永瀬拓矢、JTプロ四国大会で広瀬を下し準決勝進出
ベストカレンダー編集部
2025年8月31日 15:05
JTプロ四国大会勝利
開催日:8月30日
永瀬拓矢九段が示した鋭い攻め――四国大会の決定的瞬間
2025年8月30日、香川県高松市のサンメッセ香川大展示場で行われた「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」二回戦第三局において、永瀬拓矢九段が広瀬章人九段を143手で下し、準決勝進出を決めた。対局は序盤から中盤、終盤にかけて緊張感の高い攻防が続き、終盤の決定打となった手順が勝敗を分けた。
本稿では対局の経過、両者の対局前後のコメント、専門家による講評、棋譜・投了図・問い合わせ先まで、プレスリリースの全情報を漏れなく整理して伝える。
対局の状況と公式記録
本対局は公益社団法人日本将棋連盟が発表した公式記録に基づく。実施概要、組み合わせ、結果、対局場の情報を正確に示す。
発表元と日時は以下の通りである。記録の正確性は公表資料による。
- 発表団体
- 公益社団法人日本将棋連盟
- 発表日時
- 2025年8月30日 20時59分
- タイトル
- 「将棋日本シリーズ JTプロ公式戦」 二回戦第三局
- 日程
- 2025年8月30日(土)
- 場所
- サンメッセ香川 大展示場(香川県高松市林町2217-1)
対局結果の要約
対局は永瀬拓矢九段(先手)対広瀬章人九段(後手)で行われ、143手にて永瀬九段の勝ちとなった。永瀬九段はこの勝利により準決勝へ進出し、準決勝の相手は準決勝第二局の勝者(伊藤匠叡王と佐藤天彦九段の勝者)となる。
振り駒の結果は来場者抽選によるもので、と金が3枚出て永瀬九段の先手が決定した。
対局の流れと見どころ(手順と要点の整理)
本局は角換わり腰掛け銀の進行となり、広瀬九段が38手目に△3一玉と引くやや珍しい指し方を選んだ。この局面は2020年以降ではあまり見られない進行であり、永瀬九段は変化球に対して果敢に仕掛ける展開に持ち込んだ。
以下では局面ごとの要点と、勝敗を分けた決定的な手を整理する。
- 序盤:角換わり腰掛け銀のオーソドックスな出だし。飛車や銀の展開が進み、序盤は両者の研究範囲内と見られた。
- 中盤:広瀬九段の38手目△3一玉が特徴的で、この変化に対し永瀬九段は手厚く対応していった。先手の歩切れや駒損の可能性があったが、攻め継続のための準備を進めた。
- 終盤の決め手:75手目の▲4四角のタダ捨てが迫力ある強打となり、その後も99手目の▲4五銀の銀捨てなどで歩を補充しながら攻めを継続。これら連続する犠牲的な攻めが後手の防御網を突破し、最終的に永瀬九段が勝利した。
棋譜と投了図(運営が公表した手順をすべて記載)
以下にプレスリリースで公表された棋譜を改行付きでそのまま掲載する。棋譜は指し手順の記録であり、対局の流れを追う一次資料である。
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7六歩 △3二金
▲7七角 △3四歩 ▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀
▲4八銀 △6二銀 ▲7八金 △3三銀 ▲4六歩 △6四歩
▲3六歩 △6三銀 ▲3七桂 △4二玉 ▲4七銀 △7四歩
▲6八玉 △7三桂 ▲9六歩 △9四歩 ▲1六歩 △1四歩
▲48金 △8一飛 ▲5六銀 △6二金 ▲6六歩 △5四銀
▲2九飛 △3一玉 ▲4五桂 △4二銀 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △2三歩 ▲29飛 △4四歩 ▲1五歩 △同 歩
▲7五歩 △8四飛 ▲1三歩 △4五歩 ▲1五香 △2四角
▲1九飛 △1三桂 ▲同香成 △同 香 ▲1四歩 △4六角
▲1六飛 △1四香 ▲同 飛 △1三歩 ▲1六飛 △7五歩
▲2五桂 △1四香 ▲2六飛 △24角 ▲33香 △同 角
▲同桂成 △同 金 ▲44角 △32金 ▲35歩 △同 歩
▲同 角 △21桂 ▲24歩 △同 歩 ▲同 飛 △34歩
▲22歩 △35歩 ▲21歩成 △41玉 ▲44桂 △33金
▲22飛成 △44金 ▲31と △52玉 ▲32と △43金
▲41角 △51玉 ▲45銀 △同 銀 ▲44歩 △15角
▲43歩成 △同 銀 ▲21龍 △52銀打 ▲42金 △同 角
▲同 と △同 玉 ▲23角成 △41桂 ▲24角 △33桂打
▲13角成 △51玉 ▲42歩 △61玉 ▲41歩成 △72玉
▲42と △46香 ▲58金 △47歩 ▲79玉 △48歩成
▲67金右 △58と ▲43と △同 銀 ▲33馬 △54銀上
▲14馬 △48香成 ▲41馬 △86歩 ▲同 銀 △59成香
