GeForce NOWがBlackwell搭載へ 9月からRTX5080級で提供

GeForce NOW大規模更新

開催日:9月1日

GeForce NOW大規模更新
Blackwell導入で何が変わるの?
GeForce NOWがBlackwellでRTX5080相当のサーバーを導入し、CQSやDLSS 4で最大5K/120fpsや低遅延、AIフィルター、Install-to-Playが会費据え置きで利用可能。ライブラリは4,500以上に拡大します。
いつから使えるの?料金は上がるの?
Blackwell搭載のアップグレードは2025年9月から順次提供開始。メンバーシップ料金は据え置きで、Ultimateは月額19.99ドル、Performanceは月額9.99ドル。年額やストレージ有料プランも用意されています。

Blackwell導入で変わるクラウドゲーム体験の核心

NVIDIAはGamescom会場(ドイツ、ケルン)で、NVIDIA BlackwellアーキテクチャをGeForce NOWに導入すると発表しました(発表資料は米国時間2025年8月18日、国内表記の配信は2025年8月19日13時15分付)。今回のアップデートは同プラットフォーム史上最大規模とされ、クラウド向けにGeForce RTX 5080クラスのGPUを配備することで、クラウドゲーミングの性能と画質の基準を押し上げます。

発表資料では、Blackwellの採用によりGeForce NOWがAI強化や高速フレームレート、拡張クラウドストレージ等の機能を会員料金据え置きで提供する点が強調されています。NVIDIAの創業者/CEOジェンスン・フアンは、Blackwellの導入が「クラウドゲーミングにおける史上最大の飛躍」をもたらすと述べ、ほぼすべてのデバイスを高品質なゲーミングマシンに変える能力を指摘しています。

Cinematic-Quality Streaming(CQS)とレンダリング強化

本アップグレードの中核技術の一つが、Cinematic-Quality Streaming(CQS)モードです。CQSはBlackwellアーキテクチャを基盤とする複数の技術を組み合わせ、色精度、エンコーディング、AIフィルターなどの向上を図ります。

CQSの主要な要素としては、4:4:4クロマサンプリングに対応したYUVカラーモデルと10ビットHDRのサポートによる「驚異的な色精度」、高度なAV1エンコーダーによるネットワーク変化への適応を可能にする「超スムーズなストリーミング」、AI搭載のビデオフィルターやHUD鮮明化機能による「鮮明なグラフィックス」、ノートPCの高DPI自動検出などの「あらゆる画面への最適化」を掲げています。

また、Blackwellは強化されたレイトレーシングとAIレンダリングを特徴とし、よりリアルなライティング、豊かなテクスチャ、高速な計算処理を実現します。GeForce RTX 5080クラスGPUでは、最大62テラフロップスの演算性能と48GBのフレームバッファを提供し、最も要求の厳しいゲームでもリアルタイムの高度なグラフィックス処理が行えるとされています。

フレームレート、遅延、AI関連機能の具体値

Blackwell導入で利用可能となる主な性能指標は数値で明示されています。NVIDIA DLSS 4のマルチフレーム生成機能により、最大5K解像度で120fpsのストリーミングが可能となる一方、NVIDIA Reflex技術は1080pで最大360fpsまでのストリーミングをサポートし、クリックからピクセルまでの応答時間を最短30ミリ秒にまで短縮します。

さらに、最新のGPUは前世代のサーバーと比較して最大2.8倍のフレームレート向上を達成し、PlayStation 5 Proの3倍以上の速度を示すと発表されています。GeForce NOWはNVIDIA SuperPODのグローバルネットワークを活用し、多くの対応地域で30ミリ秒未満のネットワーク遅延を実現可能である点も明記されています。

主要な性能項目
GPUクラス: GeForce RTX 5080相当
演算性能: 最大62テラフロップス
フレームバッファ: 48GB
DLSS 4: マルチフレーム生成で最大5K/120fps
NVIDIA Reflex: 1080pで最大360fps, 応答時間最短30ms
最大ストリーミングビットレート: 100 Mbps

ライブラリ拡張とInstall-to-Playによる保存・利便性

今回の発表では、GeForce NOWのゲームライブラリが大幅に拡大する点が強調されています。既にプリインストール済みでプレイ可能なクラウドライブラリは2,300タイトル以上に拡大しており、クラウドストレージを使ったInstall-to-Play機能の導入で、メンバーは自分のPCコレクションをクラウドに保存して即時にプレイできるようになります。

Install-to-Playの導入に伴い、ライブラリはReady-to-PlayとInstall-to-Play対応のタイトルを合わせて4,500タイトル以上に拡大する見込みです。NVIDIAはNVMesh技術を採用したクラウドストレージサーバーを使用し、Install-to-Play対応のゲームはクラウドストレージに直接ダウンロードされ、ローカルPCでの体験に近いプレイが可能になると説明しています。

対応タイトルとパブリッシャーのコメント

新たにクラウドに加わる主なAAAタイトルとして、『ボーダーランズ4』、『Call of Duty: Black Ops 7』、『The Outer Worlds 2』が挙げられています。他にも『Hell Is Us』(Nacon)、『Dying Light: The Beast』(Techland)、『Arc Raiders』(Embark Studio)、『Vampire: The Masquerade – Bloodlines 2』(Paradox Interactive / White Wolf)、『CINDER CITY』(BigFire Games / NCSoft)などが近く登場予定です。

パブリッシャー側の声として、GearboxのBrian BurlesonはBlackwell搭載でプレイヤー体験が飛躍的に向上すると述べ、TechlandのTymon Smektałaは『Dying Light: The Beast』の高度なライティングと物理演算がより多くのプレイヤーに届く点を評価しています。ObsidianやNightdive Studiosなども、ライブラリ拡大がスタジオとユーザー双方に利点をもたらすとコメントしています。

  • プリインストール済みクラウドライブラリ: 2,300タイトル以上
  • Install-to-Playでストリーミング可能なSteamタイトル: 2,200以上を追加
  • 合計ライブラリ規模: 4,500タイトル以上(Ready-to-PlayとInstall-to-Play合算)

デバイス対応、ネットワーク連携、周辺機器のサポート

GeForce RTX 5080サーバーへの移行により、対応デバイスのパフォーマンス向上が見込まれます。Steam DeckのネイティブGeForce NOWアプリは60fpsから90fpsへ向上し、対応LGテレビはネイティブアプリ経由でHDR対応4K/120Hzのストリーミングを実現します。LGの一部OLEDモニターはWindowsやmacOSに接続するだけで5K(5120×2880)ストリーミングも可能です。

周辺機器面では多くのLogitech製レーシングホイールがネイティブにサポートされ、低遅延のドライビング体験が提供されるとされます。さらに、GeForce NOWのMacクライアントもBlackwellアーキテクチャのアップグレードを受け取り、Appleコンピューターでも高性能なクラウドゲーミングが可能になります。

通信事業者との協業と低遅延化施策

NVIDIAはブロードバンド接続パートナーを拡大しており、ComcastやDeutsche Telekom AGとの協業で低遅延化を進めています。ComcastはDOCSIS規格経由での低遅延GeForce NOWを強化し、Deutsche Telekomは同プラットフォームを5G+ネットワークに統合します。またBT GroupはL4Sと5Gスライシングを導入し、家庭内外で一貫した高品質の接続を提供する計画です。

ハードウェア面では、最新のAMD『Zen 5』CPUとNVIDIA ConnectX-7 SmartNICを組み合わせることで、サーバー側の処理能力とネットワーク性能が強化されます。これらの取り組みにより、多くの利用者が30ms未満のネットワーク遅延を体験できることが期待されています。

価格、提供開始時期、試用・ストレージプランの詳細

NVIDIA Blackwellアーキテクチャ搭載のGeForce NOWアップグレードは2025年9月から順次提供開始されます。GeForce NOWの各メンバーシップ料金は以下の通りです。

Ultimateメンバーシップは月額19.99ドル、または6か月で99.99ドル。Performanceメンバーシップは月額9.99ドル、または6か月で49.99ドル。発売と同時に日割り・月割り・年間メンバーシップも提供され、年間はUltimateが199.99ドル、Performanceが99.99ドルとなります。

ストレージと追加プラン

Install-to-Play対応のゲームはクラウドストレージに直接ダウンロードされます。GeForce NOWのUltimateおよびPerformanceメンバーは、Install-to-Playゲーム用に100GBの単一セッションクラウドストレージを追加料金なしで利用できます。さらに永続ストレージは以下の追加料金プランで拡張可能です。

  1. 月額2.99ドルで200GB
  2. 月額4.99ドルで500GB
  3. 月額7.99ドルで1TB

永続ストレージにInstall-to-Playゲームを保存すれば、毎回の再ダウンロードや再インストールは不要で、起動が即時化されます。

Discord / Epicとの統合トライアル

NVIDIAはDiscordおよびEpic Gamesと提携し、期間限定のGeForce NOWパフォーマンスエクスペリエンスを通じて『フォートナイト』をDiscord内で直接友人とプレイできる統合体験を提供します。プレイヤーはEpicアカウントを作成または接続するだけで、ダウンロードやインストール不要でDiscord上から試遊可能となる予定です(今年後半リリース予定)。

この機能は、ゲームの発見とソーシャルゲーミングを変革する試みと位置づけられており、Discordのユーザー基盤を活用してフレンドを見つけやすく、ゲームへの参加ハードルを下げることを目的としています。

まとめ(要点整理)

以下は本記事で扱ったNVIDIA Blackwell搭載のGeForce NOWアップグレードの主要ポイントを整理した表です。数値や提供内容は発表資料に基づき記載しています。

項目 内容
発表日(原文) 米国時間2025年8月18日(国内配信:2025年8月19日13時15分)
導入アーキテクチャ NVIDIA Blackwell
サーバーGPUクラス GeForce RTX 5080クラス(最大62 TFLOPS、48GBフレームバッファ)
主要映像技術 DLSS 4 マルチフレーム生成(最大5K/120fps)、Cinematic-Quality Streaming(4:4:4, 10bit HDR, AV1等)
反応速度/フレーム NVIDIA Reflex: 1080pで最大360fps、応答時間最短30ms
ライブラリ規模 Ready-to-PlayとInstall-to-Play合算で4,500タイトル以上(2,300+プリインストール/2,200+Steam追加)
主な追加タイトル 『ボーダーランズ4』『Call of Duty: Black Ops 7』『The Outer Worlds 2』『Dying Light: The Beast』『Hell Is Us』等
Install-to-Playストレージ Ultimate/Performance会員は100GBの単一セッションストレージを無料で利用可。永続ストレージ: 200GB/月2.99$, 500GB/月4.99$, 1TB/月7.99$
提供開始 2025年9月から順次提供開始
メンバーシップ価格 Ultimate: 月額19.99$, 6か月99.99$, 年間199.99$ / Performance: 月額9.99$, 6か月49.99$, 年間99.99$
デバイス/周辺機器 Steam Deck: 60→90fps向上、LGテレビでHDR対応4K/120Hz、5K対応LGモニター、Logitechレーシングホイール等
ネットワーク/事業者連携 Comcast(DOCSIS連携)、Deutsche Telekom(5G+統合)、BT Group(L4S/5Gスライシング)等
試用/統合 Discord+Epicとの期間限定トライアルで『フォートナイト』をDiscord内で即時体験予定(今年後半)

上表は発表資料を基に、GPU性能、映像技術、タイトル数、価格、提供時期、ネットワーク連携などの主要点を整理したものです。本稿は発表資料の抄訳情報をもとに構成しており、提供開始時の地域展開や各種機能の詳細は今後の公式アナウンスで随時更新される見込みです。

参考リンク: