92.8%が賛成、男性育休取得率40.5%に 主婦層の本音
ベストカレンダー編集部
2025年8月19日 12:54
男性育休支持拡大
開催日:8月19日
主婦層の実感が示す「男性の育児休業」への高い賛同
株式会社ビースタイル ホールディングスの調査機関、しゅふJOB総研は、2025年7月19日から8月1日にかけてインターネットによる無記名式アンケートを行い、主に就労志向の女性を対象に男性の育児休業(育休)取得に関する意識を調査しました。有効回答数は727名(女性のみ)で、2025年8月19日 10時30分に調査結果が公表されています。
結果のポイントとしては、男性の育休取得について「取得するべき」と答えた割合が92.8%に達し、前年(2024年)から7.4ポイント上昇している点、実際の取得率がここ数年で上昇し40.5%となった点が挙げられます。調査対象が主婦層を中心とする女性であることを踏まえると、育児と仕事の両立に関わる期待や懸念が率直に反映された結果といえます。
リリース情報と調査の背景
本調査は「結婚・出産などのライフイベントに関わらず、もっと多くの女性が活躍できる社会をつくりたい」という設立趣旨を持つしゅふJOB総研が実施しました。調査対象はビースタイルのサービス利用者(ビースタイル スマートキャリア登録者/求人サイト『しゅふJOB』登録者)です。
調査はインターネットリサーチ方式で行われ、回答者は実際の生活に即した意見を多く寄せています。以下で数値結果と自由記述の内容をできるだけ漏れなく整理します。
数値で見る調査結果:賛同の程度と「最適期間」
調査結果を数字で整理すると、まず「男性の育児休業取得についてどう思いますか」という設問に対して92.8%が「取得するべき」と回答しました。これは前年からの上昇を示しており、意識変化が進んでいることを示唆します。
また、取得すべきと考える人に「どれくらいの期間が最適か」を尋ねたところ、「1か月以上」65.3%が最多で、「半年以上」も2割超という回答があり、まとまった期間の取得を望む声が少なくないことが分かりました。
- 男性の育休取得率(現状): 40.5%
- 「取得するべき」と回答: 92.8%(前年比 +7.4ポイント)
- 最適な取得期間: 1か月以上 65.3%、半年以上が2割超
加えて、育休取得のメリットとしては「夫の視野を広げる」が74.3%で上位に挙がっており、育児・家事の経験が家庭内外での理解や対応力につながるとの見方が多く示されました。一方でデメリットとしては「妻のストレスが溜まる」が46.9%で最多となり、“とるだけ育休”では逆に負担が増える懸念も指摘されています。
フリーコメントに表れた多様な現場の声
今回の調査では自由記述(フリーコメント)も多数寄せられており、育休に賛成する立場、条件付きで賛成する立場、制度運用や職場環境への懸念を含む多様な声が集まりました。以下に寄せられたコメントを原文のまま抜粋して列挙します。
コメント群は、育児の実情を知ることの意義、夫婦間や職場の理解の必要性、制度の運用に関する具体的な懸念などが混在しており、数字では見えにくい現場の細部が浮かび上がります。
- 育児がどれだけ大変か、分かることに、男性の育児休業の意味があると思います(40代:パート/アルバイト)
- 男女関係なく、しっかりと夫婦間で納得できる状況を選択することが必要 お互いの状況や精神状態の理解と思いやりが必要(60代:今は働いていない)
- 家庭の状況や人それぞれの性格があるから育休をとったからって必ず良いとは限らないと思うからすごく難しい課題だと思う(40代:パート/アルバイト)
- 家庭によっては夫に育休を取得して欲しい場合や、逆に取得せずに働いて欲しい場合もあるので一概には言えない。ただ、育休を取得する場合もしない場合も一緒に育てるということは当たり前なので、仕事をしているから育児はあまり干渉しないというのは間違っていると思う。育休以前に根本的なことをまずは考えて欲しいなと思います(30代:派遣社員)
- 育児休業ではなく昇進項目のひとつに加えても良いくらいだと思う。家事育児のマルチタスクをこなす事で、仕事においてどんな場面でも対応する力が付くと考える(40代:フリー/自営業)
- 男性女性に関係なく、休業中は他のスタッフが職場でのフォローを行うことになるわけだから、フォローしてくれた人に何らかの手当てをつけるべき(50代:派遣社員)
- 私の子どもは双子ということもあり、主人には育休をひと月取ってもらいました。(会社では初の試みのようでしたが、後々当たり前になって欲しいと思いました。)私が経験した父親の育児への両方の携わり方でいわせていただくと、やはり多かれ少なかれ男性が積極的に育児・家事に取り組める時期があるとないとでは、家族間のコミュニケーションにも大きな影響があると思いました。子どもが抱く父親への愛着も違うと思いました(40代:パート/アルバイト)
- 今まであたり前に女性が担ってきたことを知ることができるのが何よりだと思う。会社以外に気を使わなければいけないことが世の中にはたくさんあることを、若いうちに経験したほうがいい!(50代:その他の働き方)
- 妻だけが取得していると、夫の会社が妻の会社の制度にフリーライドしていることになる。結果。女性の採用を避ける企業が増える。平等に取得するべき(50代:SOHO/在宅ワーク)
- 本当に育児をするのであればいいけど自分の休養のために使う人もいるのでどちらとも言えない(50代:パート/アルバイト)
- 育児や家事を分担するために取得するのは賛成だが、実際は何もせず妻の負担だけが増えるのであれば、休まず働いていた方が良い(20代:フリー/自営業)
- 私の夫は育休を取りませんでした。初めての子育てを義母とすることにとてもストレスを感じました。夫が間に入って育児に協力してくれればもっと楽しく子育てできたかもしれません。(今でも役に立たないので育休取ったところで役に立つか分かりませんが…)それと、育児は1年で終わらないので、大きくなるまでスポットで取れるといいとおもいます(30代:パート/アルバイト)
- 今は夫婦共働きが当たり前ですが、主たる収入源が男性にあるならば、男性の昇進、キャリアアップの妨げをするべきではない。休暇を取ることによって昇進のモチベーション、出遅れ、職場でのポジションに影響がでる(50代:今は働いていない)
- まだまだ浸透していないと感じていて、私の夫も育児休業がとれる雰囲気じゃないという理由で取ってくれなかった。それが現実だと思う(40代:派遣社員)
- 家事育児に対して「手伝う」という感覚がなくなるとよい(40代:今は働いていない)
- 男性が育児休業を取りやすい環境であって欲しい。男性も育児休業の間は、育児と家事に真摯に取り組み、仕事以外の知識と経験を積んで頂きたい(60代:パート/アルバイト)
- 正直1人目はワンオペで回せていたので絶対に必要かと言われると微妙なところ。制度は整えるべきだけど、家の事情や家族の考え方なので一律に取るべきかと言われると難しい。子どもが1人なのかそれ以上か、上の子どもに送迎が必要かなどでも大きく変わってくると思う(40代:派遣社員)
- 共働きを将来的に続けるならば、育児にどういうことが起きて、どういうことが必要かを男性が知ることで、家庭内も育児休業終了後も助け合うことができるし、また性別問わず同僚がそうなった時もフォローがしあえて、会社でも女性が働きやすくなると思います(40代:パート/アルバイト)
- 時代と共に男性の育児休業取得についても意識が変わってきていると感じますが、上司となる世代は価値観が違い、この変化に順応しきれていない人が多いのではと思うので、取得する世代より上司の世代にこの変化についてインプットする必要もあるのでは…(60代:フリー/自営業)
- 育児休業自体は悪いとは思わないが、どちらかというとまとまった休暇ではなく子どもが小学3年生になるまで残業がないとか時短勤務が出来るとかそういったものの方が助かる(30代:派遣社員)
- 育児休業をとることで、昇進が遅れるのであれば、とるメリットがない。むしろ育児休業を取得した方が、社内評価がポイント制でプラスになればよいと思う(50代:フリー/自営業)
- 少なくとも1ヶ月ぐらいは育休はとるべき。取るだけではなく仕事みたいに日報も書かせるべきです(50代:パート/アルバイト)
- 高取得率の企業といっても、実際は数日~数週間の場合もあり、それで取得実績になるのはいかがなものかと思う(30代:その他の働き方)
- 一定の期間ではなく必要な時に休めるといいと思う(40代:パート/アルバイト)
- 子どもと向き合うことは自身と向き合うことにもなる。育児の時間は大切。ただ、制度にならないと育児ができない世の中の方が異常(50代:派遣社員)
- 産後数ヶ月は産後のダメージや夜間の授乳で妻の体への不安が大きいので、昼間は極力寝てやすめるように、夫の日中の育児が必要(40代:今は働いていない)
- 数ヶ月しか取れないのであれば、ないものと変わらないかもしれない。子供は小学校に入るまでは手がかかるので(50代:派遣社員)
- 男性が育休を取ることよりももっと大事なことがあります。それは、通常業務において、男女分け隔てなく定時で帰れるような職場環境を実現することです(40代:SOHO/在宅ワーク)
- 取得しても自分がダラダラするために使う人も多いので、母親がワンオペにならないように育児休暇前に家事や育児の講習を受けるべき(50代:フリー/自営業)
- 給与面が1番心配(30代:派遣社員)
- 本人よりも職場の周りの理解があるかが1番重要と思う(40代:今は働いていない)
これらの声は、育休取得そのものの是非だけでなく、取得後にどのように役割分担や職場支援が行われるべきかといった運用面の課題を示しています。
研究顧問の見解と調査主体について
しゅふJOB総研 研究顧問である川上敬太郎氏は、今回の結果を踏まえ次の点を指摘しています。男性の育休取得率は上昇しているが、取得期間の短さや“とるだけ育休”のリスクが残るため、取得の質や職場での理解が重要であること、まとまった取得期間が望まれる傾向があることが本調査から読み取れるとしています。
川上敬太郎氏のプロフィールも公表されており、1973年生まれ、愛知大学文学部卒業後に人材サービス分野での豊富な実務経験を有し、2010年に株式会社ビースタイル入社、しゅふJOB総合研究所(後のしゅふJOB総研)を設立・運営してきた経歴が紹介されています。講演や執筆、メディア出演の実績も多数あります。
- しゅふJOB総研の設立目的
- ライフイベントに左右されず多くの女性が活躍できる社会づくりのために、定期的な調査を実施・発信すること。
- 調査方法
- インターネットリサーチ(無記名式)
- 有効回答数
- 727名(女性のみ)
- 調査実施日
- 2025年7月19日~2025年8月1日
また、本リリースに関する研究顧問へのインタビュー希望がある場合は、広報へ連絡するよう案内されています。
企業情報と関連リンク
本調査を公表したビースタイルグループは「時代に合わせた価値を創造する」を目的に人材サービス事業を中心とした事業展開を行っています。『しゅふJOB』や『スマートキャリア』等のサービスにより多様な働き方を支援している点が紹介されています。
調査の過去結果や関連レポートは公開されており、調査結果の詳細や過去データ参照は以下のリンクから確認できます。
- しゅふJOB総研 過去調査レポート一覧
- しゅふJOB総研は、東京大学SSJDAに過去の調査データを寄託(参照先: http://bit.ly/2n8jHIJ)
調査結果の要点を表で整理
以下の表に、本記事で紹介した主要な数値・事実を整理します。調査の目的、実施期間、対象、主要な回答割合、自由記述の主なテーマなどを一覧にしました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リリース日時 | 2025年8月19日 10時30分 |
| 調査実施期間 | 2025年7月19日~2025年8月1日 |
| 調査方法 | インターネットリサーチ(無記名式) |
| 有効回答数 | 727名(女性のみ) |
| 主要結果(取得是非) | 「取得するべき」92.8%(前年比 +7.4ポイント) |
| 現状の取得率 | 40.5% |
| 最適と考えられる期間 | 1か月以上 65.3%、半年以上は2割超 |
| メリット(上位) | 「夫の視野を広げる」74.3% など、家事育児経験が家族や職場の理解につながるとの声 |
| デメリット(上位) | 「妻のストレスが溜まる」46.9%(“とるだけ育休”への懸念)、仕事勘の低下への懸念も指摘 |
| 調査主体 | しゅふJOB総研(株式会社ビースタイル ホールディングス) |
| 関連リンク | https://www.bstylegroup.co.jp/news/category/report/ |
本調査は主婦層を中心とする女性の声を集めたものであり、育休に対する高い賛同とともに、取得の質・期間、職場の理解や制度設計に関する現実的な課題が同時に示されています。得られた数値とフリーコメントは、育児休業制度の運用や職場文化の改善点を議論する土台として有用な材料を提供しています。
参考リンク: