートフォンの急速な普及により、電子書籍プラットフォームが日本市場に次々と参入しました。これにより、電子コミック市場は急速に拡大し、無料試し読みやアプリ連動の課金モデルが浸透しました。これまで限られた層に利用されていた電子書籍が、より多くのユーザーにとって身近な存在となりました。

この時期、アニメ化・映画化されるビッグタイトルや王道ラブストーリーがランキングでも上位を占め、電子コミックが広い世代に受け入れられるようになりました。

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コロナ禍・アフターコロナ(2020年~)

コロナ禍以降、外出自粛やリモートワークの拡大により、電子コミックの利用者層が広がりました。出版の遅延やアニメの公開自粛といった影響もありましたが、デジタル購入が急増しました。特に『鬼滅の刃』の大ヒット時には、紙の重版が追いつかない中でのデジタル購入が顕著でした。

コミックシーモアの売上は、コロナ禍前後で約250%伸長しました。巣ごもり需要により、少年・児童マンガ誌の無料デジタル公開も話題となり、異世界転生や中世風ロマンス・ファンタジーの作品が上位にランクインしました。

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未来のトレンド予測

20年にわたり電子コミックサービスを運営してきた「コミックシーモア」は、膨大な読者行動データやユーザーレビューをもとに、以下の3つのジャンルに注目しています。

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自立ヒロインが輝く「ロマンス・ファンタジー」

近年、様々なバリエーションで人気を博している「ロマンス・ファンタジー」では、自立したヒロインが自ら人生を切り開く作品が増加しています。これらの作品は、特に30代以下の読者に支持されています。

  • 作品例: 『おひとり様には慣れましたので。婚約者放置中!』
  • 現代の価値観を反映したヒロイン像が読者に共感を呼んでいます。
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共感が熱い「夫婦問題・復讐ドラマ」

家庭内の問題を描く“夫婦問題”系作品は、現代女性のリアルな悩みに寄り添い、多くの読者に支持されています。特に、女性主人公が自己実現へと踏み出す姿に共感が集まっています。

  • 作品例: 『うちの夫、やばくないですか?』
  • フィクションを通じて日常の鬱屈を解消したいというニーズが反映されています。
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現代のスカッと系「社会的制裁をテーマにした青年復讐もの」

過去のいじめや職場でのパワハラに対する復讐を描く「スマート復讐系」の作品が注目を集めています。このスタイルは、共感と爽快感を両立させ、多くの読者の心をつかんでいます。

  • 作品例: 『社長令嬢復讐日記』
  • SNS時代ならではの感情の代償装置として機能しています。
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まとめ

この記事では、マンガ市場の20年にわたる変遷と今後のトレンドを紹介しました。以下に、主要なポイントをまとめます。

時代 特徴 注目ジャンル
ガラケー時代(2004~2013年) 電子コミック黎明期 官能系、お色気系、愛憎劇
スマートフォンの普及(2013年~) 電子コミック市場の本格拡大 アニメ化・映画化作品
コロナ禍・アフターコロナ(2020年~) 巣ごもり消費の拡大 異世界転生、ロマンス・ファンタジー

このように、マンガ市場は常に変化し続けており、今後も新たなトレンドが生まれることが期待されます。マンガがいかに読者の姿と社会を反映しながら進化していくのか、これからも注目が必要です。

参考リンク: