17LIVE、増収転換で初の中間配当0.015SGDを発表
ベストカレンダー編集部
2025年8月13日 11:54
17LIVE上半期決算と配当
開催日:8月13日
増収転換と中間配当の発表:2025年第2四半期のポイント
17LIVE Group Limited(以下「17LIVE」)は、2025年6月30日までの6ヶ月間(2025年上半期)および同日終了の3ヶ月間(2025年第2四半期)に関する未監査の財務および事業ハイライトを公表した。2025年第2四半期の売上高は4,100万米ドルとなり、2025年第1四半期の4,010万米ドルから増加した。上場以降で初めての前期比の四半期増収を記録した点が最大の注目点である。
同四半期の営業利益は150万米ドル(第1四半期は90万米ドル)に達した。これを受けて、2025年上半期の営業利益は240万米ドルとなり、前年上半期(2024年上半期)の130万米ドルから増加した。あわせて、17LIVEは2025年上半期について1株あたり0.015シンガポールドルの中間配当を発表している。
収益性改善の要因
収益性改善は主にコスト管理の強化とマネタイゼーション施策の効果によるものと説明されている。2025年上半期の売上総利益率は44.3%(2024年上半期は41.2%)、営業利益率は3.0%(2024年上半期は1.3%)に上昇した。
一方で、当該期間に計上した純損失は460万米ドルであり、主因はキャッシュフローに影響を及ぼさない未実現の為替差損である。為替換算調整勘定を反映した包括利益は260万米ドルの黒字となっている。
事業戦略とオペレーションの具体施策
17LIVEは「17LIVE Forward Strategy」を基盤に、三つの柱—中核事業の強化、収益の多様化、戦略的パートナーシップ—を掲げた取り組みを継続している。これらの施策は、プラットフォーム機能の改善、クリエイター支援、外部チャネルとの連携強化に向けられている。
2025年上半期に実施した主なオペレーション面の取り組みは次の通りである。
- AIアシスタントの導入:新規ライバーの参加を促進し、リアルタイムのユーザー交流を支援するとともにコンテンツ管理を補助する機能をリリース。
- アルゴリズムと発見性の改善:アプリ内でライバーが見つかりやすくなる検索・推薦機能や、ギフティングのアルゴリズムをアップグレード。
- コンテンツ主導型マーケティング:「雑談」「ゲーム」「音楽」「ライフスタイル」「スポーツ」「バーチャル」などジャンル別のキャンペーンや季節イベントによる視聴時間延長とエンゲージメント向上。
これらの施策により、コアのリアルライバー事業に加えて補完的事業の収益化も進んでいる点が報告されている。
収益の多様化と新規サービス
収益源の多様化では、Vライバー配信事業の成長とライブコマース関連の展開が中心となる。Vライバー配信事業の売上は2024年上半期の480万米ドルから560万米ドル(+16.7%)に増加した。
一方、ライブコマースとWAVEからの売上は380万米ドルで前年同期と横ばいとなった。結果として、コア以外の売上比率は2024年上半期の8.6%から2025年上半期には11.6%に上昇した。
さらに2025年7月には、日本でクリエイターや企業向けの統合サービスとしてライブコマース・トータルソリューションを開始。SNS上でのリアルタイムな商品紹介を通じて収益化を図るもので、導入から目標達成まで伴走する体制を提供する。
財務の健全性と資本政策
2025年6月30日時点のネットキャッシュは8,220万米ドルと、2024年12月31日時点の7,920万米ドルから改善している。自己株式取得費用として230万シンガポールドルを割り当てたにもかかわらず、バランスシートの強靭性が示された。
自己株式取得プログラムは2024年12月から実施され、発行済株式総数の最大10%を買い戻すことを目的としている。2025年6月30日までに2,826,800株を買い戻しており、これは自己株式取得枠18,182,098株の約15.6%に相当する。
- 中間配当
- 2025年上半期:1株あたり0.015シンガポールドル(初の配当)
- 営業利益(各期)
- 2025年第2四半期:150万米ドル、2025年上半期:240万米ドル
- 売上(各期)
- 2025年第2四半期:4,100万米ドル、2025年上半期:8,110万米ドル
- 純損失
- 2025年上半期:460万米ドル(主に未実現為替差損)
- 包括利益
- 2025年上半期:260万米ドル(為替換算調整勘定の影響を含む)
また、資本市場関連ではDBS Bank Ltd.がVertex Technology Acquisition Corporation Ltd.と17LIVE Inc.の経営統合において単独発行管理人を務めた旨が明示されている。
施策の詳細と今後の焦点領域
公表資料では、製品とサービスの革新、事業効率、クリエイターエコシステムの強化が継続的な優先事項として挙げられている。プロダクト面ではAI機能の拡張、バーチャルギフティングやデジタルコマースの拡充、ダイナミックなコンテンツキュレーションの強化が計画されている。
また、ライバーやVIPパートナー向けの段階的インセンティブ、オンライン・オフラインのコミュニティ活動、地域特化型キャンペーンを通じてアジア市場での地位強化を図る方針が示されている。これらの取り組みは利用時間の増加、ライバーの定着率向上、及びプラットフォーム体験の向上を目的としている。
- VOCインフラの強化:ユーザー・ライバー・社内チーム間のフィードバックループを加速し機能開発を最適化
- パートナーシップと地域提携:各地域の文化に根ざしたコラボレーションを推進
- ライブコマースの拡大:日本、台湾、その他アジア市場でのコンバージョン動向を分析しサービスを洗練
これらの重点領域は、上半期に見られた業績回復に基づいて、さらなる売上と利益の成長を狙う戦略的な方向性を示している。
要点の整理(数値・事実のまとめ)
以下の表は、本記事で扱った主要な数値と事実を整理したものである。財務数値、配当、自己株式取得、主要施策の概要を一覧で確認できる。
| 項目 | 数値・内容 |
|---|---|
| 第2四半期売上高(2025年第2四半期) | 4,100万米ドル(前期比増収、2025年第1四半期は4,010万米ドル) |
| 上半期売上高(2025年上半期) | 8,110万米ドル |
| 第2四半期営業利益 | 150万米ドル(第1四半期は90万米ドル) |
| 上半期営業利益 | 240万米ドル(2024年上半期は130万米ドル) |
| 売上総利益率(上半期) | 44.3%(2024年上半期は41.2%) |
| 営業利益率(上半期) | 3.0%(2024年上半期は1.3%) |
| 純損失(上半期) | 460万米ドル(主に未実現為替差損) |
| 包括利益(上半期) | 260万米ドルの黒字 |
| ネットキャッシュ | 8,220万米ドル(2024年12月31日:7,920万米ドル) |
| 中間配当 | 1株あたり0.015シンガポールドル(2025年上半期分、初の配当) |
| 自己株式取得 | 割当金230万シンガポールドル。買戻し実績2,826,800株(取得枠18,182,098株の約15.6%) |
| 主要施策 | AIアシスタント導入、アルゴリズム改善、コンテンツマーケティング強化、ライブコマース・トータルソリューション(日本)開始 |
| 関連リンク | https://investor.17.live/(SGX関連資料および詳細開示参照) |
上記は17LIVEが公表した2025年上半期および第2四半期に関する主要な事実と数値を整理したものである。財務の改善、事業の回復傾向、配当と自己株式取得による資本政策が確認でき、AIやライブコマースを中心としたプロダクトと収益の多様化が今後の焦点として示されている。詳細はSGX-STウェブサイトおよび同社の投資家情報ページでの開示資料を参照されたい。
参考リンク: