渡辺明が171手で逆転 JTプロ公式戦新潟戦を振り返る

渡辺明が逆転勝ち

開催日:8月16日

渡辺明が逆転勝ち
渡辺明は誰に勝って準決勝に進んだの?
渡辺明JT杯覇者が山崎隆之九段を171手で破り、2025年8月16日に新潟市産業振興センターで行われた信越・北陸大会二回戦を制しました。準決勝で藤井聡太と対戦予定です。
どういう局面で逆転したの?
終盤の▲3四桂△同金▲2三角の王手金取りが逆転の契機で、山崎九段は局後に△同金を悔やみました。双方が秒読みで激しい読み合いを続け、渡辺が寄せ切って勝利しました。

渡辺明が171手の長期戦を制して準決勝へ—信越・北陸大会の一局を振り返る

2025年8月16日(土)、新潟市産業振興センター展示ホールで開催された「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」二回戦第二局は、渡辺 明 JT杯覇者(先手)が山崎 隆之 九段(後手)を171手で下し、準決勝進出を決めた。大会の発表は公益社団法人日本将棋連盟より同日20時45分に公表された。

会場は新潟市中央区鐘木185-10の新潟市産業振興センター展示ホール。振り駒は来場者の抽選で行われ、歩が3枚出て渡辺JT杯覇者の先手が決定した。来場者の参加による振り駒という手続きも本局の特徴の一つであり、観衆の関与が対局の外的要素として場の雰囲気を作り上げた。

対局の概況と試合結果

対局は緊迫した長手数の激戦となった。先手が矢倉、後手が雁木模様の駒組みとなり、序盤は穏やかに進行したものの、中盤以降、山崎九段の果敢な攻めに渡辺JT杯覇者が苦慮する場面もあった。

両者は早い段階で長考を消費し、その後は秒読みでの厳しい読み合いが続いた。山崎九段は▲3四桂に対して△同金と応じた場面を局後に「大ポカ」と悔やみ、代えて△5二玉や△3二玉が有力だったと振り返っている。激しい攻防の末、渡辺JT杯覇者が逆転して後手玉を寄せ切り、171手で先手の勝ちとなった。

  • 開催日:2025年8月16日(土)
  • 開催場所:新潟市産業振興センター展示ホール(新潟県新潟市中央区鐘木185-10)
  • 対局者:渡辺 明 JT杯覇者(先手) vs 山崎 隆之 九段(後手)
  • 結果:171手にて渡辺 明 JT杯覇者の勝ち
  • 公開日時(プレス発表):公益社団法人日本将棋連盟 2025年8月16日 20時45分

一手一手の流れ—序盤から終盤までの詳報

序盤は先手が一歩を持ちながら矢倉に組み、後手が雁木模様で迎えた。中盤にかけて後手の攻勢が目立ち、実戦は一時後手に勢いがついた。

その後、双方が早い段階で考慮時間を使いきり、秒読みでの継続的な攻防が続いた。局面では山崎九段が▲3四桂に△同金と応じた手を特に悔やんでおり、局後の局面判断が勝敗を左右する形となった。渡辺JT杯覇者は逆転後に着実に寄せ切った。

対局中の注目点と具体的な局面

封じ手の局面は力戦ではなく無難な序盤戦の様相を呈していたが、後手からの仕掛けが徐々に実を結び、中盤で後手のペースとなった。山崎九段は△5六歩や△5六銀などの手の選択を悔やむ場面があった。

渡辺JT杯覇者は4筋に歩を打って攻め手筋を活用し、▲4二歩からの攻めで追い上げ、▲3四桂△同金▲2三角の王手金取りで逆転に成功した。そのあとは先手の丁寧な指し回しで優勢を広げて勝ち切った。

振り駒
来場者抽選により実施。歩が3枚出て渡辺JT杯覇者の先手が決定。
局面の要点
序盤は先手の持ち歩が生きない展開になり、後手優勢に。終盤で▲3四桂△同金▲2三角の手順が逆転の契機となった。

両対局者の言葉と専門家の講評

対局前後に双方がコメントを残している。渡辺JT杯覇者はこの地での対局経験や戦型の予想、対戦相手の特徴について述べ、山崎九段はJT杯出場の特別感や秒読みでの攻防、そして新潟の印象について語った。

さらに勝利した渡辺JT杯覇者は和服でのイス対局を想定して臨んだこと、序盤での評価、▲3四桂の局面での心境、▲6七金から馬の取り合いで逆転した経緯などを振り返っている。準決勝の対戦相手は藤井聡太竜王・名人であり、本局の内容では勝算が薄いと本人も述べつつ、戦えるように努めたいと語っている。

対局前の両者のコメント(要点)

  1. 渡辺 JT杯覇者:JT杯で新潟に来るのは初めて。新潟は棋王戦での来訪経験があり、将棋熱の高さを感じている。山崎九段の将棋は派手で、動きのある将棋を押さえられるかが鍵と考えていた。
  2. 山崎 隆之 九段:JT杯は前年度の活躍の証と感じる。秒読みでの攻防の続く展開を見てもらいたいと述べ、新潟の米の味やアクセスの印象にも触れ、渡辺JT杯覇者を理路整然とした棋風の同世代棋士と評した。

講評(中村 修 九段)

中村九段は、序盤は先手が歩を持ちながら矢倉に組んで十分だったとしている。封じ手後の後手の攻めは自信がないとされ、△5七歩には▲6五銀△5八歩成▲3九銀の対応が有力だったと指摘。

本譜は先手の持ち歩が生きない展開で後手がペースを握ったが、渡辺JT杯覇者は▲4二歩からお手本のような手筋の攻めで追い上げ、▲3四桂△同金▲2三角の王手金取りを契機に逆転。先手が丁寧に優勢を広げて勝ち切った点を評価している。山崎九段は終盤で追い越され、悔いの残る将棋となったという評であった。

棋譜・投了図・実務連絡と今後の予定

本局の棋譜は完全に公開されており、手順は以下の通りで171手にて先手の勝ちとなった。棋譜は現地配布資料や主催側の公開資料に準拠している。

また、本大会の問い合わせ先や配布物、写真・調査データの提供についての案内も併せて発表されている。準決勝では渡辺JT杯覇者が藤井聡太竜王・名人と対局する予定である。

棋譜(全文)

▲2六歩    △3二金    ▲2五歩    △6二銀    ▲7六歩    △1四歩
▲7八金    △6四歩    ▲6八銀    △6三銀    ▲2四歩    △同 歩
▲同 飛    △2三歩    ▲2八飛    △9四歩    ▲9六歩    △7四歩
▲4八銀    △8四歩    ▲5六歩    △8五歩    ▲7七銀    △7三桂
▲7九角    △6二金    ▲6六歩    △8一飛    ▲5八金    △4二銀
▲6九玉    △4四歩    ▲3六歩    △4三銀    ▲6七金右  △5四歩
▲6八角    △3一角    ▲7九玉    △4一玉    ▲4六角    △3四歩
▲1六歩    △3三桂    ▲3七桂    △5五歩    ▲同 歩    △6五歩
▲同 歩    △9五歩  ▲同 歩    △6五桂    ▲6六銀    △5七歩
▲同銀上    △同桂成    ▲同 角    △8六歩    ▲同 歩    △同 角
▲8二歩    △同 飛    ▲7七銀    △6四角    ▲5六金    △8八歩
▲同 銀    △5四銀左  ▲2四歩    △同 歩    ▲8三歩    △同 飛
▲8四歩    △8一飛    ▲3五歩    △5五銀    ▲同 金    △同 角
▲4六銀    △5六歩    ▲3九角    △6八歩    ▲7七桂    △8七歩
▲5五銀    △6九歩成  ▲同 玉    △8八歩成  ▲同 金    △5七歩成
▲同 角    △6七金    ▲4六角    △5七銀    ▲同 角    △同 金
▲3四歩    △5六角    ▲3三歩成  △同 金 ▲3四歩    △3二金
▲6八銀    △4七角成  ▲7八玉    △8六歩    ▲4二歩    △同 金
▲4三歩    △同 金    ▲5七銀    △同 馬    ▲3三歩成  △同 金
▲3四桂    △同 金    ▲2三角    △3二銀    ▲3四角成  △4三銀打
▲6七金    △3四銀    ▲5七金    △3九角    ▲5八飛    △5四歩
▲6四歩    △5二銀    ▲4六桂    △5五歩    ▲3四桂    △3三銀打
▲4二歩    △3一玉    ▲5四角    △4三銀右  ▲8一角成  △3四銀右
▲5四馬    △6六桂    ▲同 金    △同角成    ▲4一歩成  △同 玉
▲6三歩成  △6七金    ▲8九玉    △5八金    ▲6二と    △3一玉
▲5一飛    △4一桂   ▲5二と    △4三銀引  ▲4一と    △2二玉
▲2三歩    △1三玉  ▲4二と     △5六馬   ▲7八桂    △1二香
▲2五桂打 △同 歩   ▲同 桂    △2三玉     ▲3三桂成  △同 銀
▲2四歩    △同 銀   ▲4三馬    まで171手で先手の勝ち

投了図・連絡先

投了図は本局の最終局面を示すものであり、棋譜と合わせて本局の結末を示している。詳細な投了図や棋譜データは主催者が管理する資料に基づく。

お問い合わせ
「将棋日本シリーズ」総合事務局 TEL/03-5166-0290 E-mail: info@jt-shogi.jp
所在地
〒104-6039 東京都中央区晴海1-8-10 晴海トリトンスクエアX棟 株式会社 I&S BBDO内
備考
棋士の写真や各種調査データの提供等については主催側へ問い合わせ可能。プレスリリース内の画像ファイルはダウンロード可能とされている。

準決勝の予定では、渡辺JT杯覇者は準決勝第一局で藤井聡太竜王・名人と対局予定である。日程や会場の詳細は大会運営側の発表に従う。

要点の整理(本記事の内容を表でまとめる)

以下に本記事で扱った大会情報、対局結果、今後の予定、問い合わせ先などを表にまとめて整理する。

項目 内容
大会名 「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」 二回戦第二局(信越・北陸大会)
開催日 2025年8月16日(土)
会場 新潟市産業振興センター展示ホール(新潟県新潟市中央区鐘木185-10)
対局者 渡辺 明 JT杯覇者(先手) vs 山崎 隆之 九段(後手)
結果 171手にて渡辺 明 JT杯覇者の勝ち
対局の特徴 矢倉(先手)対雁木模様(後手)。長手数の激戦で、双方が秒読みでの攻防を強いられた。
注目局面 ▲3四桂△同金▲2三角(逆転の契機)。山崎九段は△同金を局後に悔やむ。
準決勝の対戦相手 渡辺JT杯覇者は準決勝第一局で藤井聡太 竜王・名人と対戦予定
主催・発表 公益社団法人日本将棋連盟(プレス発表:2025年8月16日 20:45)
問い合わせ 「将棋日本シリーズ」総合事務局 TEL/03-5166-0290 E-mail: info@jt-shogi.jp

本記事では大会の実施概要、対局の経過、棋譜、両者のコメント、専門家による講評、問い合わせ先までを網羅して整理した。読者が対局の流れと結果、今後の対戦予定を把握できるよう配慮している。