▲75銀 △85飛 ▲84桂 △82玉 ▲83香
まで143手で先手の勝ち
投了図や本文中の「杏は成香のこと」など注記もプレスリリースに準拠している。
両者の発言と専門家の講評
対局前後に寄せられた両者のコメントと、稲葉陽八段による講評を掲載する。コメントは対局者の考え方や対局状況の理解を深める材料であり、講評は局面の技術的評価を示す。
以下に対局前のコメント、永瀬九段の勝利直後のコメント、講評を順に示す。
対局前のコメント
広瀬章人九段は対局前に四国大会が2013年以来であること、高松駅周辺の変化に触れ、永瀬九段とは練習将棋の関係もあって感慨深いと述べた。時間設定の違いについても触れ、早指しにおける感覚と読みの使い分けの難しさを説明した。
永瀬拓矢九段は香川県を初めて訪れたこと、広瀬九段が居飛車党の本格派であること、かつての練習将棋の縁を紹介した。『JT杯』の特徴である早指しと封じ手の存在が求める瞬発力や集中力について説明し、子ども大会に出場した経緯や観戦の経験を振り返った。
勝利棋士(永瀬九段)のコメント
永瀬九段は本局での△3一玉の形は以前からあるもので、第2回ABEMAトーナメントの一局などが類似例としてあると述べた。具体的な手順として▲4五桂を誤ると攻めが途切れる危険があり、本局は攻めが途切れるまでの勝負であったことを語った。
▲1三歩(51手目)に△同香で難しいと感じたこと、封じ手以降しばらく悪いと思った局面があったが▲2五桂(67手目)や▲3五歩(77手目)などで複雑な含みを作り、攻めをつなげる手順が功を奏したと述べている。昨年度は早指し棋戦で勝利が少なかったと述べ、準決勝の相手については伊藤匠叡王か佐藤天彦九段かに関係なく楽しみにしていると語った。
講評(稲葉 陽 八段)
稲葉八段は角換わり腰掛け銀の基本形から広瀬九段が近年稀な指し方をした点を指摘した。先手が駒損や歩切れを抱える代わりに攻めがつながるかが焦点となる進行であり、後手の飛車の働きが限定された点が敗因の一つであると分析した。
特に75手目の▲4四角を高く評価し、この強打を契機に先手が飛車を成り込む展開となったこと、続く▲4五銀などの銀捨てが有効に機能し厳しい攻めがつながったことを講評として述べている。
大会運営情報と補足資料・問い合わせ
本節では大会に関する運営連絡、連絡先情報、提供可能な素材について整理する。プレスリリースで案内された素材提供等の情報を含む。
問い合わせ先や提供可能な素材は以下の通りで、広報・取材の参照先が明記されている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 問合せ先 | 将棋日本シリーズ 総合事務局 TEL/03-5166-0290 E-mail/info@jt-shogi.jp |
| 事務所所在地 | 〒104-6039 東京都中央区晴海1-8-10 晴海トリトンスクエアX棟 ㈱I&S BBDO内 |
| 提供可能素材 | 棋士の写真、各種調査データ、プレスリリース内で使用されている画像ファイル(ダウンロード可) |
| 大会カテゴリ | イベント(財団法人・社団法人・宗教法人) |
掲載されている棋譜・投了図・コメントはすべて公式発表に準拠している。取材や素材の利用に関しては上記の連絡先を通じて問い合わせが可能である。
要点の整理(本記事のまとめ)
以下の表は本記事で取り上げた情報を見出しごとに整理したものである。対局の結果、場所、日程、対局者、棋譜の結末、問い合わせ先など重要事項を一目で確認できる。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 大会名 | 将棋日本シリーズ JTプロ公式戦 二回戦第三局 |
| 日程 | 2025年8月30日(土) |
| 場所 | サンメッセ香川 大展示場(香川県高松市林町2217-1) |
| 対局者 | 永瀬 拓矢 九段(先手) vs 広瀬 章人 九段(後手) |
| 結果 | 143手にて永瀬 拓矢 九段の勝ち |
| 振り駒 | 来場者抽選で実施、と金が3枚出て永瀬九段の先手 |
| 対局の特徴 | 角換わり腰掛け銀、広瀬九段の△3一玉などやや珍しい変化、75手目▲4四角や99手目▲4五銀の銀捨てが決め手 |
| 棋譜(要旨掲載) | 記事中に棋譜を全文掲載(▲2六歩から▲83香まで、143手) |
| お問い合わせ | 将棋日本シリーズ 総合事務局 TEL/03-5166-0290 E-mail/info@jt-shogi.jp |
以上が8月30日に公表されたプレスリリースの内容を元にまとめた記事である。本稿は公式の発表文に基づき、対局の経過・発言・棋譜・運営情報までを網羅的に整理している。