2025年8月1日開始、AIで認知症リスク早期発見の実証実験が始動

朝日生命・AI予防医学研究所・テクノクラフトによる認知症リスク早期発見の実証実験

2025年8月1日より、東京大学発のスタートアップである株式会社AI予防医学研究所、朝日生命保険相互会社、株式会社テクノクラフトの3社が合同で、認知症リスクの早期発見に向けた実証実験を開始します。このプロジェクトは、AI技術を活用した認知障害リスク判定AI「AICOG（アイコグ）」を用いて、認知症に対する啓発活動を行うことを目的としています。

認知症は、特に高齢者にとって大きな問題であり、早期発見と早期治療が重要です。この実証実験を通じて、より多くの人々が認知症リスクについての理解を深め、健康寿命を延ばすための対策を講じることが期待されています。

プロジェクトの背景と目的

朝日生命は、介護や認知症に備える商品として「あんしん介護」シリーズを展開しており、2020年には軽度認知障害（MCI）を保障する特約を発売しました。これにより、社会貢献を目指す取り組みを強化しています。

AI予防医学研究所は、AIを駆使して認知症の予防医療事業を推進しており、特に「AICOG」を通じて健康管理の未来を切り開くことを目指しています。このAI技術は、一般的な健康診断データから認知症リスクを推定するものであり、特別な検査を必要としない点が特徴です。

テクノクラフトは、GPS技術を活用した健康見守り事業を展開しており、今後は認知症分野における一貫したサービスの提供を目指しています。

AICOGの機能と利用方法

AICOGは、血液検査データを基に認知機能障害リスクを判定し、個々の生活習慣を見直すためのアドバイスを提供します。具体的には、以下のような機能があります：

• 健康診断の血液検査データを利用してリスクを判定
• オーダーメイドの食事や運動アドバイスを提供
• 特別なバイオマーカー測定を必要とせず、手軽に利用可能

この実証実験では、朝日生命の営業職員が顧客にAICOGの利用を促し、認知症リスクの早期発見を啓発します。AICOGの検査は、追加の血液検査を必要とせず、健康診断のデータだけで完結するため、非常に利便性が高いです。

実証実験の具体的な内容

実証実験は、朝日生命の営業職員が顧客に対してAICOGを利用する機会を提供し、顧客の反応をフィードバックする形で進められます。AI予防医学研究所がシステムを提供し、テクノクラフトがデータの集約やアドバイスシートの発行を行います。

このプロジェクトは、MCI（軽度認知障害）の重要性を啓発することを目的としており、2022年時点で558万人の高齢者がMCIに該当し、2040年には612万人に達すると予測されています。超高齢化社会において、早期発見・早期治療の重要性がますます高まっています。

AICOGの開発とその意義

AICOGは、東京大学の研究グループによって開発されたアルゴリズムで、生活習慣病やフレイルの情報をもとに、将来的な認知障害リスクを推定します。深層学習技術を用いることで、健診データの解析が可能になり、個別のリスク因子に応じた生活習慣改善のための情報提供が実現します。

この技術は、医療機器ではなく、診断や治療を目的としたものではないため、健康診断のデータのみで広範なスクリーニングにも対応可能です。これにより、多くの人々が自分の健康状態を把握し、適切な対策を講じることが期待されます。

この実証実験を通じて、認知症に対する理解を深め、早期発見の重要性を広めることが期待されています。AI技術を活用した新たな取り組みが、超高齢社会における健康寿命の延伸に貢献することが望まれます。